四年前アイドルを辞めたあの子を、もう一度ステージの上でアイドルとして観ることができるとは思わなかった。
以前こんなブログを書いて、さくら学院父兄の私は佐藤日向ちゃんを観に、絶対函館ユニットカーニバルに行くぞと宣言していた。
めでたく両日参加できることになったので函館まで遠征してきました。絶対に忘れたくないライブだったので、書き残します。
今回のライブはアニメ「ラブライブ!サンシャイン!!」に出てくるスクールアイドルAqoursのライバルユニット、Saint Snowの主催ライブ。彼女らの故郷である函館にAqoursを招待し、ユニット対抗でパフォーマンスを披露するライブ構成となっている。Saint Snowのメンバーである佐藤日向ちゃんは元さくら学院のメンバーで特別な思い入れがある。絶対に現地でライブを観たいなと思っていた。
函館初日。函館空港に着くとSaint Snow、Guilty Kiss、CYaRon!、AZALEAがロビーでお出迎え。
空港内の函館ライブ用期間限定限定ショップにはコミケのような長蛇の列ができており早々に諦めた。オタクたちの朝は早い。
函館空港の外に出ると途端に肌寒い。函館ではようやく桜が満開となり春が来たというのに、港町らしい海風とカラッとした湿度の低さから、体感温度は全く違う。東京からずっと手に持っていて邪魔で仕方がなかった冬用のコートは、持ってきて正解だった。
函館空港からまずはバスで会場となる函館アリーナにむかう。グッズを買おうとしたけれど、すでに販売整理券が枯れていて、係員に聞いたら「今日はもう買えませんよ」と告げられた。(後でレギュレーションを確認したら、これは嘘だったとわかるのだが)
意気消沈しつつも、まあ仕方がないよね、ととりあえず友人と宿に荷物を預けて近くで評判の塩ラーメンを食う。海老のダシがとれたスープは、店の外からも食欲をそそる匂いがした。
食事をしていたら、ありがたいことに同行者の友人が自分のとあわせて我々の欲しいグッズを買ってくれることになった。地獄に仏。私はあまりグッズ欲がない人間なのだけど、この函館UCのために作られたキンブレ(色が変わる電池式サイリウム)は、記念に欲しかったのだ。
だって日向ちゃんカラーが入っているからね。
グッズを買ってくださった方にお礼をいい、キンブレを受け取り、会場近くの植物園で温泉に浸かる猿を観たりして過ごす。気持ちよさそうに温泉に入る猿の群れは癒される…と思いきや、猿山のボスの座を巡って絶賛権力争い中らしい。猿の社会もいろいろ大変そうだ。
会場入りし、ライブ初日を観る。
会場のスクリーンにユニット名が映し出され、スロットのように回り始める。緊張感溢れるイントロが流れ出し、最初に止まったのは他でもないSaint Snow!!!その瞬間に悲鳴のような声をあげてしまった。
曲のイントロがはじまり、Saint Snowの田野アサミさんと佐藤日向ちゃんのシルエットが見える。いよいよ始まる、というところで曲の入りを間違えてしまい、日向ちゃんのフリがずれた。スクリーンいっぱいにうつった日向ちゃんの顔は、これまでに観たことがないほど緊張している。
奇しくもアニメ本編、函館アリーナでミスを犯し予選敗退したSaint Snowを彷彿とさせるようなミスだった。
彼女がさくら学院ワンマンで体験したライブ会場で一番大きかったのは、自身の卒業式で渋谷公会堂キャパ2000人。函館アリーナは4500人。しかも目の前のファンのほとんどは、ラブライブサンシャインのファンであり、Aqoursのファンであり、Saint Snowのファンではないのだ。
自分が立ったどのステージよりも大きい、かつアウェーなライブステージで、ド頭に出てくるプレッシャーは並大抵ではないだろう。持ち直してパフォーマンスを続ける様子を見ながら、自分のことように胸がドキドキした。
ライブが始まると日向ちゃんはさることながら田野アサミのパフォーマンス力にも圧巻された。まだ少し硬い日向ちゃんをよそに、完璧にステージに没入している。圧倒的な声量のボーカルでとにかく魅せる。
どこか浮世離れしている言動をみるに、前々から「アミューズアイドルにありがちなパラメーター全部芸事に振った系の人だな」と思っていたけど、その印象は間違ってない。
この人がメインボーカルを務めるグループが解散すると聞いた時のPerfumeあ〜ちゃんの絶望感がよくわかる。こりゃ「うちら広島帰される」って思っちゃうわ。
MCでは
「みんな勉強やら仕事やら忙しいなか都合つけて有給とってきてくれて本当にありがとう」
