バーチャルユーチューバー(VTuber・バーチャルYouTuber)が増えに増えている昨今。はじめてみたい!という人は結構多いハズ。しかし、「3DCGモデルやLive2Dアニメーションを作るのは少しハードルが高い…」と感じている方も多いかもしれません。
そこで、今回は、
・VRHMDなどの機材がない!
・3D・2Dモデルを作るのが難しい!
・とにかくなにもわからない!
・とりあえずデビューしてみたい!
……という方向けの、簡単アプリをずらりとご紹介します。無料で使用できるツールを多く紹介し、特徴・使用感・どのツールが誰におススメか?など、各ツールごとに紹介・比較していきます。
【目次】
1.WEBカメラとマイクで今すぐVTuber
・FaceVTuber
・Hitogata
・Cluster.
2.スマホだけで簡単、お手軽VTuber
・ホロライブ
・パペ文字
・メイクアバター
3.HMDがあったらオススメ、便利なバーチャル空間制作ソフト
・カスタムオーダーメイド3D2
・バーチャルキャスト
4.その他、現在よく使われているVTuber動画作成ソフト
・FaceRig
・VRChat
カメラとマイクで今すぐVTuber
FaceVTuber
【特徴】
・とにかく簡単で汎用性が高い。
・WEBカメラとマイクとブラウザだけでできる上に、カスタムも簡単
・実況配信などを3Dキャラで、手軽にやりたい人にオススメ
・無料
WEBカメラさえあれば5秒で3Dモデルを動かせる、超簡単ツールが「FaceVTuber」。
GoogleChromeでアドレスを開き、WEBカメラを準備してスタート→セットを押せば、それだけで3DCGキャラが顔に合わせて動きます。中野シスターズのモデルがデフォルトで入っているので、とりあえず顔認識の実験をしてみるのに最適です。無料です。
MMDモデルが読み込めますので、アドレス下記にあるキズナアイやミライアカリなど、すでに配布されているものを使用することが可能。ミライアカリになって胸を揺らしまくるなど、悪魔の力を身につけることができます。
シロのモデルも動かせます。ただ筆者が試した際には、シロは胸の部分にあるボンボンが暴走して動きが荒ぶりました。おそらく他のモデルでもこういうのはあると思うので、放送する前には必ずチェックしておきましょう。
加えて他の人が作ったMMDのモデルを使用する場合は、使用許諾をきっちり読みこみ、使ってもいいかの確認が必要です。
ねこます氏の「ねこま」モデル。このように奥に下げることで全身を入れることも可能です(動くのは顔だけです)。
とにかく準備が楽、動作が軽い、最低限の機能はそろっている、モデル読み込みの自由、と魅力満載。VTuberならずとも、ちょっとYouTube配信やニコ生やりたいな、という時に使う候補に入れておいて損はないです。
ただし顔認識が繊細すぎるからなのか、ちょっとでも顔に光が当たったりするとトラッキングがはずれがち。もし本格的に使うのならば、部屋の明るさの確認をしておくことをオススメします。
Hitogata
【特徴】
・WEBカメラとマイクだけでOKで、手軽
・WEBカメラがなくてもVTuberになれる
・キャラクターのモデルや動作、背景もカスタマイズが可能
・簡単だけれども、少し個性のある放送をしてみたい人にオススメ
・無料
VTuber向けツール「Hitogata」をつくってみた(ニコニコ動画)
Mogg氏が作ったソフト「Hitogata」は、様々なカスタマイズもすることができる、簡単顔認識アニメーションソフト。かゆいところに手が届く機能が揃っているので、すでに使用しているVTuberは多いです。
WEBカメラによる標準的な顔認識のみならず、動画を読み込んでの表情認識することが可能。まばたきの頻度や、左右反転のミラーモードなど、細かく設定ができます。
口パクは、カメラでの認識の他に、マイクの音量からも動かせます。音量で口の開き方が変わる設定です。
このソフトの魅力の一つが、キャラクターカスタマイズ。顔、髪型、服装、色などを組み合わせて好きな見た目のキャラを作ることができます。
現在はまだバリエーションがそこまで多くはありませんが、徐々に増えていく可能性はありそうなので、期待したいところ。アクセサリーパーツは、自作のものを入れることができます。
