古代における錫の使い方として最も重要であり、文字どおり1時代を築き上げたのが銅と錫の合金「青銅」であります。
今回はこの青銅についての話をさせて頂きます。
少々歴史的な話をさせていただきますと
青銅というものは紀元前3000年ごろから使われ始めたのですが、一口に青銅と申しましてもその内訳は様々でして錫が3%程度のもの、30%を超えるもの、はては青銅と名前が付いているだけで錫が入っていないものなど様々なのですが、現在は概ね銅90%、錫10%のものを青銅と呼んでおります。
この青銅には優れた特性がいろいろとあるのですが、生まれた時代ということを加味しますと特に重要となるのが「融点が下がり」「流動性がよくなり」「硬くなる」ことであろうと思います。
青銅が生まれる前に知られていた金属といえば金、銀、銅、鉄、錫、鉛、水銀となるのですが鉄以外は軟らかく、のこる鉄にしても銅を精錬する過程で生まれる使いにくい廃棄物、もしくは隕石を使うほかなく、炉の温度が足りないこともありその加工は非常に困難でした。
しかし銅、錫というある程度の量がとれ、炭火で溶かすことができ、溶かしたものを型に流し込むことで自由に形を作ることが出来る硬く、粘りのある金属が生まれたことでそれをもつ集団がそれ以外に対して圧倒的な優位を持つことになりました。
とくに錫を加えることで融点が下がり、同時に溶けた金属の流れがよくなったことで銅のみの場合と比べ大型のものが鋳造できるようになり剣、矛、鎧、兜、また粘りのある硬さを活かし戦車(チャリオット)に使われ、それらによる戦闘はそれまでの戦術、軍事力を大きく変えることとなります。
それと同時に金属を適切に混ぜ合わせる、鋳造の型を作る、戦車などの複雑な機器を作る必要から職業の専門化、青銅器による強力な戦力を持つものによる支配地域の拡大と君主制の確立、銅とそれ以上に産出場所が限られる錫とを手に入れるための流通網・交易の発展と拡大といったそれまでの時代に比べ社会構造そのものに大きな変化が起こる要因となりました。
またこの時代には広い地域から集められた富を専門の職人が加工することによって権力者の為の嗜好品、宗教用品といったものを中心に物品全体の大幅な発展が見られ、またそれらが交易を通じてゆっくりとした速度ではありながらも広く伝播してゆくことで各地域の美術様式が交じり合い特色を保ちながらも別の地域の特色が現れるようになってゆきます。
このような歴史により、力の象徴であり富の象徴でもある青銅はその土地、その時代における最高の技術がつぎ込まれ、多数の名品が生まれることとなったのでございます。
と長々と歴史についての話をしてまいりましたが現代の美術・工芸品としてみますとその「鋳造のしやすさ」と叩いたときの「音の良さ」が魅力的な材質となります。
蝋を原型とした精緻なものから東大寺盧舎那仏像(いわゆる奈良の大仏)といった大型のものまで幅広く対応できる鋳造のしやすさは多数の鋳物や像(ブロンズ像)として人々の目に触れることになり、おりんから寺や教会の鐘まで、その清んだ音色は現在に至るまで多くの人の耳を楽しませてまいりました。
唯一無二、ともいえたかつての重要性は無くなってしまいましたが「合金」という冶金術の重要な技法を体現し社会のあり方をも変えた金属、それが青銅でございます。
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