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松坂、待望1勝 日本で12年ぶり

日本球界復帰後初となる勝利を挙げ、ガッツポーズする中日の松坂大輔=30日、名古屋市東区のナゴヤドームで(中森麻未撮影)

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 プロ野球中日の松坂大輔投手(37)が三十日、ナゴヤドームで行われたDeNA戦に先発し、6回3安打1失点で今季初勝利を挙げた。日本球界での勝利は、西武に在籍していた二〇〇六年九月以来約十二年ぶり。日本では通算109勝、日米通じて165勝となった。チームは3-1で勝ち、連敗を四で止めた。

 松坂は神奈川・横浜高時代に甲子園春夏連覇を達成し、「平成の怪物」と呼ばれた。一九九九年にドラフト一位で西武に入団し、その年から三年連続で最多勝。「松坂世代」の中心として活躍した。

 米大リーグのレッドソックスに移籍した〇七年にワールドシリーズ制覇に貢献したが、その後は右肩の故障に苦しみ一五年に日本復帰した。ソフトバンクでは三年間で一軍登板がわずか一試合に終わった。今年一月にテストを受けて中日に入団。背番号99を背負って新たなスタートを切り、今季先発三戦目で復活の白星をつかんだ。

◆1球に感謝込め

 勝利投手の権利を手にしても、松坂は森繁和監督の降板の打診を断り、六回のマウンドに上がった。自分から降りようとしないのは、投手の本能だけが理由ではない。

 「いろんな人の助けがあって、ここまで野球を続けられている。マウンドは感謝の気持ちを一番伝えられる場所だから」

 過去三年間は立ちたくても立てなかった。二〇一五年八月に手術した右肩の状態は一進一退をくり返す。引退が頭をよぎる日もあった。それでも、現役を諦める気にはなれなかった。「もう一度しっかり投げてから踏ん切りをつけたい」。日本全国の医療施設を回り、道を探った。

 中日に入団した今も肩の不安は消えない。「状態をチェックしない日はない」。毎朝、目が覚めると、右肩の動きを確かめる。調整法も変えた。かつては一日に何百球も投げた右腕が今年の春季キャンプで投げたのは計七百球弱。他の先発投手の半分以下に抑えた。

 今季最多の三万六千六百六人で埋まったナゴヤドーム。お立ち台でしみじみ語った。「これだけたくさんの人が入ってくれている中で、久しぶりの勝利を味わうことができて最高。物への執着はあまりないけど、今日のウイニングボールは特別なものになりました」

 中日ファンのみならず、全国の野球ファンが待ち望んでいた1勝。「今日をきっかけにチームも僕ももっともっと上にいけるように頑張っていきたい」。中日の松坂。「平成の怪物」に新章が加わった。

 (高橋雅人)

 

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