先日、『名探偵コナン ゼロの執行人』、『レディ・プレーヤー1』を立て続けに鑑賞しました。
実はこの2作品にはある共通点があります。
それは、「ガンダム」。
ガンダム・・・そう、日本のアニメ界の頂点に立つ作品、といっても過言ではないSFロボットアニメ。
1979年にアニメの放送が開始してから39年、多くのシリーズが展開されていたにもかかわらず、私は全部スルーしてきました。
しかし、大好きな『名探偵コナン』でも度々ネタにされることが増え、いつもそのネタが楽しめないことにずっとモヤモヤもしていました。
そしてトドメをさしてきたのは、あのスピルバーグ。
あのガンダムが、スピルバーグの映画に出ちゃうなんて、もう我慢ならないぞ!
たまたまガンダム好きの友人がいたので、いろいろと話を聞き、とりあえず劇場版三部作を観ることにしました。
今回は、一作目の『劇場版 機動戦士ガンダム』の感想になります。
完全素人目線で感じたことを書きますので、どうぞファンの方はお手柔らかに・・・
Index
劇場版 機動戦士ガンダム
監督 | 藤原良二 |
---|---|
出演者 | 古谷 徹 池田 秀一 鈴置 洋孝 鵜飼 るみ子 白石 冬美 井上 遥 古川 登志夫 鈴木 清信 戸田 恵子 潘 恵子 永井 一郎 |
公開 | 1981年 |
製作国 | 日本 |
あらすじ
宇宙世紀0079——スペースコロニー“サイド3”はジオン公国を名乗り、新開発の人型機動兵器モビルスーツ“ザク”を実戦に投入して、地球連邦に独立戦争を挑んできた。
その結果、戦争は人類の半数以上を死に至らしめ、両陣営は今や膠着状態に陥っていた。地球連邦軍は起死回生のため、新型モビルスーツ“ガンダム”の開発に成功。
だが、辺境のコロニー“サイド7”へガンダム受領に向かった宇宙戦艦ホワイトベースは、ジオン軍の精鋭シャア・アズナブル少佐の巡洋艦ムサイに追跡されていた。
偵察に向かったシャアの部下の一人ジーンは、軍功を焦ってザクによるガンダムへの攻撃を開始し、サイド7は大混乱に陥った。
戦火に巻き込まれたサイド7の少年アムロ・レイは、隣人たちの危機を見てガンダムの操縦席へ乗りこみ、起動する!
かろうじて2機のザクを破壊することに成功したアムロだったが、それは長い戦いの始まりに過ぎなかった。(公式サイトより)
1981年に公開された劇場版三部作。
当時放送されていたアニメを再編集、新規カットを加えた特別版となっています。
なぜもっと早くみなかったんだ・・・っ!
おもしろい、おもしろいじゃんか・・・!!!!!!
これが「ガンダム」・・・!!!!
私はガンダムをなめてました。
〜映画を観る前〜
ロボットアニメねえ。昔「ガンダム00」をちらっとみたことあったけど、話がよくわからなくてハマらなかったしなあ。2時間集中できるかなあ。
〜2時間後〜
もう終わり!?!?え!!!もう終わっちゃうの!?!?!?!?!
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なるほど、これはたくさんのファンが生まれるのもわかります。
単なるロボットアニメではなく、戦争ドラマ、人間ドラマがしっかり描かれていて、アニメ好きとかロボット好きでなくても見応えを感じます。
ドラマチックなストーリーに加え、アムロやシャアなどの魅力的なキャラクター、一度聞いたら忘れられない名言の数々が印象に残りますね。
なんでこんなおもしろいもん今までみてなかったんだ!とかなり後悔したのですが、やや難しいストーリーや、言葉の数々を思うと、大人になってから観て正解かも。
戦争ドラマ、そして人間ドラマ
テレビで何度も何度も特集されるわりには、キャラクターや名言ばかりが一人歩きしていて、実はどんなストーリーかよく知らなかったんですよね。
だからこそ今観ても楽しめているんだと思うんですが・・・
ガンダムというと、あのでっかいロボットたちが宇宙でドンパチやるアニメのイメージだったのですが、どころがどっこい。
いざ蓋をあけてみると、かなりしっかりと描かれた人間ドラマと、反戦要素の強い戦争ドラマが繰り広げられていて驚きました。
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未来を舞台に、宇宙と地球で繰り広げられる戦争の中で、主人公やキャラクターたちが成長していきます。