現時点でもかなり遊べる状態なので、自分のベストオブかわいいを作ってみるのも楽しいです。
自分だけのアバターを、3DCGを作らずともカスタムしたいのなら、現時点ではこのアプリケーションが一番簡単な印象です。限界はありますが、ある程度個性を持たせた見た目ではじめたいなら、導入としてはもってこいです。
3DCGは前後左右上下、マウスの右クリックとホイールですいすい動かせます。
極端な動き方をしなければ、トラッキングも比較的としっかりついてきてくれますので、安定感もあります。
身体は基本動かせません。ただしモーションが最初から何種類かセットされているので、手を振ったり、大きく表情を変えたりと、録画中に操作することが可能。MMDファイルが使える人は、モーションを追加することもできます。
これを使えば、モデルの動作を操作しながら、録音した音声ファイル(合成音声でも可)を読み込ませて口パクさせ、WEBカメラなしのVTuberを作ることが可能です。
部屋の自作もできます。動かしている最中のカメラワークの切り替えやクロマキー合成も簡単なので、動画作成の際は幅広い遊び方ができるはずです。
Cluster.
【特徴】
・WEBカメラがなくてもOK
・ゲストを呼んでしゃべってもらったり、視聴者に観覧してもらうことができる
・プレゼン形式の動画を作るのに最適
・3Dアバターモデル読み込みにも対応
・無料
VRイベントルーム「Cluster.」は、パソコンのほか、VRデバイスのOculus Rift、HTC Viveで見ることができる、プレゼンテーションルーム形式のVR空間。ソフトさえ入れておけば、豆腐頭にアイコンの付いたアバターキャラになって、登壇することができます。
参加者はこのルームに入れば、席に座って観覧も可能。登壇者も自由に呼ぶことができます。
WEBカメラやアバターの設定がいらず、すぐにプレゼンできるのが強み。YouTubeでも現地の様子をリアルタイムで流すことができます。
背景のモニターには画像を出すこともできるため、発表会、演劇、音楽ライブなど様々な使い方が可能。一部の会社ではプレゼンで使用しているところもあるようです。
【トークイベント】非現実的な話。【cluster.×Vtuber】を見ると、実際にどういうことができるのかがほぼ分かるかと思います。
最近のバージョンアップで、3DCGのアバターを持ち込むことができるようになりました。VRChatよりも軽く、人数制限の幅も広いので、お手軽に配信できるのが強みです。
5月19日には「月ノ美兎のVR教室生放送」も開催予定。アイデア次第で多様な使い方ができそうです。
スマホだけで簡単、お手軽VTuber
ホロライブ
【特徴】
・スマホさえあれば動かせる
・安定感があり、プリセットモデルもかわいい
・PCのことはわからないけど、まずはVTuberになってみたい、という人にオススメ
・無料
https://www.youtube.com/watch?v=3-1A6lcPRnA
バーチャルYouTuber「ときのそら」を運営しているカバー株式会社制作の、スマートフォンでVTuberになりきれるアプリが「ホロライブ」。元はAR用に作られていたものですが、最近別物としてアップグレードされました。
スマートフォンにアプリをダウンロードして顔を映すと、すぐにキャラクターが顔と口の動きに合わせて表示されます。あとはMirrativなど外部アプリを使って配信するだけ。
ただ、使っている機種によって認識度合いと反応が違うので注意。
・iPhoneX:表情認識機能により、目の開閉や口の開閉が可能。
・他のiPhone:口の開閉は音声認識によるリップシンク。目は自動開閉。
・Android:口の開閉は表情認識。目は自動で開閉。
安定度が高く、キャラクターが荒ぶる状態になりにくいのも特徴。すでにこれを利用しているVTuberも多数登場しており、公式Twitterが紹介しています。
今はまだ開発途中のため、機能とキャラクターは少ないです。しかしすでにホロライブ用の専属VTuberのオーディションを行うと発表、デザインも公開されていますので、今後どんどん増えていくことが期待できそうです。
パペ文字
【特徴】
