この記事は「どんな題材も、音楽に置き換えてバンドマンっぽく語るとより魅力を伝えられるのではないか」というアイデアをBuzzFeedスタッフが架空のバンドを結成して試してみたものです。題材はユニクロの「アンクルパンツ」。ご査収のほどよろしくお願いいたします。
あえて言うが、このバンドはチャレンジスピリットの塊である。人気絶頂期に解散した U níːd Qloset (ユー・ニード・クローゼット、以下ユニクロ)が若手ベーシストを迎えて10年ぶりに再結成。ニューアルバム『アンクルパンツ』で新境地を切り拓いた。
新作を引っ提げたツアーに向けてスタジオリハーサル中の3人を直撃。アンクルパンツの魅力について、じっくりと語り合ってきた。
——ご無沙汰してました。7年ぶりくらい? ソロでやり始めてから一度お会いしましたよね?
石井(Vo/Gt)「ああ(笑)、すげえ渋い弾き語りの曲出しましたって時にインタビューしてもらったね。実は俺と荒木が会ったのもそれくらいぶりです」
荒木(Dr)「うん。僕はずっと音楽から離れていて。ほかに楽しいことねえかなって感じでふらふらと。その間に石井くんは結婚して、気づいたら子どもも生まれてて」
石井「こんなに年相応に生きるとは思ってなかった。まあ、そのまま年をとるのが嫌でユニクロ再結成に辿り着いたわけで、なにかに導かれてるなとは思うんだけど」
——そもそも再結成のきっかけは、新メンバーのKEIGO。
KEIGO(Ba)「大阪であったイベントにとあるバンドのサポートで出てたんですけど、それを石井さんが見に来てて。ファンやったんで話しかけたんですよ」
石井「ユニクロの音楽をもう一度やってほしいと言われて、すごい熱く。いやいやもう解散してるしと(笑)」
——はははははは。
石井「でもKEIGOがやっていた音楽も、俺たちとは違うけどめちゃくちゃ緻密に作られているし、シンパシーを感じる何かがあって。で、まあやるかと、一緒に」
荒木「10年ぶりに血が騒いだよね」
石井「前に解散したときは、青春にタイムリミットがあるとして、できることは全部やり尽くしたと思ってて。若さのせいにできるのはここまでだ、って。でもそんなことなかったなってのを『アンクルパンツ』が完成したいま、心の底から思います」
——10年ぶりのニューアルバム『アンクルパンツ』、レコーディングは順調だった?
石井「そうだね、バンドでやるのは久々だったんで不安もあったけど、一緒に音を鳴らした瞬間、これだよなって。言葉は要らないっていうか、時間を超えたというかね。やっぱ好きなんだよね、バンドが」
荒木「KEIGOの若いアイデアをけっこう取り入れて、俺たちらしさがより引き立てられた感じはするよね、うん、今どきっぽくて手が出せなかったものも、実際にやってみるといいじゃん、俺たちと合うじゃんこれ、みたいな」
石井「ジャンルにとらわれたアレンジって、やっぱりつまんない。年をとって出た深みと、今どきのスタイルの融合っていうのかな。俺たちがやるからこその、唯一無二の滋味みたいなのが滲み出たと思う」
——どの曲も細部までこだわりを感じました。2曲目の“ウエスト”とか、特に。
KEIGO「神は細部に宿るって言いますけど、そこは曲作る時から意識していて。“ウエスト”の場合はタイトにまとまってますけど、あえてルーズな表現も取り入れていて」
荒木「細かいところ、けっこうね、ほかのバンドと比べても新しい工夫をしました。それらがミックスされることで、引き締まって聴こえる」
KEIGO「3曲目の“ウールライクにセンタープレス”は曲の展開がかなり立体的。クラシックな、いい意味で普遍的な感じが出ましたねえ」
石井「今の時代感も大事だけど、その中で変えちゃいけないものも、やっぱりあって」
KEIGO「ジャムって作った“ドライEX”もけっこう気に入ってます」
石井「ユニクロ最速BPMの曲。俺たちのグルーブ感だよね、決めすぎないっていうか、空気感っていうかさ。俺たちすごいでしょ的な『臭さ』もない」
荒木「あとあれ、“コットン”はクリーンな感じに仕上がったと思う。音のテクスチャーをね、感じてほしい。すっごい気持ちいいから」
——“丈 〜 See our ankles”も印象的。どこか懐かしいような、でも圧倒的に新しい。こういうのが今後スタンダードになるのかなと。
石井「歌詞にも書きましたけど、『曖昧さを抱えながら生きるのが許せなかった でも、今はそれが心地いい』、これにね、尽きます。俺も若い頃はねえ……まあ多くは語らないですけど、つって(笑)」
荒木「昔こういうのが流行ってた時期も確かにあって、僕らはそれを現代風にアレンジしています。気に入ってくれてるファンも多くてね、これからのニュースタンダードになるのは間違いないです」
——音数が詰め込まれた音楽が多い中で、このシンプルさこそがロックなんじゃないかなって思います。
石井「シンプルですよ、表面はね。でもその裏ですごいことしてますから。まあそれは自己満足でしかないけど。特に大人がね、俺みたいな30代とか、その上の40代とかが楽しめるものになってると思います」
荒木「『アンクルパンツ』の聴き方って、正解はないと思うんです。だから、何にも縛られず、聴いた人が自由に解釈してほしいなと」
KEIGO「僕、好きなんですよ、ユニクロが。だからみんなに聴いてほしい、年齢も性別も国籍も関係なくこの時代を生きてる人全員に、『アンクルパンツ』を」
さて、ここからは現実世界の衣服の話。
インタビューで3人が語っていたように、ユニクロのアンクルパンツ(コットン/ウールライク/ドライ)はここがすごいんです。
バンドマン語から翻訳すると…
長らくファッションシーンから遠ざかっていた人にこそ触れてほしい、カジュアルからフォーマルまで、常に傍に置いておきたい傑作です!
photos by 木村心保 for BuzzFeed, location: RE:BIRTH STUDIO