[PR] この広告は3ヶ月以上更新がないため表示されています。
ホームページを更新後24時間以内に表示されなくなります。

 

「エピソード1」の現場はシミったれてましたよ。 

 イギリス留学中に「スター・ウォーズ/エピソード1」撮影に参加

 岩田 芳道さん  1999 / 08 / 22

 MR. YOSHIMICHI IWATA  

 

 先に「DAY FOR NIGHT」に掲載した「スター・ウォーズ/エピソード1」特集“「スター・ウォーズ」の逆襲”は、おかげさまでかなりの好評を博すことができました。そして、中でも反響が大きかったのが、実際に「エピソード1」に出演してしまったという日本人の方の手記。そこで、今回はこの岩田芳道さんに再登場していただき、さらに詳しくお話をうかがうことにしました。(8月16日、駒込にて取材)


 

まず、ロンドンに行くことになったきっかけをお話ください。

岩田:行ったのが5年前ですか?1994年ですね。ちょうど4年間滞在しまして、大学に行ってたんですよ。僕が行ってた大学というのが新設の学校で、初めはそこの語学コースに入って。

ロンドン行ったのは、これといった意味なかったんですよ。アメリカでもよかったですけれど、アメリカはビザが降りなかったということありまして。ま、元々演劇に興味あったんで、イギリスは演劇で有名でしたし、そういう環境に馴染んでみたいなと。

で、あちらに行かれて?

岩田:知り合いが向こうで、日本人劇団つくろうとメンバーを集めたんですよ。劇団「丸太」っていうのを旗揚げしまして、コメディとかシェイクスピアとか、ジャパンナイトって向こうの日本のお祭りでも演りましたよ。そこに向こうで結構有名な劇団のメンバーが申し込みに来まして、その方からの紹介というかたちでオリエンタル・キャスティング・エージェンシーってところへ入ったんです。1997年の6月、留学の最後の頃でしたね。

それはどんな会社なんですか?

岩田:ヨーロッパで一番大きいアジア人のエージェンシーなんですよ。007とか「セズン・イヤーズ・イン・チベット」のオーディションの話も来てました。同じエージェンシーの知り合いの子なんかはスパイス・ガールズのプロモのバックで踊ってたりとか。かなり面白い仕事がバンバン入ってくるんですよ。でもいいかげんなんですけどね、ウチの会社は(笑)。オーディションの場所間違えて教えたり。

仕事はどんな感じで入って来るんですか?

岩田:基本的には…急に入ってくるんですよ(笑)。今回の「スター・ウォーズ」だっていきなり電話かかってきて。まさか今更ねぇ、つくってると思いませんでしたから(笑)。何かテレビでかぶってやるのかなぁとか(爆笑)。ところが行ったら大っきなスタジオでしょう? そらビックリしましたよ。

そのエージェンシーでの最初の仕事は何だったんですか?

岩田:向こうで発売してる「リポビタンB3」って栄養ドリンクがあったんですよ。電通さんがこれやってて、キャンペーンモデルってかたちで。それが結構おいしい仕事で、3時間で300ポンド、日本円でいったら6万円ですか。最初の仕事でこれですから、「こりゃいいな」と(笑)。その次が「スター・ウォーズ」で、映画はあと、イギリス映画なんですけど、「Rogue Trader」っていうのに、日本人証券マンの役で出た。これのギャラが64.50ポンド、11万3千円ですか1日で。

結構いいですね。

岩田:でも、エキストラってのは結構つまんないですけどね(笑)。待ちが長くて扱いが良くない(笑)。まぁ、どこの国でも共通してるんですけど。

例えば待遇としては平均的にどうですか?

岩田:金額はいいですよ。1日1万3千円プラス、オーバータイム。この残業代がダブル・ペイなんですよ。倍ですね。「スター・ウォーズ」のときは残業かなりあったんで、結構ガッポリ入りました。1日2万近く。特にイギリスは物価高いですからね。

食事は?

岩田:映画によって違うんですよ。「スター・ウォーズ」のときは朝食出たんですけど、昼は出ないんですよ。普通の映画は出ますよ(笑)。

何時からだったんですか「スター・ウォーズ」の仕事は?

岩田:朝ですか? 早いですよ。始発で行きましたから。朝6時集合とかで。朝飯出ても昼飯カットですから、もう自腹ですよね。食堂がありますからスタジオに。でも、朝飯だって出るといってもケータリング・カーで、ソーセージとかエッグとかコーンフレークとか…シミったれてますよ(笑)。交通費がまた1000円しか出なかったんですよ。ですから同じ行き先の人を駅で探して…そうやってかないと割合わないですからね(笑)。それで晩飯は8時か9時頃ですか、これもパンとかサンドイッチとか配られるだけ。大きなタンクのジュースとか、缶コーラとか。みんなブーブー言ってましたよ(笑)。

まぁ「スター・ウォーズ」の飯の話はそれくらいにして(笑)、撮影自体はどんな感じでした?

