18か月連続で増加していた韓国の輸出が「4月ショック」に襲われた。韓国の製造業の競争力が低下しているところに、急激なウォン高が決定的な打撃を与えた格好だ。これまで韓国製の製品は中国製と比べると価格は高いが品質は良く、日本製と比べると品質はかなわないが価格面では競争力があった。ところが中国が技術開発によって品質を高め、日本は円安によって価格競争力を高めており、韓国の輸出に陰りが見え始めてきたのだ。韓国産業研究院動向分析室のミン・ソンファン室長は「半導体は依然として世界で圧倒的な競争力を誇っているが、それを除けばほとんどの分野が中国と先進国の間で押し潰されている」と説明した。
さらに、韓国政府は今年3月、米国に対し「外国為替市場の透明性を高め、為替への介入情報を公開する」と約束した。専門家らは「2-3年以内に1ドル=900ウォン台の『為替のニューノーマル(新たな常態)』時代が訪れる可能性が高い。製品の競争力を確保しなければ、輸出が壊滅する恐れがある」と懸念する。
■ほぼ全分野で輸出が悪化
輸出不振に陥っているのは自動車、携帯電話、家電、ディスプレー、船舶などで、半導体を除く韓国の代表的な輸出産業が全て含まれている。韓国の自動車メーカーを代表する現代自動車は2011年、トヨタのリコール騒動によって米国で日本車の販売が急減したときに、コストパフォーマンスの良い車として日本車に代わって注目を集め、販売台数が急増した。しかし最近では円安とウォン高の同時進行により、価格競争力が低下している。現代自の幹部関係者は「トヨタのカムリは円安のおかげで値上げを最低限に抑えたまま高級仕様で売り出している」「一方の現代ソナタはウォン高のせいで価格調整と販売促進が制限され、競争が徐々に厳しくなっている」と話した。実際、米国でソナタとカムリの価格は1445ドル(約16万円)しか違わない。現代・起亜自は今年の第1四半期(1-3月期)、米国での販売台数が前年同期比7.0%減だったのに対し、トヨタは同7.4%増だった。
携帯電話、家電、ディスプレーも先月の輸出がそれぞれ40%、20%、16%減少した。原因は中国製の攻勢とウォン高だ。とりわけ最近の石油価格の上昇で回復が期待されていた造船業は、ウォン高が原因で受注が苦戦し、生存基盤すら失うのではないかとの懸念も出ている。ウォン高で発生する為替差損に伴う収益性の悪化も深刻だ。LG化学は第1四半期、過去最大の売り上げを記録したが、営業利益(6508億ウォン=約650億円)は18%減少した。為替変動だけで800億ウォン(約80億円)もの損害が発生したという。サムスン電子は最近提出した2017年の監査報告書で「ウォンの対ドル為替相場が5%上昇すれば、外貨金融資産の価値は2781億4000万ウォン(約278億円)減少する」と明らかにした。