菅直人首相は19日午前、首相官邸で鳩山由紀夫前首相と小沢一郎元代表、前原誠司前外相ら3人の民主党代表経験者と会い、東日本大震災と福島原子力発電所事故への対応を協議した。首相は「こういう事態なので野党にも協力をお願いしたところだが、代表経験者にも知恵を貸してほしい」と協力を要請。震災対策に与野党を挙げて取り組むため、「大連立」を念頭に自民党など野党に入閣を打診したい考えだ。
しかし、自民党の谷垣禎一総裁は同日午前、首相からの入閣打診について党本部で記者団に「全くそういう事実はない」と否定。打診があった場合に応じる可能性に関しては「一切考えていない」と拒否する考えを示した。
首相と代表経験者との会談で、小沢元代表は「自然災害への復旧に全力を挙げてもらいたい。原発の問題で総力を挙げて頑張ってほしい」と強調。鳩山氏は「現地に正確な情報が伝わっていない」、前原氏は「私は何でもやる」とそれぞれ語った。
与野党は午後に各党幹事長らでつくる「各党・政府震災対策合同会議」の実務者協議を予定している。首相は法改正で閣僚の数を増やしたうえで、震災復興や原発対策の担当閣僚を自民党など野党から起用したい考えとみられる。ただ自民、公明両党は連立政権への参加につながる入閣に慎重で、実現性は不透明だ。
18日の各党合同会議では、震災や復興を担当する閣僚を新設するため、閣僚の数を現在の17人から最大20人まで増やせるように内閣法を改正する方針で基本合意した。首相は18日夜の記者会見で「与野党間で内閣を強化するための方法についても話し合いをしてもらっている」と指摘。野党を含む連立政権の枠組みに言及している。
現在の国会は参院で野党が多数を占めている。大連立構想には、野党を閣内に取り込めば、震災復興策などを盛り込んだ補正予算案や特別立法の成立に速やかに対処できるとの読みがある。野党の批判をかわせるとの狙いもあるとみられる。一方、自民党や公明党は震災対応で菅政権への協力姿勢を示してきたが、入閣には「連帯責任を負わされかねない」として否定的な意見がくすぶる。