最も確実でシンプルに仕事のパフォーマンスを向上させる方法(2018.05.02)
たとえ少人数だとしてもグループの中で行なう言動は、1人を前にした対面コミュニケーションとは違った気分になるのではないだろうか。最新の研究では“観客”の存在がパフォーマンスを向上させることを指摘している。
■見物人の存在でゲームの成績がアップ
陸上競技や水泳の選手は練習中にも何度も記録に挑んでいるが、やはり自己ベストを出すのは参加した大会においてであるだろう。観客のいる大会はプレッシャーや緊張ももたらすが、たいていの場合はパフォーマンスを向上させていることが最近の研究で報告されている。
米ジョンズ・ホプキンズ大学の研究チームが先日、神経科学系学術ジャーナル「Social Cognitive and Affective Neuroscience」で発表した研究では、20人の実験参加者にビデオゲームをプレイしてもらう実験を行なっている。
参加者(19歳〜32歳)はシューティング系のビデオゲームに挑んだのだが、一定の成績を収めると小額の賞金が与えられることを予め伝えてインセンティブがもたらされた。それぞれの参加者は1人でプレイするパターンと、2人の見物人の前でプレイするパターンのどちらにも挑んだ。
「Daily Mail」より
収集したゲーム成績データを分析したところ、20人のうち18人は、1人でプレイするよりも見物人の前でプレイしたほうが成績が良いことが判明した。1人でプレイしたときよりも見物人の前でのプレイは成績が平均で5%良くなっていた。中には20%も成績がアップした参加者もいたということだ。
プレイ中の参加者の脳活動の状態がMRI機器を使ってモニターされたのだが、見物人の前でプレイした場合には前頭前皮質の一部の活動が活発になっていた。この部分は他者の思考や意図を推量する活動に関係している。また報酬系を司る脳の部分も活発に働いていることから、他者に見られることで快感を感じていることを指摘するものにもなる。
加えて腹側線条体(ふくそくせんじょうたい、ventral striatum)と呼ばれる部分の活動も活発になり、動作と運動神経が向上していることも判明した。
研究チームは少数の見物人はパフォーマンスを高める発奮材料になると結論づけた。しかしこれは「カッコいいところを見せたい」というよりも、「人前で恥をかきたくない」という心性のほうがおそらく強いということだ。
今回の研究ではたった2人の見物人であったが、これが大勢の“観衆”になったときにはどうなるのかについては、また別の研究が必要とされている。“観客”レベルではもしかするとプレッシャーに押し潰されてしまうケースが増えるのかもしれない。
ネットの普及で場所を選ばずに仕事ができる環境がますます整っているが、それでも人が集うオフィスや仕事場がなくならないのも、仕事のパフォーマンス向上やモチベーション維持において“他人の目”の必要性が実感されているからかもしれない。
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