シムシティで生み出された人口600万人超の究極のディストピア都市「マグナサンティ」
都市経営型シミュレーションゲーム「シムシティ3000」のプレイヤーが、人口600万人の巨大都市「マグナサンティ」を作り出しました。マグナサンティは警察権力によって徹底的に管理され、犯罪発生件数0を維持できている一方で、住民は都市から一歩も出ることなく一生を終えるという、映画や小説に登場するようなディストピア都市となっているとのことです。
Magnasanti: The Largest and Most Terrifying SimCity | Rumors on the Internets
https://rumorsontheinternets.org/2010/10/14/magnasanti-the-largest-and-most-terrifying-simcity/
「シムシティ」シリーズは、自分だけの街を作り上げて、交通機関や電力などのインフラを整え、犯罪・公害・災害などに対応しながら発展させていく都市経営シミュレーションゲームです。しかし、大学で建築を学んでいたヴィンセント・オスカラさんは、シリーズ3作目である「シムシティ3000」を単なるシミュレーションゲームではなく、芸術を表現する手段として利用することを思い付いたそうです。
実際にオスカラさんが設計した都市・マグナサンティはこんな感じ。遠目に見ると何かよく分かりませんが……
拡大してみると、同じ形をしたビルが均等に並んで密集している様子がよく分かります。
オスカラさんはマグナサンティを建設するために、試験的に複数の都市を建設しました。人口増加の法則や人の動きなど、1年半以上の実験を通じて得た結果をまとめて膨大な計算を紙で行い、さらに2年以上の歳月をかけて900万人以上を収容できるマグナサンティを設計したとのこと。
「線対称かつ丸いデザインはすべての市民を永遠に奴隷化するという邪悪な意図を表現しています」とオスカラさんはコメントしています。
オスカラさんの作った都市「マグナサンティ」には無駄な建築物がありません。マグナサンティの水と電力は隣の街から供給されます。道路は1本も通っておらず、都市の地下にびっしりと張り巡らされた地下鉄が唯一の交通手段です。
マグナサンティでは大気汚染対策が一切行われず、医療施設と消防施設は存在しません。警察は徹底した監視で犯罪を抑止し、市民たちの自由意志を取り除きます。こうしてオスカラさんは、市民の「生活の質」を最小限に抑えながら人口を最大まで引き上げることに成功しました。ただし、マグナサンティの住民の寿命は短く、60歳を超えることはない模様。
オスカラさんは「マグナサンティには人の出入りがなく、人口の伸びは停滞しています。職場が徒歩圏内にあり、住民は長距離を移動する必要がないからです。どこに行っても同じような場所にいくようなものです」と語っていて、実際に1年単位で人口や失業率を表示させたグラフは動きがほとんどなく、ほぼ水平となっています。
また、オスカラさんは約4年かけて作り上げた巨大都市・マグナサンティを作るまでの様子をムービーで公開しています。
SIMCITY 3000 - MAGNASANTI - 6 MILLION - ABSOLUTE MAXIMUM.flv - YouTube
「大気汚染・失業率・生活スタイルの統制は全て『住民がマグナサンティに住むために支払う対価』です。警察権力が住民たちを異常なほど効率的に統制するので、革命やストライキなど、物理的手段によって都市システムに対抗しようとは誰も考えません。彼らは口をつぐみ、病気に苦しみ、都市システムを5万年も保ち続けるためだけの奴隷であり、時空に投獄されているのです」とオスカラさんは語っています。