子宮頸がんワクチン「差し控え」のリスク

ワクチン問題は日本社会の縮図だ

日本では子宮頸がんワクチン接種の差し控えが継続されたままだ(撮影:梅谷 秀治)
「子宮頸がんワクチン」を接種した少女たちの身体の症状が本当に訴えていたこととは。『10万個の子宮』を書いた村中璃子氏に聞いた。

毎年、3000の命と1万の子宮が失われている

──英科学誌『ネイチャー』などが主催するジョン・マドックス賞を受賞されました。

日本は世界初となる国家賠償請求訴訟が起きるなど、世界の反子宮頸がんワクチン運動の中心となっている。その中で、自身も子宮頸がんワクチンの薬害を唱える医師に名誉毀損で訴えられながら、日本における子宮頸がんワクチン問題に関する一連の執筆を続けたことが評価された。

──本のタイトル『10万個の子宮』の由来は?

日本では毎年子宮頸がんによって3000の命と1万の子宮が失われている。国賠訴訟が終わるまで少なくとも10年を要するといわれる。それまで、接種再開の決断ができる政治家や官僚はいないともされる。このままワクチン接種の一時差し控えが10年も続くと、これだけの数の子宮が失われる。あらためて警鐘を鳴らすのに適切と判断した。

──一時差し控え?

2013年4月に子宮頸がんワクチンは定期接種となった。各自治体の補助で、定期接種になる前からこのワクチンの接種率は7割程度を達成していた。しかしその2カ月後、国は積極的な接種の勧奨を一時差し控えるとした。ワクチンを接種した少女の親たちから、神経の異常を思わせる症状が出たとの訴えが起こったためだ。ワクチンが症状の原因であることの科学的根拠は見つからず、WHO(世界保健機関)も推奨し、世界130カ国で使用され、75カ国で定期接種されているにもかかわらず、日本では接種の差し控えが継続されたままだ。

次ページ本当に困っているのは女の子たち
関連記事
トピックボードAD
人気連載
トレンドライブラリーAD
  • コメント
  • facebook
0/400

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

  • NO NAME263291b112bc
    記事には書かれてないが
    200万人にワクチンして
    回復不能になったのは約200人
    毎年3000人が死に
    毎年1万人の子宮がなくなると書けば
    厚労省が一律規制せずに個人の判断で
    すべきものというのがはっきりとわかります
    up33
    down7
    2018/3/4 18:16
  • NO NAME430d1ae584fd
    日本人は原発の放射能もそうだけど科学が理解できないからね。アメリカの一部の人が進化論を否定するのを笑えないレベル。水素水が売れるわけだわ。
    up31
    down7
    2018/3/4 21:55
  • NO NAME430d1ae584fd
    ここで「副作用がー」って言ってる人は、ワクチンの「副作用に対する補償費用」が、「子宮頸がんに対する医療費」を上回ることを説明できれば自然にワクチンは無くなると思いますよ。ワクチンを接種するかどうかは統計問題で、個別の副作用を述べることは非論理的な主張だから。
    up22
    down6
    2018/3/4 22:02
  • すべてのコメントを読む
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • いいね!
トレンドウォッチAD
IT巨人4社の正念場<br>GAFA包囲網

グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン、この4社をまとめてGAFAと呼ぶ。今、強烈な逆風が吹く。問題の本質はどこなのか?フェイスブックの情報管理部門責任者に直撃。