第一作目の『劇場版 機動戦士ガンダム』は、主人公のアムロがガンダムに乗り、戦争に巻き込まれていくところから、連邦軍の敵であるジオン公国の存在を認識するまでが展開されます。
一作目は連邦軍サイドが中心に描かれ、ことに主人公アムロの孤独と葛藤、兵士としての成長が描かれます。
意外とガンダムで戦っているシーンよりも、キャラクターが出てきて喋っているシーンの方が多いのではないでしょうか。
そしてアムロの成長とともに、「戦争」とはどんなものかを改めて考えさせられます。
容赦のない攻撃、常に緊迫した戦況。そしてそんな中で戦うのは、大人ではなく若者なのです。
まだ15歳の少年がガンダムに乗って戦ったり、19歳の青年が戦艦ホワイトベースの艦長を務めたり、ガンダムに登場するキャラクターの大半は若者。
舞台は未来で、宇宙で、技術も現代よりよっぽど発達しているのに、やっていることは現代とかわらないのもなんだか切ないですね。
善悪がはっきりしていないのもまたよくできた演出です。
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戦いの戦法や描写もリアル。
特にホワイトベースが、宇宙基地ルナツーから地球のジャブローに降りようとするときの戦いはよくできてたな〜
シャアが連邦軍の邪魔をするのですが、この作戦が絶妙に相手の裏をかいていて、思わず感心してしまいました。
にも
残りの二作でどんな方向にいくのかわかりませんが、本作ではロボットアニメよりも人間ドラマ、戦争ドラマの面が丁寧に描かれていて、考察しがいがありますね。物語としておもしろかったです。
あのキャラも!このキャラも!
さてガンダムをご存じないみなさんも、アムロやシャアくらいは聞いたことがあるのではないでしょうか。
私も名前となんだかスカした奴らという印象しかなかったのですが(笑)、アムロはだいぶ印象が変わりましたね。
アムロは戦争に巻き込まれ、ひょんなことからガンダムに乗ることになります。
彼は別に兵士でもなんでもない、15歳の少年なんです。
とにかく生き延びるために、彼はガンダムに乗って無我夢中で敵を倒して、その場をやり過ごします。
終わったと思ったら、アムロはその技術を評価され、ガンダムの専用操縦士として選ばれてしまうのです。
アムロは不服に思いながらも、その後何度もガンダムに乗って戦いに出ていくんですね。
戦いが終わるたびにアムロの心は疲弊していって、彼は戦場から無事帰ってきたあとも、今すぐにやめてしまいたい気持ちと、自分にしかガンダムが扱えないという気持ちの葛藤に苛まれ続けます。
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「殴ったね!」のシーンや「アムロ、行きまーす!」(本作では「行きまーす!」しか言ってなかったような?)のイメージが強くて、コミカルというかわがままな坊や、というか、そんな頼りない若者のイメージがあったのですが、きちんと見直すと、アムロがそうなる理由もよくわかりますね。
しかも「殴ったね!」のシーンは、むしろ前後の流れがいいんですよ。
わけもわからず戦わされ続けて、しかもアムロは15歳の男の子で、嫌になるんですよ。
あのシーンは本来笑うシーンじゃないんですよ!!(今更)
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そんなへなちょこアムロが成長していく姿をみるのも、胸が熱くなりますね。
特にお気に入りなのは、お母さんと再会したシーンです。
あのシーンは、アムロの気持ちもわかるし、お母さんの気持ちもわかるし、胸が引き裂かれるような感情が生まれました。
「殴ったね!」のあとの「悔しいけど、僕も男なんだな」というセリフでも、アムロが大人になった!と思いましたが、「これからもお達者で、お母さん」と母に別れを告げるアムロも最高にかっこよかった。
ただこのシーンは、裏返せばアムロが母親からの愛情を完全に拒絶した切ないシーンでもあるんですけどね。
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シャアに関しては今の所ほとんど予想通りのキャラクターでした。
キザで、頭が良くて、非情で、根っからの軍人気質という感じ。
彼は本作ではそこまで素性が明かされなかったけど(セイラと兄弟ってくらいか)、このあとの二作で彼の過去やらなんやらが明らかになりそうですね。楽しみだな〜!
