単語集の暗記は不要
自分の英語力に自信のない人は、「まずは単語集から始めよう」とする人も多いと思います。私もそうでした。TOEICに頻出の単語を集めた本を買ってきたものの、数ページも進まないうちに挫折してしまいました。
単語集を暗記するのって苦痛じゃないですか? よほど記憶力のいい人じゃないかぎり、無味乾燥な単語を機械的に暗記していくなんて無理です。普通の人にはまずできません。
そんなことをするよりも、最初から公式問題集を使って単語を覚えればいいんです。TOEICで要求されている語彙数はそれほど多くないですから、公式問題集に出てくる単語を覚えれば試験本番でも太刀打ちできるようになります。また、TOEICの問題というのはある程度シチュエーションが限られています。オフィスでの会話とか、広告とか。そしてそれぞれのシチュエーションで使われる語彙というのもある程度決まっています。だったらそれぞれの場面で必要な単語を試験で問われる形でそのまま覚えてしまえばいいのではないでしょうか。その方がよっぽど効率的ですし、実践的でもあります。
公式問題集の語注はかなり充実していて、受験生がつまづきそうな単語はたいてい説明されています。これを利用しない手はありません。
文法対策も公式問題集で
文法に特化した対策も不要です。そもそもTOEICは大学受験とは違って、文法問題の比重はそれほど高くありません。TOEICというのは日常会話でのコミュニケーション能力を測ることを目的とした試験なのですから、それに必要な文法事項さえ押さえておけばじゅうぶんです。そしてそのための知識は公式問題集から得ることができます。
市販されている文法の参考書には分厚いものが多いですから、それらとまともに格闘していては時間がいくらあっても足りません。TOEICで出題される文法事項は限られていますから、公式問題集を繰り返しているうちになんとなくパターンが見えてきます。分厚い参考書に載っている文法事項を無理やり頭に詰め込むよりも、公式問題集を使って体にしみこませた知識の方が実践的で本試験でも役に立ちます。
性格が真面目な人は、「公式問題集の解説では短すぎて本質を理解できない」と不安になるかもしれませんが、それは杞憂です。TOEICではそんなに深い理解は求められていません。ほとんどの日本人は中学・高校で英語を学んできているでしょうから、その知識だけでじゅうぶんなのです。
ただ、公式問題集の解説を読んでもまったく理解できない、なにを言ってるのかちんぷんかんぷん、という人もいるかもしれません。そういう人は中学レベルの知識が抜け落ちている可能性があるので、軽くおさらいしておく必要があるでしょう。ただしその場合でもあまり深入りする必要はありません。公式問題集の解説がなんとなく理解できるレベルにまで引き上げればそれでじゅうぶんです。
「長文読解が苦手」という人は
多くの受験生を苦しめるPart 7 の長文問題。あれのせいで時間不足に悩まされている受験生のなんと多いことか。なかには「長文問題なんて大っ嫌い。英文を見ただけで頭が痛くなる」という人もいるかもしれません。そしてそのせいで公式問題集に取りかかることを敬遠している人もいることでしょう。
でも大丈夫です。たとえ英語が苦手な人でも、いきなり公式問題集に取り組めるいい方法があります。
それは、
「英文を読む前に、最初に日本語訳を読んでしまう」
ことです。
日本語訳をまず読んで文章の内容を理解していれば、驚くほどスムーズに英文を読み進めていくことができます。これは快感ですよ。難解だと思っていたTOEICの問題文がスラスラと読めるわけですから。
そしてこの「サクサクと読める」感覚は、TOEIC攻略においてとても大事なんです。ご存知のようにTOEICでは大量の問題を効率よく解いていかなければなりません。まさに時間との戦いです。普段から英文を素早く読む訓練をしていれば、試験本番でも時間不足に陥ることがなくなります。
「最初に日本語訳を読んでしまったら、英語の実力が身に付かないじゃないか」
と心配に思う人がいるかもしれません。でも大丈夫です。TOEICの問題は出題パターンが限られていますから、公式問題集の英文をマスターしていれば、試験本番の問題もちゃんと読みこなせます。
そして長文問題の場合、一気に全部の文章を読むのではなく、最初に日本語の文章を一文だけ読んだら、次にそれに対応する英文を一文だけ読むようにします。よほど実力のある人でないかぎり、一気に文章を全部読もうとすると頭がこんがらがってしまいかねません。日本語訳を一文だけ読んだ後にすぐ対応する英文を一文だけ読むようにすれば、特に英文の構造を解析しなくても、簡単に内容を理解できるはずです。そうすることによってどんどんと英文を読み進めていくことができるのです。
また、一文ずつ細かく切って読んでいけば、たとえ文中に知らない単語があったとしても、日本語訳と対応させれば辞書を使わなくともその意味はわかるはずです。辞書をいちいち引くというあのわずらわしい作業からも解放されるのです。それによって時間を大幅に節約できますし、英文をスラスラ読めるという快感も味わえます。
「リスニングが苦手」という人は
「リスニングが苦手」だという人は多いと思います。私もそうでした。リスニングに苦手意識を持っていたのです。ところが、試験本番ではリスニング部門でほぼ満点を取ることができました。読解部門よりも点数が良かったので、私自身びっくりしてしまいました。
リスニング克服のためにも、公式問題集を活用します。といっても、BGMのように聞き流したり、ディクテーションのように精聴するわけでもありません。私が取った方法は、
① まずは日本語訳を読んで内容を理解する
② 次に英文を読んで理解する
③ その作業が完了した後、「英文を目で追いながら」CDの音声を聞く
という方法です。
この方法に異論を唱える人は多いです。
「英文を見ながら聞いていたら、ヒアリングの力が身に付かないじゃないか」
確かに、「リスニングの時は文字を見てはいけない」と指導する英語の教師は多いですし、それはなかば常識でした。
しかし、私はこの方法でリスニングパートもほぼ満点取れてしまったのです。試験本番までずっと英文を目で追いながらCDを聞いていました。耳だけで聞いたことは一度もありません。
私は従来のやり方に懐疑的です。読んで理解できない英文を、耳で聞いて理解できるわけがないのです。だったら最初から英文を読んでしまった方がよっぽど効率的です。
いかかでしたでしょうか?
「日本語訳を最初に読め」とか、「英文を目で追いながらCDを聞け」とか、
「この人は無茶苦茶なことを言ってるな」というふうに思った人もいるかもしれません。
たしかに、私の提唱する方法は従来のものとはかなりかけ離れているので、拒否反応を起こす人がいるのは仕方がないことだと思っています。自分が納得できない方法で勉強したところで、効果はそれほど期待できないでしょうから、私の勉強方法を強制するつもりはありません。
でももし、あなたが英語が本当に苦手で、それでもどうしてもTOEICの点数を簡単にアップさせたいと考えているのでしたら、一度試してみてください。きっと自分でも驚くくらいのハイスコアが取れますよ。