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家の酒を全部捨てた

　家の中で酒を呑まないようにしたのに、ずるずると破られてしまった。ひとりでアルコールを摂取したところで睡魔と頭痛に見舞われるだけだが、だからこそ精神的な自傷行為にちょうどよかったのだろう。

クリスティー博士らは、酒と健康の関連を調べた過去の論文計87件を分析した。その結果、「重大な誤りに気づいた」という。「過去の論文の多くが、病気が原因で禁酒している人々のことを考慮の対象から除外している」というのだ。

　「酒が百薬の長」というのはごく初歩的な統計母集団の誤りに過ぎないし、あまりに非生産的な時間が過ぎてしまうのが辛い。誰とも話さずただ眠くなって起きたら激しい頭痛に襲われる休日が無為に過ごされるたびにまた一歩死に近づく。

わたしの転機

　だから家にある酒をすべて捨てることにした。棚から見つけた酒瓶から酒を抜いていく。家の酒ぜんぶ抜く。焼酎・日本酒・ウィスキー・ジン・ホワイトキュラソー。ビールは既に呑みきっていた。

　そんなことで何かが変わるとは思えないのだけど、休日に部屋から出ることから始めよう。酒を飲むのは自分を含めた誰かと対話するときのものでありたい。もう部屋に酒を用意しておく必要もなくなったのだ。