「ありがとう以上の言葉があればいいのに」
など、言葉の端々からPerfumeあ〜ちゃんのMCを聞いているような、聞き覚えのあるフレーズがポンポン出てきてすごく不思議だった。あれはあ〜ちゃんがアサミさんに影響されたのか、アサミさんがあ〜ちゃんに影響されたのか、はたまたBEE-HIVE寮で教わったことなのか。アミューズアイドルファンとしては、血筋を感じてすごくおもしろかった。
アニメ本編の映像をバックに背負って歌うSaint Snowのパフォーマンスは、本当にテレビから出てきたようだった。元々ハードロックやメタルに合わせるのが難しいアイドルのダンスと歌唱を、佐藤日向と田野アサミのパフォーマンス力だからこそ見事に具現化できている。この2人だからこそ形にできたユニットだと改めて感じた。
Saint Snowの他にはGuilty Kissがめちゃくちゃ楽しかった。ベタベタのジャパメタのStrawberry Trapperはもちろん、ディスコティックなGuilty Eyes Feverはブチ上がり必至。身体が動く動く。Aqoursの時と比較してギルキスの時の逢田梨香子さんは特別楽しそうで、演っていてきもちいいんだなあというがパフォーマンスからビシバシ伝わってくる。本人がB'zなどのバンド楽曲好きということもあり、HR/HM要素が強いGuilty Kissとの相性がいいんだろうな。
アイドルのドヤ顔好きの私はスクリーンにりきゃこのドヤ顔が映る度にニコニコしてしまいました。本人がMCで言っていた「ギルキス大好き!」発言は心の底からの本音だと思う。
あと小宮有紗は本当に顔がいい。AZALEAでスクリーンに顔がドアップになる瞬間、ここぞとばかりにバッチリ表情を決めてくるので、カメラにぬかれる度に打ちのめされるような美しさに「顔がいい〜〜!」「顔が好き〜〜!!」と叫びまくっていた。
私はCYaRon!の「夜空はなんでも知ってるの?」の落ちサビで斉藤朱夏ちゃんがバレエを踊るように美しくターンする瞬間が大好きで、生で観てほれぼれしてしまった。朱夏ちゃんのパフォーマンスはいつ観ても気持ちがいい。
あとあの金属製のCYaRon!砲を片手で高々と持ち上げた伊波杏樹の筋肉と体幹の強さはガチ。
ライブは終始楽しかったものの、初日のトリにくると思っていたSaint Aqours Snow「Awaken the power」はまさかの披露なし。
ライブが終わった後に
「もしやこれは明日もないパターン…?」
と一抹の不安がよぎる。MCでメンバーが繰り返し言っていた
「今度は沼津でユニットカーニバルをやりたい」
は、それがつつできない悔しさからなんだろうなと思うと腑に落ちる。アニメ本編も終わり、事務所の違うAqoursメンバー9人の個人活動が始まっている中で、Saint Snowの2名まで加えてスケジュールをおさえて練習する時間は恐ろしくとれないだろうと想像がつくけれど…。
自分らはまだ明日に望みをかけられるけど、これ今日しかきてない人はガッカリだろうねと言いながら会場を後にした。その後はジンギスカンを食べたり湯の川温泉のお湯に浸かって1日目を終えました。
2日目起床。ホテルの朝食がクソ豪勢なビュッフェなので朝から悪魔のような丼を作って食う。プリン体が鬼のように高そう。
函館UC2日目は昼の開催。アンケートを書いたり推しへの手紙を書いたりしながら時間を過ごし、ライブ会場へ向かう。
2日目は日向ちゃんもミスなくパフォーマンスしていて、昨日より楽しむ余裕が感じられた。よかった〜〜!!好きな子が楽しいと私も楽しい。Saint Snowの本領発揮だ。
MCでは田野さんがこの場所に立てていることに繰り返し感謝を述べていた。ライブをできることの大切さを噛みしめる一言一言には切実な重みがある。こんなに実力がある人が自分のグループ(BOYSTYLE)では立てなかった舞台だからこそ、言いたい言葉なのかもしれない。ラブライブはアイドル田野アサミとしての夢も叶えてくれたのではないか。
他のユニットももれなく楽しくて、セトリも昨日と少し違っていて、2日間見れてよかったなと思った。
ただ、やはり残念なのは「Awaken the power」の披露は2日目もないまま終わってしまったこと。
終わった後に、近くの観客が
「俺ら何のCD買って函館来たんだよ」
とボヤいていたのはまあ正論だなと思いつつ、ファンはアンケートに書いて切望するしかない。
畑亜貴先生もこう言っておられることですので、権力のある大人なんとかして!!!!
