ざっくり言うと
- ギター製造で知られる米ギブソン社が破綻の危機に直面しているという
- 最近の音楽からギターソロが減っていることも一因だろうと筆者は分析
- 曲を録音するにあたって、今では「打ち込み」が使われるようになった
「ギター」をもっと詳しく
【大阪ブルース!】20世紀の音を作ってきた米ギブソン社が破綻危機 その背景は
ここで少しギターの話を。
アメリカのギブソン社が破綻に瀕しているというニュースがある。
エレキギターに興味のある人なら知らない人のない大メーカーで、同じアメリカのフェンダー社とともに、エレキギターの歴史はもちろんのこと、20世紀の音楽の歴史、特にその音色を作ってきたと言って良い会社である。
そのギブソンが破綻に瀕しているという。本業であるギター製造以外の事業がうまくいっていないという理由もあるそうだが、その本業も決して安泰ではないという。
その事情は日本のJポップのことを考えてもうかがえる。かつて、ポピュラー音楽の間奏ではあたりまえになっていた「ギター・ソロ」というものがどんどん減っている。
ギター・ソロがなくなっている理由の一つはコストダウンかもしれない。昔のポピュラー音楽では、主役である歌手の伴奏を務めるのはすべて人間だった。スタジオ・ミュージシャンと呼ばれる、レコード録音のための演奏を専業にする演奏家の仕事だった。
ドラムスとベースの「リズム隊」が最初に土台になる音を録音し、そこにピアノやギター、オーケストラなどを重ねて「伴奏」をつける。一流のスタジオ・ミュージシャンとなるとけっこうな料金が発生する。その人たちを1日に何時間も拘束して、録音しては聴き直し、何度もやりなおして完全な「カラオケ」を仕上げ、それに合わせて主役である歌手が歌を吹き込む。
ところが21世紀に入る頃にはもっと安上がりな方法が生まれた。生の楽器の音を録音しておいて、シンセサイザーのような鍵盤楽器で再生したり、楽譜に合わせてコンピューターで再生させる技術だ。俗に「打ち込み」と呼ばれる方法である。
(柿木央久)
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かきのき・てるひさ 昭和42年大阪生まれ。音楽批評家。ボサ・ノヴァとロックが主なフィールドだったが、有山じゅんじやザ・たこさんとの交友をきっかけに関西のブルース・ソウルが主なフィールドに。著書・共著「決定盤 ボサ・ノヴァCD100選」「200ロック語事典」「大阪がもし日本から独立したら」ほか。
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