手取り20万円子育て家族の貯金の教科書
「手取り20万円子育て家族の貯金の教科書」を読みました。作者は横山光昭氏、ライターの朝倉真弓氏との共作になります。横山光昭氏の本は、いつも読みやすく、現実的な金額から貯金や投資が始められるのでおススメしやすいですね。
今回は手取り20万円からどのように家計を設計していくかということが主題になっています。内容はざっくりと下記のようになっています。
- 教育費1000万のリアル
- 大学入学までに300万を貯める方法
- 学資保険はいらない
- 「ここぞ」で使う貯金と保険
- 教育費を無駄にしない秘訣
- お金に強い子どもの育て方
- 子育ては老後を見据えて
このような内容です。私が普段読む本は社会学的な内容だったり、投資に関する内容だったり、ブログに関連する内容が多いです。
今回はその前段階、まず種銭をどのように作るか、貯金をどのように作るのかという視点の本を読んだということですね。感想文としていくつか思ったことを記しておきます。
今の時代を貫く、資産づくりに無くてはならない視点
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今の時代を貫く、資産作りに無くてはならない視点が2つあります。これは貯金、あるいは投資以前の家庭のあり方、家計のあり方とも言えます。それはズバリ2つです。
- 教育費あるいは教育関連費の見直し
- 支出と収入が合わないならば共働き
この2つです。以下、触れてみたいと思います。
教育費あるいは教育関連費の見直し
教育費の見直しはどの家庭も喫緊です。最大の固定費の1つだからです。
結婚して子どもがいる家庭の場合、教育関連支出が激増します。小さい頃はまだ良いのですが、小学校、中学校、高校、さらに大学と進むと非常な出費になります。私たち大人世代が生活するだけであれば支出はコントロールしやすいです。
しかし、子どもの教育に関連することは非常に絞りにくいものが多いです。例えば保育園料がそうですし、習い事や塾などもいずれかかってきます。私たち親世代は厳しい時代であることを十分認識しているため、子ども自身の価値を高めるような機会を作りたいのが親心でしょう。
つまりやる気があるなら習い事をさせたいという気持ちになります。そして、学校の成績を上げたいならば塾へ通わせるということになります。学校はそもそも評価機関のようなところがあり、どの子にも学力を身につけさせるには難しい面がありますね。
子どもがやりたくもない習い事をさせるのは論外ですが、子どもの気力と能力が充実していて「なんでも習いたい」というケースは非常に頭を悩ませます。とにかく何でも教育費は高いのです。
その最たるものは大学でしょう。大学の場合は一種の資格のような面もあるので、高学歴だとコミュニティも含めてお得感があります。また、資格取得に伴い、将来の就職が明確な大学も偏差値のわりに良い職業に就けるメリットがあります。
そのいずれも伴わない大学だとどうでしょうか。
結局、常に貫くのは「その習い事、あるいは学校は豊かな人生のために本当に必要なのか」ということです。あるいはかつての日本がそうだったように、「無理して大学へ行かなくていい」という時代になりつつあるのかもしれません。
支出と収入が合わないならば共働き
支出はテニスで言うところの「サーブ」のようなものです。テニスで唯一、自分の思い通りのタイミング、邪魔されない条件でプレーできるのがサーブです。
家計における支出も本来はそうで、自分でコントロール可能なものです。しかし、結婚をし、家庭を持ち、同時に責任が生じるとどうでしょうか。全て自分の思い通りの支出コントロールというのは難しくなります。
私たちの親世代の金銭感覚と、現役世代の金銭感覚は違います。親世代は妻が専業主婦という家庭が多くありました。社会全体もそのような制度設計になっており、例えば学校のPTA役員や自治会役員、子ども会などの時間拘束が大きいのはそういうことです。私はいずれも中途半端で申し訳なかったです。
しかし、今は年収が頭打ちですから多くの家庭で共働きが前提になります。手取り20万円で子育て家族だと、いくら工夫をして貯金をし、さらには投資をしてもなかなか自体が好転するのは難しいように思います。
労働は貴重です。やりがいとかそういうのを抜きにしてもです。例えば手取り20万ならば、ボーナス無しにしても年240万になります。年240万の手取り収入というと、株式ならばざっくり税引前でも8000万円の資産が必要になります。
税引き後3%の利回りとして、
8000万×0.03=240万
ということです。いかに不労所得を作るのが難しいのか実感できますね。
・・・記事を書いていて思ったのですが、教育を含む家庭生活が金銭的にこんなにも負担になりつつある今の日本というのは、いよいよこれはアレかもしれませんね。
貯金を大切に、投資を大切に、夢と未来を語れる日常にしたいと思いました。
貯蓄から社会制度、保険まで学べる良書です。投資本などよりも一般の人にはこういう本から入るほうがとっつきやすいと思います。もちろん、個人投資家にとっても、投資の種銭づくりのヒントになります。
関連記事です。
横山光昭氏の名著、3000円投資生活です。投資本としては異例の数十万部の売り上げを誇った本です。www.americakabu.com
こちらも貯金をテーマにした横山光昭氏の著作です。
ピクテ投信の社長である荻野琢英氏の本です。正統派の資産運用、隠れた名著だと思います。