2018年05月01日(火)
360.life編集部/Test by 家電批評編集部
【ソニーを直撃】完全ワイヤレスイヤホンが遅延するのはなぜ?
ケーブルから解き放たれたことで自由度が上がり、取り回しの良さが魅力の完全ワイヤレスイヤホン。しかし、音の遅延や音切れなど、課題はまだまだあります。そこで今回は、完全ワイヤレスをはじめとしたBluetooth接続のイヤホンが抱える問題について、メーカーへの質問取材を含め、色々な側面から考えてみました。
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完全ワイヤレスイヤホンは 「遅延」が大きな課題です
ケーブルからの解放という、イヤホンの革命を成し遂げた完全ワイヤレスイヤホン。しかし、音切れや遅延といった問題も残されています。 その一例がBOSEの完全ワイヤレスイヤホン「SoundSport Free」や、ソニーの「WF-1000X」。どちらの製品も、識者が驚くほどの音質を見せつけ、試聴テストでは非常に高い評価でした。しかし、これらのイヤホンは音の遅延が大きいという問題がありました。遅延の一番わかりやすい例がゲームプレイや動画視聴です。
要するに、動画やゲーム画面の動きと流れている音声がリンクしないという現象が起きるのです。これは、音声を伝送するときに圧縮することで起こるとされています。完全ワイヤレスの場合は、まず端末とイヤホンの接続、さらに左右のイヤホン同士も接続が必要なため、遅延が発生しやすくなります。これはシビアな操作が要求されるゲームなどにおいては致命的な問題。 しかし、一方でゼロではないものの、アップルのAirPodsのように、遅延を抑えられている完全ワイヤレスがあるのも事実です。
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音の遅延は解消されないの? メーカー3社に直撃しました!
そこで、「完全ワイヤレスイヤホンの遅延の解消は難しいのか? 」という質問を製造メーカー数社に尋ねてみることに。すると、多くのメーカーから「改善は見込める」といった回答が得られました。まずはその回答をメーカーごとにご紹介します。 [ソニーの回答] 「音声の遅延に関しましては、Bluetooth規格であることと、左右独立型であるという製品の仕様上の問題で、操作に対しても動画の閲覧に関しても多少のタイムラグが発生いたします。弊社としても動画再生時の遅延を認識しており、将来、進化・改善していく必要性があると理解しています」 このようにソニーは自社製品の現状を把握しており、遅延の改善に対しても前向きな姿勢でした。ノイズキャンセルが優秀な「WF-1000X B」のような製品で音の遅延が改善されれば鬼に金棒だといえます。
ソニー WF-1000X B 実勢価格:2万900円 重量:約6.8g ケース重量:約70g 駆動時間:最大3時間(NC ON)、最大3時間(NC OFF) 充電時間:1.5時間、充電ケース約3時間(フル充電) 対応コーデック:SBC、AAC
続いては、JVC。 [JVCの回答] 「原理的に遅延が発生する技術ですのでハンディはあります。それを最小にする工夫はありますし、できていますので、今後の進歩も期待できると思っています」
JVCも遅延については認識しているようで、それを最小限にする工夫があると明言しています。今後の進化に期待しましょう。
JVC HA-FX99XBT 実勢価格:1万7244円 重量:約48g 駆動時間:約8時間 ドライバー:ダイナミック型 再生周波数帯域:5Hz~40,000Hz 通信方式:Bluetooth 標準規格 Ver4.2 出力/最大通信距離:Bluetooth 標準規格 Power Class2/10m 対応Bluetoothプロファイル:A2DP/AVRCP/HFP/HSP 対応コーデック:SBC、AAC
[大手A社] 左右分離型の完全ワイヤレスイヤホンですが、現状では左右間の通信が必要なので遅延が生じてしまいます。チップメーカーも改善に取り組んでいるようですので、弊社としても最新の技術動向を注意深く収集してまいります 大手A社は「チップの進化で改善が見込める」といった考え。中には「かなり早いうちに解決されます」と回答したメーカーもあったことから、全般的に「音の改善問題」は期待が持てそうです。
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注目すべきは「NFMI」技術 遅延が少なく完全ワイヤレス向き
そこで注目しておきたいのが「NFMI(近距離電磁誘導)」と呼ばれる技術。完全ワイヤレスイヤホンの場合、端末との接続にはBluetoothを用いますが、イヤホンの左右同士の接続にはBluetooth以外の通信技術が使われることがあります。 「NFMI」もその1つで、補聴器などで使われている磁気により通信を行う技術。Bluetoothよりも消費電力が小さく、遅延が少ないのが特徴です。 特に、人体に吸収されにくい周波数で通信できるため音切れなどを抑制できます。まさに、完全ワイヤレスイヤホンにうってつけの技術だといえます。ちなみに、ブラギ「THE DASH pro」やニューフォース「BE Free8」には、この「NFMI」の技術が搭載されています。
プラントロニクスやJBLのように音質面で不利とされている「SBC」ながら、高品質なイヤホンはあります。このことから「SBC」でしっかり製品を作りこめば、十分な音質を達成できるということが見えてきました。 完全ワイヤレスやBluetoothイヤホンの遅延などについて考察してきましたが、いかがでしたか。今後もメーカーの問題改善に向けた取り組みに期待しましょう。きっと新たな技術や魅力的な新製品が生まれるはずです。
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