レビュー
2万円台で購入できる定番モデル

AMDのAPU搭載でどうなった? デルの格安ミニノートPC「Inspiron 11 3000シリーズ」レビュー

格安ミニノートPCの定番モデルであるデルの「Inspiron 11 3000シリーズ」に、AMDのAPUを搭載したモデルが登場した。価格.com最安価格は27,519円(2018年5月2日時点)からと、前モデルと同様、手ごろな価格を実現している。圧倒的に安い本モデルだが、どれだけ使えるのか、最廉価モデルである「エントリー・プラス」を使ってみた。

AMDのAPUを搭載したInspiron 11 3000シリーズ。11.6型液晶を搭載する格安ミニノートPCで、価格.com最安価格は27,519円(2018年5月2日時点)から

親しみやすいデザインと高い携帯性

今回試したモデルは、光沢のある青色のカラーを採用している。樹脂素材で、パームレストなどは価格相応の質感だが、天板は金属調のピカピカの塗装が施されており、派手な見た目だ。底面は梨地のサラサラとした質感で持ちやすい。細かいところではパーツとパーツの接合部分などが粗く、価格を感じる部分はあるものの、派手な色と丸みのある親しみやすいデザインで、その安っぽさを上手に消している。高級感はないが、2万円台で購入できることを考えると、合格点をあげたいところだ。

カラーバリエーションは今回試したブルーのほかに、ホワイトとブラックが用意されている。ブルーモデルとホワイトモデルは、天板がピカピカの光沢仕上げで指紋がどうしても目立ってしまう。指紋が気になるのなら、非光沢仕上げのブラックモデルを選ぶといいだろう。

光沢仕上げの天板。最近のパソコンではなかなか見かけないカラーリングで、好き嫌いがわかれそうだ

光沢仕上げの天板。最近のパソコンではなかなか見かけないカラーリングで、好き嫌いがわかれそうだ

底面のゴム足も同色に塗装されている。前モデルと同様、カラーリングには強いこだわりが感じられる

底面のゴム足も同色に塗装されている。前モデルと同様、カラーリングには強いこだわりが感じられる

本体サイズは292(幅)×196(奥行)×20.8(厚さ)mm、重量は約1.35kg(カタログスペック)。実測だと1163gとカタログスペックよりも軽かった。特別、薄くて、軽いわけではないが、フットプリント(設置面積)が小さいこともあり、カバンに収納しやすく持ち運びやすい。バッテリー駆動時間は約10時間(カタログスペック)。昔からのパソコンユーザーだと、AMDのプロセッサーを搭載したモデルで、これだけバッテリーが持つのは驚きだ。実際に、レビューのために持ち運んでみたが、極端にバッテリーの減りが早いと感じることはなく、6、7時間は使えそうだと感じた。

本体重量はキッチンスケールでの実測で1163gだった

本体重量はキッチンスケールでの実測で1163gだった

ACアダプターを含めると1429g。ACアダプターはコンパクトだが、ケーブルが太くて長い

ACアダプターを含めると1429g。ACアダプターはコンパクトだが、ケーブルが太くて長い

性能はインテル製CPUを搭載したモデルと大きな差はなし

AMDのAPUを搭載したInspiron 11 3000シリーズのラインアップは全8モデル(2018年5月1日時点)。大きく分けると、「A6-9220eプロセッサー」(1.6GHz、最大2.30GHzのデュアルコア)を搭載したエントリー・プラスモデルと、「A9-9420eプロセッサー」(1.7GHz、最大2.7GHzのデュアルコア)を搭載した「スタンダード」モデルにわけられ、CPU以外のメモリーやストレージの容量、Officeソフトの有無・種類などが違ってくる。

今回試したエントリー・プラスモデルの主なスペックは、第7世代のA6-9220eプロセッサー、4GBのメモリー、32GBのeMMCストレージを搭載している。肝心の動作は、起動直後やソフトウェアアップデート中、ウィルス対策ソフト動作中などは、動きが遅くなるが、バッググラウンドでの処理が終われば、待たされる回数や時間は減る。サクサク快適に動作するとは言えないが、文書の作成や、Webページの閲覧、YouTubeなどの動画視聴といった用途なら問題なく利用できそうだ。

