ZOZOSUITSに思うこと | COMEMO
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この記事は、牛込 俊介さん、他11がいいねしました
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2018/04/29 12:05
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2018/04/29 12:05

ZOZOSUITSに思うこと

 秋までこないといわれていたZOZOSUITSのデリバリーが始まりました。
巷では、色々な意見がいわれていますが、私は「落ち着くところに落ち着いたな」という感じです。私の最も信頼しているシステムエンジニアはいつもいっていました。「システムというのはシンプルであればあるほどいい」と。
当初、15000以上のセンサーを搭載し、ミリ単位の体のラインを、、、という触れ込みで、まるで宇宙服のようなスーツを出したZOZO。今回のSUITSは、もっとシンプルでスーツというよりシャツに水玉の模様がはいっているもので、そのシャツをきて、ぐるりと回ることで、水玉の変化をスマホで読み取りサイズを測るという技術に見えます(私の手元には明日届くようですので、実際の着用感はその後に)
当初、ハイテクをちりばめた発表を見て、この試みはうまくゆかないのではと感じていました。なぜなら、服のサイズというのは、フィット感でなく、色や形などトータルコーディネートの一つであり、例えばルーズに着る人もいればタイトに着る人もいるからです。さらに、ニットに至っては15000ものセンサーなど不要。5CMは普通に伸びますのでそんなオーバースペックは不要なのですね。
実は、今日いいたいのは、そういうことでなく、以下の三点です。
1. 私は、昨年からいろんな有識者といわれる方達と議論を繰り返し、アパレル業界のデジタルトランスフォーメーションについて語り合ってきましたが、ストレートにいわせていただければ、デジタル破壊力のイメージを理解されていないということです。また、こういう方達が企業の中枢におられる。
例えば、上記のような話しをすると、必ず出るのが「ECだから、こうするしかない」という反論です。では、なぜAmazonはホールフーズを買収するのか、なぜ、某アパレル企業は駅ナカにサイズ計測場をつくるのか、できないのなら、なぜ、できるようにと考えないのか、ということです。このように、多くの企業は顧客目線と言いながら、現実には「うちの事情はこうだから」とプロダクトアウト発想から抜け出せない。そこには本来どうすべきかという発想はありません
2.騒いでいる人の騒いでいる理由が不明。となりで火事が起きるとかけだしわっせと騒ぐ騒ぎ屋さん達。実は、SNSなどで大騒ぎしている人は、ZOZOで買うのはスーツで無く服だということを忘れているのではと思います。服を見たこともない、着たこともないのに、未来的なボディースーツのデザインだけをみて、ユニクロもこれで打撃を受ける。ZOZOは世界制覇をする、など、テクノロジーに騒いでいるのです。
巷で言われる、目的と手段の逆転ですね。おそらく、売られているのが、デニムとTシャツだということさえ知らないのではないでしょうか。PBを売るためにこのスーツを開発したのに、騒いでいる人はスーツについて騒いでいる。全く理解できない話しです。ですから、私は安価にサイズを測れるようになった今回の変更はどうでもよいし、その結果、PBのMDがどこまで拡大するか、何日で縫製できるのか、その品質は、など、そちらのほうが気になります。
当然、PB以外にも展開するでしょうが、例えば、私は、あるNBブランドAは44ですが、あるブランドBでは42という具合に、ブランドや個体差のバラツキが大きく、実際にサイズ計測をおこない。ちょっとルーズ、ちょっとタイトなどが選択でき、NBであっても裾直しやウエスト直しができるようになれば、すばらしいなと思いますが、そこまでゆくのかどうかという方が気になります。
くどいようですが、我々は「服」を買うのであって、その手助けをするテクノロジーが退化した、進化したということは目的からは何の関係もない話しなのです。
3.カスタム・オーダーはサイズだけではない。最後に、今は、ZOZOSUITSの影響からか、カスタム・オーダーといえば「サイズ」だけがフィーチャーされていますが、技術的にはAI (人工知能)の画像認識技術を使えば、世の中にある写真から、着こなしやトレンドを解析することも、ある種の客観性をもってリコメンドすることが可能な時代が来ます (今は、まだ使い物になっていませんが、近い将来必ずでてくるでしょう)
しかし、世の中はサイズの話題ばかりがフィーチャーされている。また、カスタム・オーダーの話しをすると、必ず暗黙的に論点が(なぜか)サイズの話になっている。一昨年前、「誰がアパレルを殺したのか」という本が出版されましたが、その中で、「思考停止」という結論がなされていました。まさに、それを感じるわけですね。
私は、いろいろな方と議論、討議をしていますが、みな口を揃えていうのが、この業界に起きているデジタル化の波には「論」がない。超抽象的な話しか些末な話しのいずれかで、産業論視点での「論」がないということです。
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