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福井

県飼育コウノトリペア、有精卵を初確認

上部に影ができるなどして有精卵と確認されたコウノトリの卵(県提供)

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 県は二十七日、越前市中野町で飼育している国の特別天然記念物コウノトリが今月産んだ四個の卵のうち、二個が有精卵だったと発表した。残る二個も有精卵の可能性が高い。二〇一一年十二月に始まった飼育で有精卵が産まれたのは初。

 県内での確認は一九六四(昭和三十九)年に野生のコウノトリペアが小浜市国富地区で産んで以来、五十四年ぶり。

 卵は雄の「ふっくん」(二十歳)と雌の「さっちゃん」(十九歳)の間で四~十日に確認された。兵庫県豊岡市の県立コウノトリの郷(さと)公園主任飼育員の船越稔さん(54)の協力を得て二十七日、卵の下から光を当てる方法で検査した。

 有精卵の二個は、中に胚や血管ができ、下部は透けて上部に影ができる特徴を確認。残る二個も全体的に影が映った。有精卵より先に産まれたため、胚などがさらに成長して影ができたとの見方が強い。ひな誕生は五月六~十日ごろとみている。

抱卵するさっちゃん(右)とふっくん=越前市中野町の飼育ケージで(県提供)

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 検査後に船越さんや県自然環境課の佐々木真二郎課長らが同市都辺町の白山公民館で会見した。ふっくんとさっちゃんのペアは県内で飼育した昨年までに二十二個の卵を産んだが、いずれも無精卵。初めて有精卵が産まれた要因として、冬場に風切り羽を切らずに越冬させたことを挙げた。

 これまでは、倒壊防止で冬場はケージの天井ネットを開放し、ペアが逃げていかないように片側の風切り羽を切っていたが、バランスを悪くして交尾に影響があると指摘されていた。今冬は屋根付きのケージで飼育していた。

 親鳥を刺激するため今後は卵の再検査をせず、ペアに四個の卵を温めさせる。ひな誕生後は放鳥を検討していく。佐々木課長は「抱卵を放棄しないように驚かせたりせず静かに見守ってほしい」と呼び掛けた。

 (山内道朗)

 

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