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やれば体は楽になる 年とともに衰えやすい6つの筋肉の鍛え方
Reライフおすすめ講座「筋力の老化を防ぐ 簡単筋トレのすすめ」
更新日:2017年12月19日理学療法士の笹川大瑛さんが、腰やひざ、股関節の痛みなど、さまざまな不調で悩んでいる方へおすすめのトレーニング方法を伝授した。
私が教えている運動は、90歳とか96歳の人にもやってもらっています。結構しんどいですが、ちゃんとできたら体は楽になります。正しく必要なトレーニングをして体が変わった――という体験をした人は少ないと思いますが、やれば、年齢に関係なく姿勢や運動を改善できます。これはスポーツ選手も同じです。関節痛のほとんどは筋肉の衰えが原因です。筋肉の一部分が弱くなれば、必ずほかの部位で支えようとするために無理をするようになります。このことが関節痛の発端であり原因となるのです。
ひざには、関節を支える筋肉があります。この筋肉が弱くなると、わずかながら炎症を起こします。その炎症を起こす物質が筋肉を萎縮させてしまうのです。
筋肉が萎縮した(=落ちた)ままでは、少し調子が上向いたからとジョギングや仕事を再開すると、またストレスがかかり炎症を起こします。炎症を繰り返すと組織がもろくなり変形していきます。ひざでしたら内側の軟骨がすり減っていきます。
そうなる(=変形する)前に、しっかり筋肉を鍛えることが大事です。鍛えるような運動をしないと筋力は戻りません。そのためにはどこの筋肉が落ちたのかを知ることです。年齢とともに衰えやすい筋肉は決まっています。その鍛え方をお伝えします。
◇
(1) 腸腰筋腰の前から股関節の付け根についている最も深いところの筋肉。ここが弱ると脚があがらなくなる。筋肉が非常に硬くなり、腰が反った姿勢にもなる。
【鍛え方】
・あぐらをかいて、太ももとすねで正方形をつくり、腰を立てます。脚の付け根に力が入ります。そこが腸腰筋です。
・この態勢のまま、おへそを前に出します。体を前に倒してはいけません。勢いをつけてもいけません。
・息は止めず、10秒間、最大限の力を出し続けます。
トレーニングを受けているのは作業療法士・小川豊さん(=写真中央)
(2) 多裂筋・腹横筋
多裂筋は腰の一番奥にある筋肉。腹横筋は腹筋のなかでも最も奥深いところにあります。腰を前に出すときや腰を持ち上げる時に使います。ここの筋肉が弱くなると、腰が丸まったり、がに股になったりします。
【鍛え方】
・横になり、上になっている脚を後方へ。上から見ると「人」の字に。後ろにした脚の足首は内側に曲げて、つま先を床に向けます。下になっている脚は前方へ、ひざはまっすぐに伸ばします。
・上になっている腕の手のひらを外回りで上側に向けてバランスをとります。
・胸を張りながら腰を耳の方へぐーっと持ち上げます。脇と腰がぐっと縮むような感覚です。
・左右で10秒間ずつ。股関節や腰の痛みに効果があります。
(3) 内転筋群
・太ももの内側にある筋肉。
【鍛え方】
・仰向けになり片方の脚のつま先を内側に入れて床につけます。
・ひじをつけて、お尻を床から浮かし続けます。
・左右で10秒ずつ。ひざが悪いほうの脚は力が入りにくいので軽くひざを曲げても良いです。反対側の腰が痛くなる人は反対側の股関節が硬くなっているだけなので、痛みが強く出ない範囲で行ってください。
(4) 内側ハムストリングス
・太ももの裏側の筋肉。
・座った状態で片方の脚をだらっと伸ばす。
・反対の脚のひざを曲げていく。つま先を天井に向け、ひざを曲げると、ももの裏に力が入る。
・ひざが立ってこないように10秒間ひざを曲げ続ける。ただし、ひざが痛い人は控えてください。または、長坐位で片足だけひざを立てないように曲げるのを繰り返すだけでも効果はあります。
(5) 前鋸筋(ぜんきょきん)
・胸のわきの筋肉。
【鍛え方】
・仰向けになり、両手を挙げて手の甲をあわせる。腕の角度は45度を保ったまま天井を触るような気持ちで10秒間、腕を上げ続けます。これを2~3回繰り返す。
(6) 菱形筋(りょうけいきん)
・背中の肩甲骨の内側についている筋肉。
【鍛え方】
・横に寝て手のひらを最大限外側に向けてひじを内側に入れる。ひじを床の方に寄せ続ける感じです。背中に力が入ります。
・首が柔らかくなり枕があわないという悩みも改善されると思います。
◇
トレーニングの効果を最大限得るためには、正しく行うことです。「正しく」とは、弱っている筋肉を動かして最大限力を入れることです。トレーニングは20分ほど。10秒間のトレーニングを2、3セットずつ繰り返してください。
私から言わせれば、運動することは生きることと同じです。ひざや腰の慢性的な痛みは、関節や筋肉の生活習慣病と同じなのです。健康を維持するためにも動ける体をつくってください。
◇
笹川 大瑛(ささかわ・ひろひで) 1988年生まれ。医療法人社団愛語会要町病院のリハビリテーション室に勤務。体育学科の大学時代に運動に興味をもち、理学療法士の道へ。高齢者の関節の痛みや動きの改善に特化した独自のトレーニングを考案。スポーツ選手の競技力向上のトレーニングやけがの予防指導のほか、柔道整復師、鍼灸(しんきゅう)師、理学療法士、作業療法士、整体師ら治療家に対して治療技術の講習会を開いている。◇
この記事は、朝日カルチャーセンター新宿教室で2017年12月2日に開かれたReライフおすすめ講座「筋力の老化を防ぐ 簡単筋トレのすすめ~内もも・腰・肩甲骨~」の内容を採録したものです。
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