そこからはいやーうちらの推しはやっぱすげーなと鼻高々な気持ちで函館駅の方まで移動し、アニメ本編に出てくる八幡坂あたりを散策し函館山まで登った。
ロープウェイは鬼のように混んでいて、頂上に登ったのは完全に夜になってしまったけど、とてもロマンチックな眺めだった。
とにかく人が多過ぎて、下るのにも延々と待たされる(しかも人が多過ぎるため列を極寒の外で形成される)という荒業に耐えていたら、頂上から出てる函館駅方面行きのシャトルバスを発見し、片道のロープウェイ代を無駄にしたものの比較的スムーズに降りることができた。
しかもこのシャトルバス、片道400円程度なのにガイドさんまで着いていて、山の景色を案内しながら、街の話までしてくれる。函館山、行きはロープウェイ、帰りはバスがおすすめ。ちぃ覚えた。
函館駅前に着き予約した店でライブに乾杯しながら美味しいものを食べた。
3日目は北海道一の朝ごはんと名高いラビスタ函館ベイの朝ごはんを食べる。いくらを食べ過ぎて飽きたのは人生でもかなり稀有な経験だったと思います。
そこからはベイエリアを少し探索。アニメ本編に出てくるラッキーピエロは人が長蛇の列を成していた。前に函館に来た時ラキピのチャイチキを食べたことがあるんだけど、over30にはなかなかキツいご飯ですよね。そりゃ花丸も太るわ。入るのは諦めて外から写真だけ撮った。
そこから五稜郭タワーへ。こちらも鬼のように人が多い(チケットを買うのに30分待ち、そこから入場までさらに30分かかる)けど、近くのコンビニ端末でチケットは買えるので、コンビニで買って入場列に合流した方がはるかに楽です。
果南が作中でビビりまくっていたシースルーの床は確かにクソ怖かった。これは果南をバカにできない!
この日の五稜郭は桜が満開で、花見客で賑わっていた。お酒とつまみを買って、外でプチ宴会をしてごろごろ寝転がっていた。ビニールシートも花見エリアに貼られている親切設計なので、飛び入りで行っても楽しめます。よい時期に来たなあ。
函館エリアの方に戻り、ハセガワストアでやきとり弁当を買い、空港行きのバスへ。
遠征旅行の終わりは楽しみにしていた予定が終わってしまう寂しさがつらい。また次の遠征の予定を早く入れなければ生きる楽しみがなくなってしまう。早く3rdツアーのチケットを当てさせてくれ…!!と願いながら東京行きの飛行機に乗った。
私がさくら学院の現場に通い出したのは日向ちゃんたちが卒業する2013年度からだったせいか、この代には特別な思い入れがある。日向ちゃんが卒業した四年前の春、もうステージでアイドルとして歌い踊る姿を一生見ることはないと思っていた。再びあんなに大きく華やかな舞台でアイドル佐藤日向を見せてくれたこと、本当にラブライブには感謝しかない。
日向ちゃんがMCで言っていた
「ラブライブは『みんなで叶える物語』だからね」
は本当にその通りで、またどこかでSaint Snowを観る機会が欲しいなと思っている。
とりあえず秋のBlu-ray発売まで待てないのでHPTツアーのBlu-rayをポチるところから始めよう。