グレープフルーツと乳がんAdd Starfudouryu

grapefruit

<注>その後まったく逆の「グレープフルーツは乳がんリスクを高めない」という報告が出ました。こちらもご参考に。


南カリフォルニア大学とハワイ大学の研究者が、閉経後の女性がグレープフルーツをたくさん食べると乳がんのリスクが高まる、という研究をBJC(英国がん誌)7月号に発表しました。

研究者らはロサンゼルスとハワイに住む約50,000人の閉経後の女性を対象に、食事とがんの関係を調べました。人種は白人、黒人、ヒスパニック、ハワイ原住民、日系人の5つが含まれました。やがて1657例の女性が乳がんと診断され、食事との関係を調べると、グレープフルーツを全く食べない人に比べ、毎日1/4個(60g)以上食べる人では、乳がんのリスクが30%高まることがわかりました(P=0.015)。

薬やホルモンは体内で次第に代謝を受け、効力を発揮したり失ったりします。このときさまざまな酵素が代謝に関与します。グレープフルーツはある酵素の働きを抑制することが知られています。その結果、薬の代謝分解が進まず、予想外に血中濃度が高まり、あるときには副作用を招いたりします。「薬といっしょにグレープフルーツジュースを飲まないように」と言われることがあるのは、そのためです。

エストロゲン(女性ホルモン)はCYP 3A4という名前の酵素によって分解されますが、グレープフルーツはこの酵素の働きを阻害します。その結果エストロゲンの分解が遅れ、濃度が高まります。エストロゲンはある種の乳がんの増殖を促進しますので、グレープフルーツをたくさん食べる習慣のある人が、乳がん発症のリスクが高まったと考えられます。

グレープフルーツをそんなに食べる人がそんなにもいるとは意外でしたが、調べてみると「グレープフルーツ・ダイエット」というのが1930年代に提唱され、今でも根強く流行っているようです。

何でも時どき食べるくらいなら大きな心配は要りませんが、一つのものを食べ続けると栄養素が偏り、長期的には未知の影響があるかも知れません。いろんな果物を交代で食べるなら、フラボノイドやビタミンCなどによるメリットも期待できるかも知れませんが、極端なことにはリスクが伴います。

なお同じ柑橘類でも、他のものにはこれほど極端な作用はないようです。あえて言えば、晩白柚(ばんぺいゆ:大きなザボンの一種)にその弱い作用が見られますが、これを毎日たくさん食べる人はそういないでしょう。

誰でも多少は食事が偏るものですが、あなたは何が多く何が足りないですか? 時どき自分の「偏り」を書き出してみて、そのプラスとマイナスを確かめてみる必要があるかも知れません。


(last updated 10/22/2009 H)

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