ちなみに最近シャアの年齢が20歳だったと知って衝撃を受けました。
こんなキザな20歳どこにもいないぜ・・・
アムロやシャアだけでなく、連邦軍にもジオン軍にもキャラの濃い登場人物がいっぱいいるんですよ。
あれだけいるのに、キャラクター一人一人に個性が植え付けられていて、魅力的にみえるってのもすごいですね。
苦労人ブライトさんも好きですが、今の所不運なガルマがお気に入りです。
なんでかっていうと、彼の不運なキャラクター設定がうまく作られているんですよ。
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ガルマの一族であるザビ家は、ジオン軍を率いる中枢一家。
ガルマはそれなりの頭の良さと、容姿端麗な点から、多くの人に愛される人気の軍人でした。
しかし、温室でぬくぬくと育ってきた彼は、人を疑うことを知らず、その優しい性格がかえって自分の首を締めることとなってしまうのです。
家族に愛されやすい末弟という設定もまた憎い。
たしかに彼は軍人としてはいささか詰めが甘いんです。
シャアに裏切られたことについては、あやつの方が一枚も二枚も上なのでしょうがないとしても、戦果を焦って周りが見えなくなったり、厳しい戦況だというのに女性にうつつを抜かしたり・・・
まだまだ未熟なところがキャラクターとして魅力に感じるのかもしれませんね。
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シャアの「君はいい友人であったが、君の父上がいけないのだよ」、「坊やだからさ」は、ガルマの性格や不運を端的に示すいいセリフですね。
本編を鑑賞後にガルマについて色々調べたら、彼はかなり女性人気が高かったようですね〜
ガルマが死んだあとは、実際に葬式が開かれたり、サンライズにカミソリ入りの手紙が届いたとか・・・
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大御所声優さんたちの若かりし頃を堪能
ほとんど知っている大御所声優さん方の若い頃の演技が楽しめるのも、本作のいいところですね。
アムロを演じる古谷徹さんも、シャアを演じる池田秀一さんも、声質が若くてなんかドキドキ。
ナレーターの永井一郎さんもクセがない声なので、言われるまで気づきませんでした。
マチルダ役が戸田恵子さんというのもわからなかったな〜
みなさん声が若くて、ご本人の特徴がまだそこまで強くないんですよ。
それが逆にキャラクターの向こうにいる声優さんを意識することが少なくてよかったです。
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個人的に、亡くなられるまでトム・クルーズの吹き替えを担当されていた鈴置洋孝さんがブライトさん役で出ていたのにハッとしました。
私的にはトムのイメージなのですが、一般的にはブライトさんのイメージなのかな。
久々に聞いたな〜
昔の懐かしいセル画が逆に良い
アニメの再編集ということで、絵はちょっと雑なところもあるのですが、やっぱりセル画は独特の雰囲気があっていいですね!
宇宙の中でフワ〜っと動くザクの絵とか、おもいっきしセル画をスライドさせている感じがたまりません。
最近はガンダムもそうだと思うんですが、ロボットが登場するシーンってCG処理されているのがほとんどですよね。
CGはCGでリアルっぽくていいんですが、私は背景とかキャラクターから浮いているのが嫌で、ロボットも戦闘機もアニメはアニメ絵で統一していてほしいんですよね。
その点は昔のアニメなので、ガンダムもザクも戦艦も背景と同じアニメ絵なのがいいですね。
あとは書き込みがすごい!
ガンダムとザクの戦闘シーンもそうですが、戦時中の逃げ惑う人々や、戦艦、基地などのこまかいところまでしっかり書き込まれているんです。
ガルマの国葬の演説シーンも、んまあ丁寧に書き込まれていましたね。
あのシーンは、銀河万丈さんの演技だけでなく、書き込みによって生まれる絵の迫力もすごかったです。
どこからどうみてもナチス・ドイツを意識しているシーンでしたが、私はああいう演説に心を動かされてまんまと利用されてしまうタイプなので、思わず一緒に「ジーク・ジオン!」と腕をあげそうになってしまいました。
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総評
良かった点
- ドラマ性の高いストーリー
- 魅力的なキャラクター
- インパクトのある名言
- 時代を感じるセル画
ガンダムのことをあなどっていました。
悪かった点
- 編集版なのでストーリー展開がやや駆け足
これはアニメの1話〜14話までを2時間半におさめているのでしょうがないのですが、時々どういうことだ?と状況がわかりづらいことがありました。
ストーリーの補完に関しては、ガンダムのキャラクターデザイン・作画監督を務めた安彦良和さんが描かれた『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』を読むと理解度が深まるかと思います。
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まとめ
ガンダムってこんなにおもしろかったのか、と再発見できて、非常に有意義な鑑賞となりました。
単なるロボットアニメだと思っていたのですが、いざ鑑賞してみると人間ドラマ・戦争ドラマの要素が強く、「物語」として、とても見応えのある興味深い作品でした。
まだこれが一作目というのが怖いです(笑)
ガンダム好きの友人曰く、「こっからがおもしろいのよ〜」とのことだったので、早く続編がみたいです!
にも
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