アベノミクスで日本の8割が貧しくなる理由

2020年の東京五輪前後に不況がやってくる?

2020年、東京オリンピック後の日本経済を、世界同時不況が襲うかもしれない(写真:izumi / PIXTA)

早いもので、2020年の東京オリンピックまで、あと2年余りとなりました。私も1人の国民として、ぜひともオリンピックは成功させてほしい、と思っています。

しかし、2020年の世界経済は、2008年秋のリーマンショックほどとは言わないまでも、世界的な借金バブルの反動によって、世界同時不況を迎えているのではないかと予測しています。とりわけ日本経済は、米国と中国の好景気に多大な恩恵を受けているので、その悪影響が最も及ぶ国の1つで、経済成長率が主要先進国の中でいちばん落ち込むことが考えられるのです。

実際に、リーマンショック翌年の2009年の成長率はマイナス6.0%にまで落ち込み、主要先進国の中で、日本は突出して下落率が大きかったわけです。

大企業と国民の間にある大きな乖離

近年、大企業の経営者が集まる催しに参加するたびに思うのは、大企業の景況感と国民の生活実感の間には大きな乖離がある、ということです。多くの経営者が口をそろえて、「とても景気がいい」「史上空前の好景気だ」という見解を述べているのですが、2018年の初頭にはそういった見解がことのほか強調されていたように思われます。

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確かに、大企業の世界では多くの企業が収益を拡大することができているので、彼らだけを見ていると、または、彼らだけの世界で生きていると、おそらく私も「日本は好景気だ」と錯覚してしまうかもしれません。

ところが、私はふだんから、経済を分析するうえで経済成長率や企業収益はその一面にすぎず、本当の意味での好況・不況の判断は国民生活の実感で決めるほうが適当である、と考えています。そういった意味では、国民のおよそ8割が「景気回復を実感していない」という事実は、国が判断する景況感に重い課題を突き付けているように思われます。

産経新聞のような政権寄りのメディアであっても、日本経済新聞のような政治に中立的なメディアであっても、朝日新聞や毎日新聞のような政権批判が十八番のメディアであっても、世論調査においてはおおむね、景気回復を「実感している」と答えた人々が2割、「実感していない」と答えた人々が8割、という結果が出ているのです。

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  • NO NAME6cf434670d70
    実際に各種指標を見ても、一部の輸出型大企業、または国策に関連する準公務員的な企業を除いて地方経済は壊滅状態で8割の国民が景気回復を実感していないというのは当然でしょう。円安のコストプッシュインフレの影響は大きい。

    一方で求人率が上がっていると言っても、求人広告を見てわかる通り低賃金の仕事がほとんど。
    しかも多くの企業はその求人票ですら「盛っている」ケースが多く、労働環境もブラック労働が横行している始末です。

    これは多くの企業では実体経済が良くなっていないため労働環境も改善できず、労働者が高齢化して引退した穴埋めの為に求人を出しているから起きている事です。

    これが「アベノミクスの成果」だと言うのであれば少子高齢化と実体経済の破壊がアベノミクスという事になります。

    これで「求人が増えて仕事が沢山あって満足しています」と仰っている方は求人広告会社の社員か、実態が見えていない人でしょう。
    up389
    down33
    2018/4/27 07:16
  • NO NAMEd0f30a00897e
    アベノミクスが「格差拡大政策」であることくらい、さすがに貧乏人たちも、とっくに気付いてるでしょ

    でもその貧乏人たちが安倍を支持してる(もしくは投票にいかない)んだから、自業自得でしかない

    金持ちはこれからも安倍を支持するよ当然
    up373
    down82
    2018/4/27 06:31
  • NO NAMEacaaf0c3b188
    確かに、トリクルダウンなる現象が一向に起こっているように見えない現状にあっては、大企業の業績を景気の指標としても見誤る。
    徹底したコスト削減、人件費抑制によって成し遂げられた業績ならば、業績向上するほど庶民の暮らしは悪化する。

    国民の生活実態の把握は可処分所得とかの別の指標によるべきだし、マスコミももっとそういうところを毎年報ずるべきでないか?
    up290
    down10
    2018/4/27 07:18
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