・iPhoneXで利用可能
・自由度が高いので、使い方次第で様々な可能性を秘めているアプリ
・実写と合成するなど、ちょっと変わった配信をしてみたい人にオススメ
・無料
https://www.youtube.com/watch?v=ZFAAI_qgTrQ
株式会社ViRDが発表したのが、iPhoneXで顔、背景、声を変更できる動画撮影・ライブ配信アプリの「パペ文字」。自由度は高く、自分の姿を上書きするような形でキャラを配置し、撮影することも可能。YouTubeやMirrativなどを使って配信することもできます。
こちらはiPhoneX以外の機種では動かないので要注意。
最近のバージョンアップでは、360度画像やiPhone内の背景も使用可能になりました。手も動かすことができ、バストアップのVTuber活動をするのに最適です。
https://www.youtube.com/watch?v=VCDlDO4tjQ0
現時点では通常の3Dキャラクターモデル以外に、Live2D Euclidのモデルにも対応しています。キャラクターになりきらずとも、マスクのように顔だけ隠すこともできるので、アイデア次第で色々な使い方ができそうです。
メイクアバター
【特徴】
・スマホで好みのアバターを作ることができる
・これだけでは動かせません
・現在はまだ未配信
・絵は描かずにオリジナルキャラクターを作ってみたい人向け
株式会社シーエスレポーターズ・Gugenkaが発表したのが、ARアプリ『Make avatar』。今はまだ未配信。オリジナルのキャラクターメイキングを行えるアプリです。
スマートフォンだけで目、口、輪郭、髪型、体をアレンジして、オリジナルのアバター作成が可能。無料のプラグインを入れると、VRChat、Anicast、HoloModelsなどで使用可能になる予定です。
ベースとなっているキャラ絵は「東雲めぐ」の五十嵐拓也氏がデザインしています。
現時点では「自分で自由にキャラクターアバターを作る」という機能があるアプリがあまり多くないので、絵を描かないでやりたい人は候補に入れておくのもありかと思います。
HMDがあったらオススメ、便利なバーチャル空間制作ソフト
カスタムオーダーメイド3
【特徴】
・HTC VIVEかOculus Riftが必要。18歳未満は買えない
・キャラクターカスタマイズが非常に充実している上に、クオリティが高い
・モデルや服装やアクセサリーの制作が簡単で、背景やカメラワーク、キャラクター動作の自由度がとても高いので、VRHMDを持っている人は触ってみる価値あり
・価格は9,800円(DL版は8,424円)
https://www.youtube.com/watch?v=8Ctg6mGmkbA
KISS制作の成年向けゲーム「カスタムオーダーメイド3D2」(リンク先18禁)に、バーチャルアバタースタジオ機能が追加されました。価格は9,800円(税抜)ですが、ダウンロード販売だと8,424円(税込)で買えます。18歳未満は購入できません。
キャラクターカスタム機能が半端じゃない。顔の作りのみならず、服装やアクセサリーはもちろん、体型も大幅に変更できます(ただし女の子しか作れません)。
また表情やモーションのバリエーションが豊富。スティックやパッドに、ゲーム中で使用されている表情全てからコンフィグで割り当てることができます。手の形など、普通に3DCGで作っていると動かしづらい部分も操作可能です。
口はリップシンクでマイクの音を拾って、開閉します。
HTC ViveかOculus RiftのVRデバイスに対応しています。またViveトラッカーを使って、足・腰・頭のトラッキングをして、全身を動かすことが可能です。ボーンの設定がいらないのは楽ちん。PCだけだと起動できませんので、注意。
キャラクターになった状態で、自分自身をカスタマイズできるのも特徴の一つ。動画内では胸のサイズを動かしている様子が見られます。やり方によっては、モデル読み込みで一人何役もできそう。
アクセサリは自作することができ、VR上で手で持って、位置設定することが可能。
