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英内相、カリブ系移民の強制退去問題で辞任 メイ政権に打撃
【4月30日 AFP】英国のアンバー・ラッド(Amber Rudd)内相が29日、辞任した。第2次世界大戦(World War II)後に英国に合法的に移住したカリブ系移民の子孫が「不法滞在者」扱いされ、強制退去に直面している問題をめぐって議会を「うかつにも欺いた」ことを認め、責任を取った。地方選を目前に控えたテリーザ・メイ(Theresa May)首相には手痛い打撃となる。
英国では、カリブ海地域の英領(当時)から合法的に移住した「ウィンドラッシュ世代(Windrush generation)」と呼ばれる移民の子孫たちが強制退去を迫られる事例が相次いで発覚し、政府に対する世論の怒りが高まっている。
この問題で激しい批判にさらされていたラッド氏は先週、英下院委員会での答弁で、内務省が不法移民とみなして強制退去の対象とする人数目標を定めているとの疑惑を否定。省として定めた人数目標はなく、そうした措置が取られていたことを自分は知らなかったと述べていた。
しかし、実際には人数目標は存在し、内務省内では知られていた。また、目標が定められていることを示す内相宛ての文書があることも明らかになった。ラッド氏はメイ首相に宛てた辞表の中で「認識していなくてはならなかったのに、気付かなかった。全責任は自分にある」と述べ、「英下院内務特別委員会(Home Affairs Select Committee)をうかつにも欺いてしまった」と認めた。
メイ首相は27日にラッド氏に対する「全幅の信頼」を表明していただけに、突然の辞任は政権にとって深刻な打撃となる。5月3日に行われる英統一地方選にも影響するとみられる。
カリブ系移民が強制退去に直面している問題は、メイ首相自身が内相だった2010~16年に策定された厳格な移民政策が発端となっている。
英国では1948年、戦後復興を担うため西インド諸島からの移民第1団が「ウィンドラッシュ号」という船で到着。その後、英連邦(Commonwealth)全体から多くの移民が続いた。これらの移民は1971年の法律で合法的な定住を認められたが、子どもの頃に親やきょうだいの旅券で入国した人々の多くは正式な身分証明書を持たないまま現在に至り、近年の政府の取り締まり強化の中で不法移民扱いされる事例が多発している。
また、ウィンドラッシュ世代の中には、合法滞在であることを証明できないために失業したり多額の借金を背負う羽目になったりしている人もおり、こうした窮状に世論の怒りが沸騰。メイ首相は今月、カリブ海沿岸諸国の政府に個人的に謝罪していた。(c)AFP