「15<2という不等式が成立してしまう日本という国の不幸」ハリルホジッチ前監督会見
今日は、日本代表監督を解任されたハリルホジッチ前監督の会見が、日本記者クラブで行われました。
ありがたいことに、各種メディアが全文を書き起こしてくれているので、まずはそちらを御覧ください。
「問題があるとなぜ言ってくれなかった」(スポーツナビ) – ロシアワールドカップ特集 – スポーツナビ
私は動画ではなくTwitterで会見を追っていたのですが、まあだいたい予想していた通りの流れというか、理由だったなと思いました。
まず大きなポイントとしては、協会の誰もがハリルホジッチに対して緊密なコミュニケーションを取ろうとしていなかったという点ですね。
「コミュニケーションに問題があったとは感じていなかったし、あったのならば、なぜ会長や技術委員は一度として指摘してくれなかったのか?」
「会長にしても西野さんにしても 『ハリル、問題があるぞ』と、なぜ一度として言ってくれなかったのか。一度として言われたことはなかった。」
「『テクニカルコミッティー(技術委員会)がコミュニケーションや信頼関係でたくさんの修復をしようと試みた』と話していたが、テクニカルコミッティーの存在すら私は知らなかった。だれも私のところに来て、話をしたことはないので、私は知らなかった。」
しかし西野技術委員長の役に立たなさっぷりは清々しいものがありますな(笑)。まあ、適材適所という言葉が存在せず、学閥・企業閥のお仲間同士でポストを持ち回りするのが田嶋体制なのだからこうなるのも当たり前なんでしょうな。
これを、日本的な阿吽の呼吸とか言わなくても分かる、みたいな手法が通用しなかったという点もあるのでしょうが、やはり個人的には田嶋会長はずっと前からハリルホジッチを辞めさせたがっていたのだと思います。
ハリルホジッチが原元専務理事と霜田技術委員長の主導で決められた監督であり、原さんは田嶋氏と会長選を争って敗れた後、2人に降格人事を行って結局協会からの退任へと追い込みました。その時点で、ハリルホジッチは完全に孤立していたのでしょう。
今回、西野さんが代表監督になった事で、代表監督の座もユースや五輪のように、日本人指導者の年功序列持ち回りルートに組み込まれたと思う。技術委員会の意見はそういう事。
— こばやしりょーじ (@gazfootballcom) 2018年4月24日
これが田嶋氏の本音だと思います。今まではA代表監督の座は特別な外国人で締められてきたわけですが、これからは監督も自分の影響力が及ぶ範囲のメンバーで順繰りに回せるようになったというわけです。学閥・企業閥で代表マネー利権の永久ループ、万々歳ですな。
「一番重要な23人の選手を選抜する時期に来ていたのだ。そこで、こうした問題が始まった。いろいろな情報が私の耳にも入ってきたものの、私はあくまでも自分の仕事に専念していた。」
「W杯予選通過をしたあの試合の後ですら、2人の選手が少しがっかりしていた。予選突破はしたが、試合に出なかったからだ」
「不満を漏らしている選手は2名でしょうか。私の方には『感謝している』『ありがとう』『残念だ』というメッセージを15人くらいが直接送ってきてくれている。」
これを受けて、2人が本田と香川じゃないか、いや岡崎かもという犯人探しが始まってますが、監督の選手起用についてクラブに直訴するのは欧州でも普通にある事であり、黙っていても何の得にもならない事を考えれば、それも選手として行きていく上で必要な政治力だと思います。
15<2という不等式が成立する条件を述べよ https://t.co/i4L7mTeCOA
— こばやしりょーじ (@gazfootballcom) 2018年4月27日
問題は、ハリルホジッチを支持してくれていた15人よりも、その不満を持った2人を田嶋会長が優先した点です。当然、そこにはサッカー的な価値以外の要素が影響していたと見るのは当然の事です。
小田嶋 隆さんが、今日のコラムで「サッカー協会に監督との不和を直訴した選手がいたのだとしても、協会としての答えは、『監督のサッカーに不満なら君がチームを出て行くほかに選択肢はない』に尽きているはずだ。」と看破されてますが、それが本来協会が果たすべきサポートというものです。
「W杯の日本代表23人を選ぶというのは、日本だけでなく、どこの国であってもたくさんの軋轢が起こる問題だと思う。」
ハリルホジッチの後任を探していたけど、岡ちゃんには断られ、解任のタイミングを逃している間に23人のリストが漏れ聞こえ始め、その中にスポンサーとしては大事な”2名”が含まれない可能性が高くなった。
そこで慌てて、なりふり構わずハリルホジッチの首を飛ばして、利益相反にも関わらず西野氏に後任を押し付けた、と見るのは果たして穿ち過ぎでしょうか。
最後に、ハリルホジッチは「私は日本の永遠のサポーターです。」と語ってくれましたが、サッカーとしての不正義がまかり通っている協会と代表については、一応は試合を見るでしょうが、この田嶋体制が続く限り、残念ながら心から応援する事が出来ません。
今回の会見で、また怒りが沸き起こるかと思いましたが、「ハリルホジッチありがとう、しょうもない国のために働いて申し訳なかったね」と、自分でも淡々とした気持ちにしかならない事に少し驚きました。それだけ、もう気持ちが冷めちゃってるんでしょうね。
午後からハリルホジッチ前監督の記者会見。どんな発言をするのか興味津々。世界中で監督更迭で文句を言ったのは僕の知る限りマラドーナくらいか。サッカーの世界では監督を引き受けた時点でいつ更迭されてもそれに従うというのが常識。自分自身を貶めるだけだと思うのだけど?。
— 川淵三郎(日本トップリーグ連携機構会長) (@jtl_President) 2018年4月27日
トルシエもろともクレールフォンテーヌとのコネを投げ捨て、育成に間違ったブラジル化を持ち込んで戦術を軽視、日本サッカーを20年後退させ、協会の拝金主義を作り出した。そして今も子飼いの田嶋を操って院政を引いている。あんたがそもそも元凶だよ。
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2018/04/28 | 日本代表
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