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AI 週刊現代

我が家に「AIセクサロイド」がやってくる日

まるでSF

今年、男の夢をすべて叶えてくれる「ロボット」がついに市販された。米アビスクリエーションズ社が製造する「ハーモニー」だ。同社CEOのマット・マクマレン氏がこう語る。

「私は20年前から、本当の人間に見えるロボットを作ろうと考えてきました。ただ、それだけではビジネスとして成り立たない。

そこで思いついたのが、セックスとAIを組み合わせたロボットです。髪型やメイク、爪の形、目の色などを所有者の好みにカスタマイズし、そこに最先端の技術、つまりAIを使えば人間にかなり近いロボットができるのではないかと考えたのです」

ハーモニーは時々視線を動かしつつ、瞬きをしながら、唇を動かしてしゃべる。ユーザーの好みに合わせた性格の設定も可能で、会話を繰り返すことで、その内容も充実していくという。

 

セクサロイドに詳しいライターの高月靖氏が解説する。

「ハーモニーはまだ首から上しか動きませんが、中国のメーカーも開発に着手しており、競争が進めば人間のように体が動くものが早晩完成するでしょう。

ロボットのボディを触るとセンサーが反応して喘ぎ始めるとか、性器を模した穴から潤滑オイルが出る仕組みなどはいくつかのメーカーが開発に着手しています」

VR(仮想現実)技術を使えば、AIセクサロイドはさらに魅惑的な能力を発揮する。

SF作家の山本弘氏はこう話す。

「好みの容姿や性格、そしてどんな場所でしたいかを入力すると、ゴーグルがそれらを反映させた映像を浮かび上がらせます。

たとえば、中世の王宮だったり、幕末の京都の町家だったり。ゴーグルとともに、人間の体の質感が再現されたロボットを使用して行為を楽しむのです」

ピンポイントで正確な刺激

すでに下地となる技術は次々と開発されている。未来学者の川口盛之助氏が解説する。

「現在、ニューロマーケティングといって、脳波を計測し、人間の感情を推測しようとする試みが行われています。これは嘘発見器に近く、本人が自覚すらしていない感情を読み取ることが可能です。

この技術を使えば、人間がどこを触られたときに脳のどの部位が反応するのかが明らかになる。AIが人間の快楽のツボを瞬時に判断し、そこを重点的に刺激することが可能になるのです」

さらにロボットは人間の10倍の精度で、刺激を与えることもできる。人間には漠然としか表現できなかった、いわゆる「性感帯」を、脳波を読むことによって特定し、最も気持ちいい場所をピンポイントで探り当てることができる。

もちろん、AIがさらに進化すれば、人間の望みを先回りして叶えてくれる。相手の好みに反する言動もしない、まさに理想的な存在となりうる。

英シェフィールド大学名誉教授のノエル・シャーキー博士はこう言う。

「セクサロイドの登場は社会的に強烈なインパクトを与えるでしょう。老人ホームでの性的な癒やしとして導入されるかもしれない。

実用化によって、人間の孤立が深まると主張する専門家も多いですが、逆に人類の孤独を癒やす助けになるかもしれません」

高齢者を救う存在になると言うのである。金町脳神経内科院長の内野勝行氏も口を揃える。

「たとえば、認知症の対策としても効果があるかもしれません。快感は認知症の予防効果があることがわかっています。うまく活用すれば、ボケ予防の一助にもなる」

早ければ、「数年後にも実現する」とは前出・マクマレン氏の言葉だ。

「週刊現代」2018年3月17日号より