「特別支援学級」で育った子の知られざる本音

5歳で発達障害の診断を受けた女性の今

発達障害の診断を受け、小学校、中学校と特別支援学級で過ごした女性の思いは……(撮影:東洋経済オンライン編集部)

「私はアスペルガー症候群とADHD(注意欠陥多動性障害)を持ち、早期に診断を受け療育を受けている最初の世代です」――連載の取材応募フォームから寄せられたメッセージには、こんなふうに書いてありました。送ってくれたのは、都内に住む20歳の女性です。

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そこで、早速これまでに読んだり聞いたりしてきた(しかしさほど詳しいわけでもない)発達障害の知識を総動員して、お話を聞かせてもらったのでした。

「おとなたちには、わからない。」シリーズ。今回は、5歳で発達障害の診断を受けて特別支援学級に通ってきた、高橋涼音さん(仮名)のお話です。

「特殊学級」→「特別支援学級」の1期生

涼音さんが発達障害の診断を受けたのは、2002年のこと。当時、発達障害という言葉を知る人は、まだ少なかったでしょう。看護師である涼音さんの母親が発達障害の知識をもっていたことから、早い時期での診断に結び付いたのでした。

涼音さんの幼少期は、なかなか波乱に満ちていました。小学校低学年のときは、一時保護所(児童相談所に付属する施設。18歳未満の子どもを預かる)で生活していたこともあります。これは、同じアスペルガー症候群でも自閉傾向が強かった妹さんの家庭内暴力のためでした。

一時保護所では「年上の少年に執拗にボコられ」て苦労し、自宅に戻った後は不登校に。その後、小3の2学期からは特別支援学級に入りました。「特殊学級」が「特別支援学級」という名称に変わった、ちょうど最初の年です。

中学も特別支援学級に通い、高校はチャレンジスクールへ。チャレンジスクールとは、不登校で中学に通えなかった生徒などのために東京都が設置した単位制・定時制の高校です。涼音さんはここに4年通い、今年度から大学生となりました(取材は2017年2月)。

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