背景もゲーム内にあるものをカスタム可能。クロマキー合成での背景合成はもちろん、デスクトップを配置してPCの画面を表示し、コメントを読み上げながら放送することもできます。VTuberをやる上での必要なことが揃っているだけじゃなく、かなり触り甲斐のある技術満載になっています。
バージョンアップされたばかりですが、既にこれを使用したVTuberは登場中。遊びとしても面白いツールが入れ込まれているので、多くのVTuberが「実際に動かしてみた」動画もアップされています。HMDを持っている人なら、買って触ってみる価値、ありです。
贅沢を言えば、自作3Dキャラをこのソフト内にインポートする、またはこのソフトで作ったキャラをアウトプットする、というのができるようになるのを期待したいところ。
バーチャルキャスト
【特徴】
・コメントを降らせるなど、生配信で遊べる機能満載
・同じ画面内にゲストを読んで簡単にコラボできる
・自由度が高く生配信向きなので、VTuberのスタジオとして使用できる
・無料
「バーチャルキャスト」は、株式会社ドワンゴと株式会社インフィニティットループが制作した、バーチャルルームです。VRヘッドセットなどを利用してキャラクターを自由に動かすことができ、コントローラーのトラックパッドを使って表情を変えることも可能。
一つのルームに、ネットを介してゲストを簡単に呼ぶことができるのが特徴のひとつ。「凸機能」をオンにすれば、知らない人のルームに自由に出入りすることもできます。コラボ生放送したい人にはもってこいのアプリです。
ホワイトボードとペンを使用して、空間に書き込めるのも魅力の一つ。デスクトップを画面内に表示することも可能。プレゼン的な放送を簡単に行えます。
【バーチャルキャスト】レディプレイヤー1のステマをする生放送【割とネタバレ注意】の動画を見ると、プレゼンのしやすさがわかると思います。
生放送中は、閲覧している人の文字やアイコンを物体化して降らせることができるのもユニーク。コメントを掴んで拾うなど、遊び心満載です。
詳しくはこちらの記事を御覧ください。
徹底解説!誰でもVRでバーチャル配信者になれる「バーチャルキャスト」 | Mogura VR
MoguraVR
その他、現在よく使われているVTuber動画作成ソフト
FaceRig
Steamで配信されている、顔認識ソフト。WEBカメラを利用して、3DCGキャラクターや2Dイラストをアニメーションさせることができます。
現在2DバーチャルYouTuberやゲーム実況者は、動かす絵さえ作れれば自由度が高いので、これを利用してクロマキー合成してするのが主流のひとつです。「FaceRig」は1480円、イラストを動かす「Live2DModule」は398円かかります。
VRChat
Steamで配信されている、バーチャル空間共有ソフト。無料です。ワールドの数が尋常じゃなく多く、世界中の人が接続しているVR空間を体験できます。
自分用のプライベートワールドを作って3DCGでログインすれば、オリジナルの部屋から配信することも可能。ゲストを自由に呼ぶこともできますし、別のワールドを撮影することもできます。ただしすれ違った知らない人を撮影・配信する場合は許可を取ることをお忘れなく。VRHMDを使うのがベターですが、PCだけでも使えます。
下記記事にて、始め方や遊び方を詳しく紹介しています。
話題のVRアプリ『VRChat』その魅力と始め方を紹介 | Mogura VR
MoguraVR
『VRChat』で自作アバターを使うには? 導入方法まとめ | Mogura VR
MoguraVR
まずは手軽にバーチャル配信をしてみよう!
VTuberが話題になった昨年は、アプリケーションの使い勝手や必要機器、イラストや3DCGの制作技術とハードルが高く、やってみたくてもできなかった方も多かったと思います。
しかし現在は、使用機器がスマホだけだったり、WEBカメラさえあればアバターも気軽に使えたりと、次々とソフトが出ることで始めるハードルは下がりはじめました。今すぐにでも、はじめられます。
一方でHTC viveなどをVR機器持っていればできることの可能性も、今年に入ってから一気に増えました。おそらくどのアプリケーションも、今後バージョンアップで便利になってくと考えられるので、まずは「触ってみる」「体験してみる」ことをオススメします。