(英フィナンシャル・タイムズ紙 2018年4月21・22日付)

米FRB、量的緩和の終了を決定 ゼロ金利は維持

米ワシントンD.C.(Washington D.C.)の米連邦準備制度理事会(FRB)本部(資料写真)。(c)AFP/KAREN BLEIER〔AFPBB News

 米国債市場は威圧的だと感じている読者がいたら、安心していただきたい。同じ考えの人はほかにもいる。

 ビル・クリントン氏が1992年の米大統領選挙で当選したとき、陣営の戦略家として腕を振るったジェームス・カービル氏が、もし生まれ変わることがあったら「自分は債券市場になってこの世に戻ってきたい。どんなやつでも威圧できるから」と語ったことはよく知られている。

 債券市場は、世界中の借り手と貸し手がお金の価格(金利)を決めるところである。それも何年も先の将来の金利を決める。

 この市場があるおかげで政府は借金をすることができ、年金基金は労働者に約束した年金を支給することができる。したがって、この市場は大変なパワーを持っている。

 それと同時に、多くの人々にとっては威圧的な存在でもある。複雑であるうえに、直観に反するものだからだ。利回り(債券投資の収益率)が上昇するときには債券価格が下落するといったことが、それに当たる。

 しかし、債券市場は以前から、景気について非常に信頼性の高いシグナルを発している。これもまた、債券市場が威圧的である理由の一つだ。そのメッセージを無視すれば、ただでは済まない。

 そう考えて辺りを見回すと、米国がついに金融の量的緩和(中央銀行が債券を買い入れ、その利回りを引き下げることによってお金の価格を低く抑えようとすること、略称「QE」)の時代に終止符を打とうとするなか、ここ1年間で浮上してきた重要な問題が目にとまる。

 債券市場が発するメッセージは不明瞭なうえに矛盾しており、もう頼りにならないのではないかという懸念が取りざたされている。