「東京入国管理局収容所」の厳しすぎる現実

スリランカ人のニクラスはなぜ死んだのか

 祖国スリランカの海沿いの町に夫の無事を祈る妻を残し、およそ1年3カ月前、ニクラス・フェルナンド(当時57)が急死したのは、東京・品川にある東京入国管理局の収容所内だった。写真はフェルナンドの遺影と嘆く妻。スリランカのチラウで2015年11月撮影(2016年 ロイター/Dinuka Liyanawatte)

[東京 9日 ロイター] - 祖国スリランカの海沿いの町に夫の無事を祈る妻を残し、およそ1年3カ月前、ニクラス・フェルナンド(当時57)が急死したのは、東京・品川にある東京入国管理局の収容所内だった。

日本に到着してわずか10日後の2014年11月22日、施設に収容されていたニクラスは胸の痛みを訴え治療を求めたが、病院には搬送されず、その数時間後に息を引き取った。急性心筋梗塞だった。

「(収容所側の対応に)重大な落ち度はなかった」。法務省入管当局は彼の死亡についてこう結論づけた。他の多くの被収容者のケースと同様、この事案は管理責任が明確に問われることなく、同氏の家族への詳細な説明も行われないまま処理された。

何が起きたのか

ニクラスが死に至る過程で、何が起きたのか。

ロイターが収容所内の目撃者、多くの被収容者、医師、弁護士への取材や独自に確認した資料をもとに行った調査からは、入管当局の説明にはないさまざまな問題が浮かび上がってきた。

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  • NO NAME47db815d7a30
    茨城県牛久市にも入国者収容所がありますが、そこでも外国人が数人亡くなってると英字新聞で読みました。1人は「餅を喉に詰まらせて」。是非一度きちんと調査/取材していただきたいです。
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    2017/1/31 22:25
  • NO NAME7ae4fe2f0d92
    入管収容所の調査中にこの記事に辿り着いた。その実態には愕然とするが、今回は医師を「自称」するもののコメントも目に止まり、陰鬱な心持ちにさせられた。
    彼が人生初の投稿で表現したかったことは、確かめようもない医師という権威を振りかざして、読者に外国人への差別感情を刷り込むことだけだったのだろうか? そこには医師に期待される高い人格も知性も、また倫理さえ微塵も垣間見られない。
    例えば彼は「この治療費は結局税金で払われるのだ」と怒りの矛先を弱者に向けるが、入管職員の職務怠慢という税金泥棒にこそ憤るのが筋というものである。これでは入管関係者が、批判の矛先を逸らすために書き込んだと疑われても仕方がない。
    悲しいかな、我々日本人の差別への鈍感さは日本人同士でも似たようなものである。しかし諸外国の客人まで巻き込み、税金を使ってまで世界に恥を晒すことはやめるべきだ。この問題に多くの関心が集まるよう期待する。
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    2018/1/24 00:07
  • NO NAME01ecba68a3d6
    牛久は収容者を人間だと思って扱ってないんじゃないのか?職員の再教育が必要まだ、年少の教官のがマシだとおもう👍
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    down4
    2017/5/11 23:30
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