■尹徳敏(ユン・ドクミン)元国立外交院長
「北朝鮮がまた時間稼ぎをできないようにすべき」
南北首脳会談は韓半島(朝鮮半島)非核化の大きな原則にのみ合意した。韓国政府は、宣言文に「完全な非核化を通した核なき韓半島」という表現を入れたことに意味を付与するだろう。だが、それだけで北朝鮮の非核化の意思を確認したとはいえない。
宣言文で、終戦宣言の時点を「今年」と明記した点や、今後推進する4者会談の主体を「南北米中」と特定した点は評価に値する。しかし、西海(黄海)平和水域をはじめとする内容のほとんどは、従来の宣言の二番煎じだった。
韓国政府が南北首脳会談を表向きうまく演出し、韓国国民が体感する北朝鮮の核の脅威は減ったようだが、実際には何も変わっていない。興奮してはならない、という意味だ。
金正恩(キム・ジョンウン)労働党委員長は「延坪島砲撃」に言及するなど、幅広い視野と破格の演出で「普通の青年」というイメージ作りをした。米国との談判に先立ち、韓国を味方に引き入れたいという意思が見えた。中国・ロシアとも接触するだろう。
非核化なき終戦宣言はむなしいスローガンにすぎない。最終的非核化がなされるまでは、国際的な北朝鮮圧迫をめぐる協調を続けなければならず、北朝鮮が再び時間稼ぎをできないよう、コストが賦課される枠組みを構築すべきだ。