エンジンラジコンカーを楽しむ趣味のサイトです RCモデル入門者・初心者へのアドバイスほか神奈川を基点に参戦するレースのことを掲載しています since2003.11.13
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2004.11.6 GP-touringu_TENGOKU from Bannnosuke
先日Gさんのエンジンが壊れた。
Gさんは甘くしてるのになんで壊れたのか分からないと分解したエンジンをしげしげと眺めながら悩んでいた。しばらくして「たぶんブレークインが悪かったのかもしれない」とポツリ。
小生の診断ではそうではなく、甘すぎるニードルで走りつづけていたことで「ケッチン」を起こしたのではないかと思います。
「ケッチン」とはもう死語になってしまって聞いたことが無いと思いますがノッキングのような物で、ピストンの上下に対して1次側からピストンの動作と相反する力が強くかかってしまったためにコンロッドが折れてしまったものだと思うのです。
小生はそう判断しましたがGさんはブレークインが原因と譲らなかったという場面がありました。そこで、今回はRCのブレークインに付いて少し詳しく書いてみようと思います。
ブレークインとは言うまでもなくエンジンの慣らし運転のことですが、エンジンの箱に入っている取り説には走行しながらやるように書いてあります。私の見る限りでは全ての人がこの方法でやっているようです。
しかし、これでうまくいく場合と、いかない場合とがあります。取り説通りやったのに調子が悪かったり、寿命が妙に短かったりしているのを見るにつけ、小生はあのブレークインでほんとにいいのだろうかといつも思っています。確かに現在のエンジンの加工技術は相当なものでメーカーの取り説からはブレークインすらしなくても良いような自信も見受けられます。
RCのエンジンのテクニカルデータを実車のエンジンに対比させると分かりますが、とんでもない高性能なエンジンということがわかます。
わずか1cc足らずの排気量で1馬力以上を出すのが現在のRCエンジンです。これを実車の排気量に換算すると3000ccのF1エンジンが2500馬力を出すことになるのです。
中嶋悟がF1で乗っていた1500ccのターボエンジンでも最高で1200馬力だったのを考えるとRCエンジンはどれだけとんでもない代物かがわかるというものです。
では、F1のエンジンも走行しながらブレークインをやっているのでしょうか。私だけかもしれませんが聞いたことがありません。公開してないので分かりませんが、おそらく工場の専用ベンチで無負荷の状態で綿密なブレークインをしていると思います
完ぺきかどうかは知れませんが、F1同様RCのエンジンも無負荷の状態でブレークインする必要があると小生は信じています。
何故かと言うとブレークインとはピストンとスリーブだけのスリ合わせではないからです。クランクシャフトとベアリング、コンロット上下の軸受けメタルとそれに通るシャフト、それらが発熱により膨張するエンジンブロックとの兼ね合いなど、稼動部だけでなくエンジン全ての慣らしがブレークインだと考えています。走行しながらのブレークインのように不安定な負荷がかかりつづけるやり方では、エンジンに良い訳がなくとても小生はやる気にはならないのです。
という訳で小生のブレークインは80%は走行前に無負荷でやるのです。
走行しながらやるのは最後の仕上げとしての残りの20%に限っています。このやり方は小生が考えたことではなく、小生が30年程前、始めて飛行機を始めたころ、95歳で10年程前に亡くなったラジコン界の草分け的な方に教わったやり方を小生なりに現代のエンジンに合わせてアレンジしたやりかたです。昔の粗悪とは言いませんが仕上げが不安定なエンジンをどうしたら本来の性能を引き出せるかと言うことからこのやり方が考案された物と思われますが、現在の高性能を考えると、「今も」と言うより「今だから」こそ、このブレークインはよりテクニカルデータ通りの性能を引き出すのに役立つのではないかと思えるのです
ブレークインの説明をする前に、このやり方でブレークインするとどのようなエンジンになるかということを話しておきましょう。
・ 上記は、あくまでもニードルが適正に調整されていることが前提で、絞りすぎたり甘すぎではなんにもなりません。
・ 加えて、上記はあくまでも主観的なもので、外国製を含めて全てのエンジンがこうなるとは限りませんので盲信はしないで下さい。
では、小生のブレークインを順を追って公開します。
注1)ブレークイン中で、ヘットに触れるということは終始手のひらをヘットに当てていることです。
注2)文章では説明しにくいところが結構ありまして、分からないところが多々あるかと思いますがご容赦ください。
付録)プラグもブレークインが必要なこともあまり知られていないようです。新品のプラグがもっとも良いのではなく、2タンクほど走ってフィラメントが白く変色したところが最も燃焼効率がいいのです。全日本クラスのエキスパートは決して新品は使わないそうです。
この記事を書いた後、予想外の反響があって少し驚いています。
このような前時代的なことが受け入れられるとは思っていなかったからです。このやり方をやってみようなどと思う人はいないと思っていたのですが、以外にもそうでもないようなのでもう少し書き加えることにしました。
まず第1に、最終の高速回転は長くても5秒以上は絶対に回さないで頂きたいことです。
エンジンの冷却は燃料とシャシーへの熱伝導だけなので、一気に高温に達します。ゆえにこれ以上回したら壊れる恐れがかなり高いからです。
