- 赤坂御苑で開かれた春の園遊会には約2000人が出席
- 羽生結弦選手ら平昌五輪の金メダリスト、国民栄誉賞を受賞した将棋の羽生善治氏・囲碁の井山裕太氏らも出席
- 両陛下は沿道約50メートルを歩かれ、多くの人たちと会話をされた
港区の赤坂御苑で、恒例の園遊会が行われました。
新宿御苑で行われる総理主催の「桜を見る会」と混同されがちですが、園遊会は、天皇皇后両陛下が各界で功績を上げた方々をお招きして催されます。
招待される各界の功績者は、各省庁から推薦された方々です。今年も、およそ2000人が出席しました。
天皇皇后両陛下が園内の小山に姿を見せられると、皇太子ご夫妻を始めとする皇族方も後に続かれます。
両陛下は、三権の長から挨拶を受けると、園内の道へと降りて道に並んだ招待客と親しく声をかけられていきます。
平成26年(2014年)の秋の園遊会から、両陛下とも80歳を超えられたことを考慮し歩かれるコースが短縮されています。
また、平成27年の秋の園遊会には、皇太子妃雅子さまが12年ぶりにご出席。雅子さまは体調やご負担を考慮し、コースを50mほど歩き、退出されています。
この時、当初は冒頭の国歌斉唱の場面で退席する予定でしたが、「せっかくの機会なので招待客のお顔の見えるところまで少し歩かれてから退出されたら」という両陛下のお気持ちを受け、沿道を歩かれることになりました。
今回も、沿道を50mほど歩き退席されましたが、明るく多くの人たちと会話をされていました。
今回の園遊会には、韓国・平昌オリンピックで活躍した選手や国民栄誉賞を受賞した将棋の羽生善治さん、囲碁の井山裕太さんらも招待されました。
将棋の羽生善治二冠
羽生さんはご夫妻で出席し、両陛下と次のような会話を交わされています。
羽生:
将棋の棋士の羽生と申します。
陛下:
おめでとうね。
羽生:
ありがとうございます。
皇后:
強い・・・。
羽生:
棋士になってもう、30年、32年経ってしまいました。
皇后:
夫人もお支えになってね。
羽生:
さまざな形で支えていただいています。
陛下:
一試合すると疲れるんですか。どうですか。
羽生:
そうですね。2日間の試合ですと体重が少し減ったりするときがあります。
皇后:
きょうはお二方ともゆっくりなさいませね。
囲碁の井山祐太碁聖
また、井山さんとは・・・
井山:
囲碁の井山と申します。本日はお招きいただき、ありがとうございます。
皇后:
おめでとうございます。
井山:
ありがとうございます。
陛下:
あれですか、この、国民栄誉賞を。
皇后:
そのお祝いも・・・。
井山:
ありがとうございます。
陛下:
本因坊というのは。
井山:
はい、あの、本因坊のときは少し名前が変わるんですけれども、文裕(もんゆう)という名前を名乗らせていただいてまして、本因坊というタイトル以外は普通に井山裕太なんですけれども。
皇后:
はじめて聞くの、天元。
井山:
よくご存じで。
皇后:
はじめて「書き付け」で見てね。
井山:
碁盤の中央が天元という場所なんですけれども、それがタイトルの名前にもなっています。真ん中です。
コシノジュンコ氏
コシノジュンコさんは、文化功労者としても顕彰されています。
コシノ:
お招きありがとうございます。
皇后:
コシノさん。
コシノ:
先日はありがとうございます。
皇后:
文化功労賞のときに。
陛下:
そうだね。
皇后:
楽しゅうございました。お話が。
コシノ:
そうですか、それはよかったです。
コシノ:
主人でございます。
配偶者:
はじめまして。
皇后:
いいお仕事をたくさんなさって。
陛下:
ずいぶんいろんなことを考えながら新しい・・。
コシノ:
そうですね。私はジャポニズムといいまして、フランスと日本の160周年ということで、それで私もいろいろとお手伝いさせていただいております。
皇后:
今度はオリンピックもパラリンピックも。
コシノ:
そうですね、もうこれは成功させる・・。
皇后:
何かお考えになって、いろいろの行事を。
コシノ:
委員で、はい、やっておりますけれども、まだまだこの2年すごく大切な事だと思います。そのあと大阪万博も考えても。
皇后:
いろいろおありになりますからね。
コシノ:
やはり先のビジョンというのは大切だと思います。
