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【経済】

原発「基幹電源」を維持 基本計画骨子案 再生エネ「主力に期待」

 経済産業省は二十七日、二〇三〇年に向けた「エネルギー基本計画」の見直しの骨子案を審議会に示した。原発は「重要な基幹電源」と従来の位置付けを維持。再生可能エネルギーは「主力電源化に期待」と明記したが再生エネをどれだけ推進するかは判然とせず、「原発推進」という既定路線を変えたくないという意図も透けて見える。 (伊藤弘喜)

 見直しは一四年以来、四年ぶり。前回は三〇年に向けた指針のみだったが、政府は五〇年までに二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスを大幅に削減する目標を定めており、今回は五〇年に向けた戦略も含めた。五月に基本計画を取りまとめ、六~七月の閣議決定を目指す。

 骨子案は原発について「可能な限り依存度を低減」という前回計画を踏襲。再生エネには「主力電源化」との文言が新たに加わった。だが三〇年の総発電量に占める目標比率は原発が20~22%、再生エネが22~24%と前回から変わっていない。「主力」の意味合いが見えにくく、この日開かれた審議会では委員から「分かりにくい」との声が上がった。

 骨子案は「原子力政策の再構築」も打ち出しており、消費者団体の辰巳菊子氏は審議会で「むしろ原子力の拡大政策になっている」と疑問を呈した。審議会の座長を務める坂根正弘コマツ相談役が「原発を可能な限り低減する前提ではCO2の大幅削減はできない。原発の重要性は変わらない」と強調する場面もあった。

 一四年以降、世界的に再生エネのコスト削減が進む一方で、原発は建設費や事故リスク対応費が膨らむなど、エネルギー情勢は大きく変化している。しかし、審議会では従来の基本計画を抜本的に見直す議論はほとんど行われなかった。

 

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