岩田:撮影は主に朝と夕方ですかね。今、写真持ってきたんですけど…ていうか、そんないい写真じゃなくて。隠し撮りだったもんだから。(写真を見せる。)

ははぁ! こういう場所なんですか! だだっ広い牧場みたいなところですね。

岩田:他の人もカメラ持ってきてるかなと思ってたんですけど、持ってきてなかったですね全然(笑)!

機密保持が厳しかったんでしょう?

岩田:ビリビリですよ。一度トイレに行ったときも、どこ行くんだなんて聞かれて(笑)。

ちなみにあの宮殿のセットってどの程度つくってあったんですか?

岩田:かなり精巧ですよ。壁なんかも、ちゃんとペイントされてるし。

これが屋外のオープンですね。ああ、宮殿もある。

岩田:ええ。僕たちのスタンバイはテントの中で。いわゆるメイン・キャスト以外のエキストラは100人ぐらいですか。ウチのエージェンシーから来たのが20人ぐらいで、あとはオーディションか何かあったらしくて。基本的に助監督の人が撮ってまして、この方が片腕の人だったんですが。

ルーカスはどうなんです?

岩田:来ましたよ。初日来ましたよ、ルーカス。

初日は来た(笑)!…ってことは、そうそう来る人ではないんですかルーカスは?

岩田:ないですよ。一応、ナタリー・ポートマンが出てくるシーンとか撮ってて。一番最後のシーンで球体を持って、こんなふうに掲げるシーンとか。

全部で都合何日間かかったんですか?

岩田:1週間ぐらいですかね、トータルで。3日ぐらい来て、次は休みで、次の日また来てって感じで。だから、かかった期間は、僕は3週間ぐらいですかね。

1日何カットぐらい撮ってました? シューティングは?

岩田:3~4回ですね。少ないですよ。1つのシーンで5テイクですか、5回ぐらい撮り直しって感じで。ただ1テイクは長いですよ。

それは、一旦始まると5テイクは立て続けなんですか?

岩田:立て続けですよ。ただそれまでが長い。もうブーブー言ってましたよ(笑)。待ち時間が5時間とか7時間とかザラでしたからね。

ルーカスって無口なんですって?

岩田:ええ。全然しゃべらない。存在感ないっていうか。初めはいるかどうか、わからなかったですね。僕自体あの人の顔わかんなかったんで。回りがガヤガヤして「ルーカス来てるじゃないか」って。見たらサングラスかけて、ひっそり奥の方から。ホントもうひっそりって感じ。

完成品はご覧になってますよね? 撮影されたシーンは最後のドンチャン騒ぎのシーンと…。

岩田:あと悪者が星の住人を連れ去っていくというシーンで、あそこで連れ去られているのが僕ですね。凄くちっちゃくしか出てないですけれども。

岩田さんの役ってのは…。

岩田:シヴィリアンっていって、市民。特殊メイクないんですよ(笑)。かぶりもんがなくて、紫の民族衣装みたいな、ちょっとボンタンみたいなズボンはいてね。ほかにもアップのシーンとかあったんですよ。宮殿上ってメイクもして、僕のアップ写ってるかなと期待してたんですけど、なくって残念。

いわゆるスター級の俳優さんは、誰が来てたんですか?

岩田:もちろんナタリー・ポートマン、あとアナキン少年だけですね。

リーアム・ニーソンもユアン・マクレガーも来てなかった?

岩田:いなかったですね。違うアングルだったんでしょう。

メインのスターさんとはお近づきになれました?

岩田:いやぁ、ナタリー・ポートマンとかブラブラしてましたけど。とてもとても(笑)。

さっき話に出てきた「Rogue Trader」って映画ですが、これの主役の人は?

岩田:イギリスではかなり有名な俳優さんらしいんですけど、僕知らないんですよ。若い人でしたね。僕はその人の隣でパソコンとか打ってたんです。で、そのメインの役者さんがセリフ言って僕がマイムしたり、電話で日本語しゃべったり(笑)。株のこととかベラベラと、めちゃくちゃなんですけど(笑)。たぶん日本じゃ公開してないんじゃないかな?

これが最後の仕事ですか?

岩田:そうですね。この作品、もしわかれば教えていただきたいですね。大きく写ってますからね僕が(笑)。

 

 ところが、その後「Rogue Trader」を調べてみて、とんでもないことがわかったのです。この作品、確かに存在していたのですが、その主役というのが何とユアン・マクレガー! 岩田さんは、自分ではそれと知らずに、「スター・ウォーズ」の仲間オビ・ワン・ケノビと共演していたのでした!

(おわり) 

 

 

(C)1999 Yoshimichi Iwata / Fuma's Workshop

 

 

 Gateway Index

 

  People

 

  HOME

 

[PR] この広告は3ヶ月以上更新がないため表示されています。
ホームページを更新後24時間以内に表示されなくなります。