陛下:
どうぞお元気でね。
コシノ:
どうもありがとうございます。光栄でございます。
またオリンピックの金メダリストたちにはお祝いの言葉をかけられました。
小平奈緒選手
陛下:
この度は本当におめでとうございます。
小平:
こんにちは。ありがとうございます。
皇后:
五、千、
小平:
500メートルで金メダルをとらせていただきました。おかげさまで。
陛下:
でもよかったですね、本当にね。
小平:
はい。
皇后:
立派でございましたね。
小平:
また主将もやらせていただいて、百花繚乱というテーマを掲げさせていただいたんですけれども、本当にあの、選手のみなさんが頑張って、それぞれの競技で本当に綺麗な花を咲かせてくださいました。
皇后:
主将で、そうすると最後まであちらにいらっしゃって。
小平:
そうですね、閉会式では騎手もやらせていただいて。はい。
天皇:
ね、だけど良かったですね、本当にね。
小平:
はい。すごく貴重な体験でした。
髙木菜那選手ほかチーム・パシュート
陛下:
パシュートってのは、昔はなかったんじゃないですか。
髙木:
一応まだ浅いと思います。まだ何年か前からしか始まっていないので。はい。あと、マススタートも今回が初めての種目・・・
陛下:
ここはみんなパシュートなんですね。
皇后:
みなさんおめでとう。
陛下:
でもよかったですね。
皇后:
2つね。パシュートっていうんでしょうか。追い抜き?
髙木:
団体追い抜きですね。
皇后:
ご一緒になさって・・・よい思い出・・・とってもよくございました。・・・。
羽生結弦選手
陛下:
おめでとう。
羽生:
ありがとうございます。
陛下:
ずいぶん練習を重ねられたんでしょうね。
羽生:
そうですね。ケガをしてしまったので、直前はなかなかうまく練習ができなかったんですけれども、それまでに当たる過程で、たくさん練習は積んでこれたなというふうには思っています。
陛下:
ああ、そうですよね。でも、そういうケガをした後の練習はまた、非常に気を使っての練習だったんでしょうね。
羽生:
はい、学ぶこともとても多く、練習ができない期間も学べることがたくさんあったので、ある意味ではいいきっかけにはなったかなという風には思っております。
陛下:
ああ、なるほど。その練習できないときに学ぶっていうのは、どういうことだったのですか。
羽生:
解剖学だとか、あとは自分の体の動かし方だとか、いろいろと、その知識という面でつけなくてはなと思っておりました。
陛下:
ああ、そうですか。じゃあそういう意味での非常に進歩があったわけですね。その間 にね。
羽生:
そうですね。やっぱり普段練習しているとどうしても見落としがちなこともあったと思うので、いい機会だったと思います。
陛下:
でもなかなか大変でしょう。本当にね。
羽生:
大変でしたけど、また頑張ります。
陛下:
いい成果をあげてね。本当におめでとう。
羽生:
ありがとうございます。
皇后:
ようございましたね。お怪我の後はいかが。
羽生:
まだあと1カ月程度リハビリの期間ということで、医者からは止められてはいるんですけど、ある程度滑るようにはなって、足首の方も今のところやっているものでは、傷みなく滑れています
皇后:
立派でしたね。仙台でのパレードも素敵でしたね。
羽生:
ありがとうございます。
皇后:
皆さん、あんなに喜ばれて。
羽生:
そうですね。やはりこういう時に、ああスケートをやってきて良かったなと思いますし、また今回のパレードで復興支援の方にも、お金を回すことができたので、本当に皆さんのおかげだなという風に思っております。
皇后:
ずっと寄り添ってくださってね。本当に。お体、お大事にね。本当に見事にやってくださいました。
羽生:
ありがとうございます。
皇后:
今日はゆっくりなさいませね。
園内には、軽食や飲み物を並べたテントが設けられ、焼き鳥やジンギスカンを提供するテントには行列もできます。
中でも、焼き鳥とジンギスカンの食材は御用牧場から持ち込まれ、ジンギスカンのタレは、宮内庁大膳課が長く使っている秘伝のタレを使い、その場で焼いて提供される、ここでしか味わえない逸品です。
招待客は、雅楽や洋楽の演奏を聴いたりしながら、穏やかな午後のひと時を楽しんでいました。