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「dポイント」5月刷新、ドコモ吉澤社長が語る「会員基盤中心の戦略」とは
ベーシックパックでライトユーザー引き留め狙う
2018年4月27日 21:33
dポイント会員基盤で持続的成長狙う
NTTドコモが5月1日、「dポイント」をリニューアルする。4段階だったステージが5段階になるほか、新たにドコモ回線を持っていない家族ともポイントをシェアできるようになり、“ドコモ回線ユーザーのためのポイントプログラム”から大きくコンセプトが変わることになる。
これにあわせ、ドコモでは、今後「dポイント」の会員基盤を事業戦略の軸にする方針だ。4月27日に開催された2017年度の決算説明会において、NTTドコモ代表取締役社長の吉澤和弘氏は「ドコモの回線契約は現在6000万件以上ある。しかしdポイント会員であれば最大で日本の人口という規模までいく」と語り、2020年代以降の日本市場においても、引き続きドコモが成長を維持するための土台になるとの認識を示す。
ドコモでは、かつて、携帯電話の買い換えや周辺機器の購入に使えるポイントサービスを提供していたが、2015年12月にオープン化。ドコモユーザーでなくともdアカウントを取得し、dポイントを利用できる形にした。この段階で、ドコモ回線ありきではなく、会員という形を「かなり意識した」(吉澤社長)という。その結果、オープン化したdポイントは徐々に利用が広がり、そのカードの登録数は2017年度で2232万件にも達した。
しかしこれまでのドコモの基幹システムは、回線契約を主とした考え方。通信回線にさまざまな機能を付加していく形になっていたという。そこでドコモでは、システムの改修を実施。それができあがり、リニューアルという形でローンチするのが2018年5月……ということになったのだという。
「ドコモの“もしもしハイハイ”(通信回線)は6000万以上だが、dポイント会員だと日本人口までいく。dマーケットで買い物をしてもらって、ポイントを貯め、メリットを得ていただく。会員になっていただければ、ドコモの回線をオススメすることもできる」と吉澤社長。「我々自身が、楽天さんやAmazonさんに対抗していくという大それたことは考えていないが、ECに繋げるのは大事」と謙遜しつつも、ユーザーに利用されるサービスを追求する方針。
dポイントの発行数は2017年度、1500億円相当に達しており、一方で1200億ポイント利用されている。用途として、付属品などがかなりの部分を占めるとのことだが、次いで多いのがdポイント加盟店。その額がかなりの規模になっている、と吉澤社長は胸を張る。
dポイントが使える店舗を増やすことは、dポイントユーザーにとっては魅力の1つ。そうして進める会員基盤の拡大がドコモへもたらす恩恵のひとつがマーケティングデータ。吉澤社長は、同社内でもデジタルマーケットプラットフォームを開発し、「データがしっかり貯まる仕組みを作った。これまでもそうしたデータはあったが、(サービスの垣根を越えた)横連携がうまくいかなかった」と説明。ポイントを貯めて使うというユーザーの行動が、次のマーケティングデータに活かせると語った。
純増数は実質横ばい
27日に発表されたドコモの2017年度の業績は増収増益ながら、ドコモ全体の営業利益9733億円のうち、これまで本業とみなされてきた通信事業の営業利益は8328億円。規模こそ利益の大半を占める一方で、前年度比ではプラスマイナスゼロだった。一方ポイントなどを含むスマートライフ領域は前年度比25.5%の増益と大きな成長を遂げている。ただ、スマートライフ領域で大幅に伸びた要因は法人事業や補償サービスなどのあんしん系事業となる。
ドコモの携帯電話契約数は7637万件で、前年度から2%増えた。この純増数からMVNOの契約数を除いたとしても、具体的な数字は非開示ながら、純増を記録したと吉澤氏。
2018年度については増加の要因は主に通信モジュール。水道やガスなどスマートメーターの需要は一巡して落ち着いたとのことだが、損保会社が提供するドライブレコーダーのソリューションが広がり、通信モジュールの引き合いが増えているのだという。こうしたモジュールの件数を除くと、純増数はプラスながらほぼ横ばいという実績とのこと。
「ベーシックシェアパック/ベーシックパック」の狙い
4月27日に発表された新たなパケット通信の段階制プラン「ベーシックシェアパック」「ベーシックパック」は、2018年度のドコモの業績へおよそ300億円程度の減収をもたらす見込みだ。
吉澤社長は、利用の少ないユーザーのドコモからの転出が増えてきた兆候があったため、顧客基盤の強化として新パックを導入することにしたと説明。総務省の有識者会合でも、ライトユーザー向けプランが議論されていたこともあり、すでに2GBプランを用意していたものの、一歩踏み込むことにしたとも語る。一時的には減収をもたらすものの、解約を押しとどめたり、段階制のため通信量が増えてユーザーからの収益が増えたり(アップセル)する効果も今後期待できるため、今回の減収はいずれ回復するとの期待感も示された。
ちなみに段階制のなかで、1人向けのベーシックパックが1GB、3GB、5GBに次いで20GBと飛躍した形になっているのは、現行のパックが2GB、5GB、20GBとなっており、整合性をはかったためだという。
総務省の報告書、これから対応
27日には、総務省から、携帯電話業界に関する報告書が発表された。“4年縛り”とされるサービスに関して、契約前の説明を徹底させることを求めるなど、総務省から携帯各社へ新たな要求が突きつけられた格好だ。
決算説明会の直前に総務省から報告書が発表されたこともあり、吉澤社長は「まだ目を通していない」としつつも、「報告を受けてしっかり検討していきたい」と応じる姿勢を示した。
また、中古端末の拡大についても報告書では触れており、吉澤社長は「携帯電話事業者が引き取るほうがいいのか、中古業者に渡したほうがいいのか、ユーザーが判断しているところもある。中古市場の拡大の動きは出てきている」と語っていた。
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