空冷ファンをつけてやれば良いのでは、という意見が聞こえてきそうですが、ファンのベルトが追いつけず切れてしまうかもしれません。そして、切れたベルトがエンジンに巻きついて止まったりしたら、高温のままで急に停止させられた影響で、それまでのブレークインは無駄になってしい、そのエンジンは使い物にならなくなります。という訳で空冷ファンは使わない方が賢明です。もっと言えば、テストベンチに固定してプロペラを付けた(カー用エンジンには付かない)としてもヘッドの熱は一気に上がりますので、やはり2~3秒で回転を落とします。
もう一つ、面倒がってスパーギアをかみ合わせたままで回せば、間違いなくスパーは舐めてしまいます。
第2に、急ぐあまり途中を飛ばして一気に最後の高速回転に持っていったときです。この場合は2~3秒でも壊れる確率は非常に高くなります。壊れなくてもその後の結果はスカタンエンジンになるでしょう。
第3に、3の全開スローを3タンクや4タンクもしないことです。現在のエンジンは精度が非常に高いですから全く無意味なことをやっているに等しいからです。
そのやり方は、小生が飛行機をやり始めた30年前以前のやり方です。昔のエンジンのように精度が不安だった時は19クラスのエンジンを全開スローで2リッターぐらい回したものでした。
Bannosukeさんにラジ助から何点か質問をさせていただきました。
私の場合、基本的に負荷をかけないやり方です。はじめから負荷をかける(走行)やり方では完璧な磨り合わせができないと考えるからです。負荷をかけるのは、仕上げのときです。私の考えでは、負荷をかけて(走行)のブレークインはエンジンよりも駆動形のブレークインと考えています。
★飛行機用の場合はプロペラを付けますが、これは冷却用です。
高速回転以外のときは、指でさわれる程度です(大まかですが45度ぐらいでしょうか)。仕上げの高速回転では、絶えず指でさわってみて、さわれないほどの温度にはならないようにします。つまり、熱くてさわれない温度になったらニードルを戻すということです。(温度を測りながらやったことがないのであしからず)
たぶん可能だと思いますが、私の経験では、高速型にしかできませんでした。と言うより、私のブレークインはそのエンジンの回転能力をできるだけ引き出すやり方だと思います。トルク型ということは、シリンダーのボアとピストンのストロークが大きくかかわりますので難しいのではないかと思います。
これは圧縮が落ちてきたときでしょう。エンジンはやたらと回っているのにトルクが落ちてきたときです。
(まるでエンジンが空回りしているように感じます)
「ブレイクインを考える」のコラムは4年前から掲載させていただき、ブレイクインを考える一つの材料にしていただいております。基本的には京商GS15Rを想定して書かれています。そして、Bannosuke氏の30年近いGPの経験から編み出した方法となります。
本方法は純粋に「ピストンとスリーブおよびエンジン内各部分を、均質的に仕上げる」ことを目的とし、80%をベンチの上で管理しています。今のエンジンは精度も高くなり、ここまで入念なブレイクインは必要なくなった感もありますが、ブレイクインによりその後のエンジンの性質が変わるという考えは否定できないところであります。基本的にはエンジンの取り扱い説明書に従いブレイクインを行えば、規定された回転数、出力を生み出すこととなりますので、あまり凝ったブレイクインをすることは不要かと思いますが、文字通り「ブレイクインを考える」という意味で、お読みいただければ幸いです。
ランニングブレイクインであれば、回転数を上げすぎる危険性は少ないですが、ベンチのブレイクインの場合、何らかのきっかけで「過回転」を起こす可能性があり、エンジンの破損の可能性がありますので、実施される場合には、回りすぎに注意の上、万一回りすぎた場合は排気口をふさぐなどしてすぐにエンジンを止めて下さい。ラジ助
この記事が書かれた頃にゴムツーリングで一線で使われていたGS15Rエンジンの頃は、ブレイクインがその後の特性に与えた影響はかなり大きかったと感じましたが、現在のGXR15エンジンになってからは、私の主観的にはさほどどのようなブレイクインをしたとしても大きく違いは感じなくなりました。
無負荷でのブレイクインもサーキットでは当たり前のように見られるようになり、その方法もかなりシンプルに行われているようです。
しかし、あまり意味を持たなくなったように感じるブレイクインも、エンジン模型を走らせる上では大事にしたい行程の一つであることに違いはありません。bannosukeさんが言われていたのを思い出しますが、『エンジンが楽しているように感じさせながら、いつの間にか速く回されているように作り上げる』のが理想と言っていました。ある意味エンジンを「騙す」ようなやり方なのかな・・と思います。だから、最初はやはり甘めに、そして全開にしないようにゆっくり走らせながら、ある程度時間をかけてやるということも必要なのかな・・と思います。
bannosukeさんは30年前の模型エンジンから悪戦苦闘して、それこそ一日中エンジンがかからないとかそういうこともあった時代があり、また空ものも長く続けてきたからこそ、上記のような自分の仮説に基づいた一つの方法を編み出したのだと思います。
※2004.11.9校正・2004.11.11再校正/2005.9.16注記 /2006.11.10TZ-T5投稿文追加/2008.5.11ノーベンチブレイクイン追記/2008.5.11Bannosukeさんに質問事項追記 2010.7.10再々校正