どこにでも画面を投写できるモバイルプロジェクタはゲームのプレイスタイルを変えるか
ソニー MP-CD1
4Gamer読者諸兄諸姉の中には高級なプロジェクタで大画面でのゲームプレイを日々満喫している人もいるとは思うが,絶対数としては少ないだろう。それはコストの問題ももちろんだが,投写する先となるスクリーン(的なもの)を家の中で確保する手間が,ハードルとして聳え立つのが大きい。
そういう問題を解決するかもしれない存在が,手軽に屋外へも持ち運べるため,投写先を確保しやすいモバイルプロジェクタである。複数のメーカーからいろいろ出ているジャンルではあるのだが,今回4Gamerでは,2018年4月25日に発売となったばかりのソニー製モバイルプロジェクタ「MP-CD1」を同社から貸し出してもらえたので,ゲームで使えるのかどうかをチェックしてみたい。
実勢価格は4万4800~5万円程度(※2018年4月28日現在)と,少なくとも「高級」ではなく,またスクリーンを前提としないモバイル用途が前提なので,部屋の規模やスクリーンの有無を問わず利用できるというメリットがあるわけだが,さて使い勝手はどうだろうか。
コンパクトな筐体と優秀な台形補正機能が目を惹くMP-CD1
ソニーとしての主なターゲット市場は会議室,というかビジネスの現場だと思われるが,持ち運ぶとき邪魔にならないサイズだ。また,スマートに利用できるような配慮だと思うが,電源を入れてからMP-CD1が映像を出すまでに要する時間は約5秒しかかからない。本体に内蔵する5000mAhのバッテリーにより,最大で約2時間の連続投写が可能だ。
製品ボックスを開けた状態。合皮製のモバイルケースに入った状態でご対面だ。このあたりもビジネス用途を前提とした製品っぽい |
付属品はHDMI Type AケーブルとUSB Type-Cケーブル,USB Type-C(メス)→USB Micro-B(オス)変換アダプターの3本 |
USB Type-Cによる給電を行いながらの利用は可能。HDMI端子が最も標準的なType Aなので,うっかりケーブルを忘れても外出先で詰みづらいのはいい。
搭載するプロジェクタモジュールはTexas Instrument製のDLP(Digital Light Processing)で,解像度は854
スペック上の最短投写距離は1.15mだが,試した限りはなんと80mmでも大丈夫だった(※写真で下に見える黒い物体がMP-CD1)。この場合,13インチくらいのサイズになるが,サブディスプレイ的に使うなら面白いかもしれない。もちろんメーカー保証外だが |
だいたい120インチで投写したところ。場所は相当に選ぶものの,暗い場所でならとてもいい感じの絵が得られる |
垂直方向に±40度の自動台形補正機能を備えるため,設置角度をほとんど問わないというのも,ピント合わせのしやすさには寄与している印象がある。
ただし,自動台形補正は垂直のみなので,水平軸合わせだけは真面目にやる必要がある。本体底面には一般的なカメラ用三脚と互換性のあるネジ穴があるので,小型の三脚を組み合わせるといいかもしれない。
本体底面にはファンの排気孔と,三脚用ネジ穴がある。コンパクトなカメラ用三脚と組み合わせると便利だろう |
本体天板部には「SONY」ロゴ,そして電源およびバッテリー残量のステータスLEDのみがあった |
本体は冷却用のファンを搭載するが,その動作音は比較的控えめ。本体内蔵のスピーカーを使って音を流していればまず気にならないレベルだ。
遅延はあるが,FPSやリズムゲーム以外ならなんとかなる。スマホだとむしろ別の問題が
もう少し細かく使い勝手をチェックしていこう。
MP-CD1は「標準」と「ダイナミックピクチャー」という,2つの「画質モード」を備えており,電源ボタンの短押しにより順繰りに切り替え可能だ。下に写真で例を示したが,標準だとやや黒が浮いた印象を受ける場合はダイナミックピクチャーを選んだほうがいい。もっとはっきり言うと,明るめの場所だとダイナミックピクチャーのほうが視認性は高い。
なお,製品スペック上は「ダイナミックコントラスト」が400:1となっているが,この値はダイナミックピクチャー選択時のものと思われる。
MP-CD1の表示遅延(音声なし)
筆者は当初,MP-CD1とスマートフォン,ゲームパッドを使えば屋外でプレイする環境を簡単に構築できるだろうと思っていたのだが,よく考えると「ゲームパッド対応タイトル」の数は,最近,すっかり少なくなってしまった。ストアで「ゲームパッドに対応している」という条件でゲームを探すのも難しいので,MP-CD1をスマートフォンと組み合わせる場合は現実的に,画面をあまり見なくても操作できるタイトルをプレイするかか,それこそ「アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ」(Android / iOS,以下 デレマス)のようなタイトルで大画面を使ってMVを楽しむ程度に留まることになるだろう。
スマートフォンの画面に直接取り付ける「操作補助用アイテム」があればプレイが容易になるタイトルもあるとは思うが,日本市場におけるこの手のアイテムの普及度合いを考えると,あまり現実的ではなさそうだ。
MP-CD1:ヴァルキリープロファイル -レナス-をプレイ
MP-CD1:アズールレーンをプレイ
サブディスプレイ的に考えると使いでのあるMP-CD1
明るい場所での視認性は高くないが,ある程度暗ければ十分な視認性があり,かなり「遊べる」印象がある。常時ゲームで使うというよりは,旅行先でゲームをプレイするときの“大画面”にしたり,天井に投写してダラダラプレイしたりといった具合に,サブディスプレイ的に考えるのがいいのではなかろうか。
実勢価格は4万4800~5万円程度(※2018年4月28日現在)なので,安価とは言えないものの,冒頭で触れたとおり「高級」ではない。その使い道を十分に把握したうえで検討するのはアリだろう。
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ソニーのMP-CD1製品情報ページ
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