タイトルからして引いたと思うが、真面目な話だ。
「『リズ』はオナニー映画だ!」という声をチラホラ見かける。
言いたいことは解るが、僕はこの表現自体に疑問を持った。
あれがオナニー映画なら、むしろ僕は大絶賛したただろう。
あれは言うなら、「キレイなオナニー」なのだ。
彼女は画面の中で「キレイなオナニーをします!」と宣言し、服一枚たりとも脱がず、ただ中指を中空に浮かべて、そこをずっとこすり続けたのだ。
それを90分間。
終わった後、彼女は言うのだ。
「ね?キレイでしょ?」
このAVを掴まされた人間は、絶対怒るだろう。
怒っていいのだ。
「こんなので抜けるか!」と怒っていいのだ。
あれは局部を見せることも触ることも拒否した、決然とした「キレイなオナニー」なのだ。
僕はこの、何とも言えず不快でイライラする、歪なプライドに満ちた態度のことを「スノビズム」だと考える。
芸術やエンタメの表現の恐ろしいところは、ややもするとすぐこういう「スノビズム」に陥るところだと言える。
だから同じスノビズムにまみれた、特にクリエイター関係者が、こぞったように空々しい讃辞を送るのだ。
「アソコを見せないし触りもしない!斬新!」
「キレイ!」
「嫉妬した!」
「もはやエロは違うステージに行ったのだ!」
だから同じスノビズムにまみれた、特にクリエイター関係者が、こぞったように空々しい讃辞を送るのだ。
「アソコを見せないし触りもしない!斬新!」
「キレイ!」
「嫉妬した!」
「もはやエロは違うステージに行ったのだ!」
しかし性欲に満ち満ちた僕達は、こう叫んでいいのだ。
「ふざけるな!!」
「ふざけるな!!」
アーティスト気取りの若者に多い。学生時代僕の周囲にもいた。
普通はプロに入ってから生きるか死ぬかの世界で研ぎ澄まされ、商売としての表現を考え始めるのだが、彼女はまだそれが抜けきっていなかったようだ。
もう一度言おう。
そんなに脱ぐのが嫌なら、AV業界辞めればいい。
ついでに僕の立場を言っておこう。
僕の長い長い抵抗の原因は、今のAV業界がスカトロオンリーになってしまったことだ。
ええええ?俺そんな趣味ないんだよぉ!?と叫んでみるも、みんなウンコ喰え!ウンコ喰え!とうるさい。
いやいやいや、みんな裸で興奮しようよ、もっと違う体液見てムラムラしようよ!といくら説得しても、ウンコ喰え!ウンコ喰え!の大合唱だ。
これじゃあ俺の興奮するAVが撮れない。そう嘆いているだけなのだ。
(このたとえ、いつかしてみたかったのだ!)
僕はちゃんと男女が裸になって、普通に交わってアンアン言っているAVが撮りたい。それだけだ。
それだけをシンプルに、やる。
ウンコは撮らない。
スノビズム、クソ喰らえだ!
(と、上手い事言って終わりにする)