同価格帯で、インテルの「Celeron N3060」(1.60GHz、最大2.48GHz)を搭載した「New Inspiron 11 3000シリーズ 2-in-1」と比べると、体感ではほとんど差は感じなかった。AMDだからといってゲームができるというモデルでもないし、YouTubeが特段きれいに再生されるというわけでもない。パソコンの総合的な性能を測る定番ベンチマークテストソフト「PCMARK 10」(Futuremark)の結果も格安モデルとしては標準的な結果だった。

定番ベンチマークテストソフト「PCMARK 10」(Futuremark)の結果。低いスコアだが、格安ミニノートPCとしては想定内のスコアとなった

使い勝手は前モデルを踏襲

ディスプレイは1366×768の11.6型液晶。映り込みの少ないアンチグレアで、Webページの文字などが見やすい。その半面、鮮やかさには欠けるので、映像を高画質で楽しみたいという人には向かないだろう。最新のスマートフォンやタブレットを見慣れていると、色が白っぽく、一昔のディスプレイを見ているように感じるかもしれない。

1366×768の11.6型液晶を搭載。アンチグレアで映り込みが少なく、斜めから見ても色が変わることがない

1366×768の11.6型液晶を搭載。アンチグレアで映り込みが少なく、斜めから見ても色が変わりにくい

キーボードは本体が小型のため、コンパクトにまとまっている。キーピッチは実測で約17.5mmだった。頻繁に利用するEnterキーが細長く、人によっては窮屈に感じるかもしれない部分がいくつかあるので注意したい。キーストロークは1mmほどで、軽めの打鍵感だ。コンパクトで窮屈だが、このサイズ感を考えると、使いやすいキーボードに仕上げられている。

キーピッチが実測17.5mmのコンパクトなキーボード。小さいながらカーソルキーが独立しているのは立派

キーピッチが実測17.5mmのコンパクトなキーボード。小さいながらカーソルキーが独立しているのは立派

マルチタッチジェスチャーに対応するタッチパッド。クリック一体型で、使い勝手はそれほどよくない

マルチタッチジェスチャーに対応するタッチパッド。クリック一体型で、使い勝手はそれほどよくない

外部インターフェイスは、フルサイズのHDMI出力、USB3.1ポート、USB2.0ポートを備えるのが立派だ。メモリーカードスロットはmicroSDメモリーカードスロットなので、デジカメの写真を取り込むのには別途カードリーダーや、カメラとパソコンを直接接続するケーブルが必要になる。ディスプレイやキーボードなどの使い勝手は、前モデルとほとんど変わっていないと言えるだろう。

フルサイズのHDMI出力とUSBポート2基を備える。ミニノートPCとしては外部インターフェイスが充実している

フルサイズのHDMI出力とUSBポート2基を備える。ミニノートPCとしては外部インターフェイスが充実している

まとめ

Inspiron 11 3000シリーズは、インテルのCPUからAMDのAPUに変わったが、パフォーマンス面で大きな差は感じられなかった。パフォーマンスは価格相応で、外出時の文書の作成や、Webページの閲覧、メールのチェック、YouTubeなどの視聴など、ライトな用途なら問題なく利用できるはずだ。アプリケーションを複数立ち上げて作業したりすると、動作が重くなるときがあるので、使い方には注意したい。

また、今回試したエントリー・プラスモデルは、ストレージ容量が32GBしかなく、ベンチマークアプリを複数ダウンロードすると、ストレージ容量の空きがほとんどなくなり、アラートが出てしまった。オンラインストレージなどを活用すれば回避はできるが、ストレージの管理に苦労したくないという人は、ストレージ容量が128GBのスタンダードモデルを選ぶといいだろう。スタンダードモデルの価格.com最安価格は34,701円(2018年5月2日時点)なので、予算に余裕のある人はこちらを選びたいところだ。

三浦善弘(編集部)

三浦善弘(編集部)

パソコン関連を担当する双子の兄。守備範囲の広さ(浅いけど)が長所。最近、鉄道の魅力にハマりつつあります。

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