TOKIO山口達也容疑者(メンバー)の事件はアルコール中毒を原因にしてはいけないのではないか|文◎やまもといちろう

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TOKIO山口達也メンバーの事件はアルコール中毒を原因にしてはいけないのでは?(写真はイメージです)
TOKIO山口達也メンバーの事件はアルコール中毒を原因にしてはいけないのでは?(写真はイメージです)

 人気グループTOKIOの山口達也容疑者(メンバー)が女子高校生への強制わいせつ容疑で書類送検された件は、被害届を女子高校生側が取り下げたものの非親告罪化していることもあって書類送検されてしまいました。

 この方面には強いとされるのぞみ総合法律事務所の弁護士・矢田次男氏を起用しての記者会見もものものしい内容で、書類送検はされているが、まだ検察官の取調べは受けていない状態とのことで、事件の詳細はそれほど多くは語られない記者会見となっています。

 一方、テレビ番組では被害者である女子高校生の保護者は山口容疑者の行状を知って激怒し、当初は示談に応じない方向だったと伝えられ、また、書類送検にはもっとも重い厳重処分を求める意見書が出ていた、とも報じられています。

 非常にむつかしいのは、山口容疑者の酒癖に関する人物像や、アルコール中毒で依存症状態にあり入院もしていた事情が明らかになり、これらの女子高校生に対する暴言や強制わいせつはアルコールに起因するもの、といささか病気と紐づけて報じられたり解説される機会が多いことにあります。

 もちろん、アルコール依存症というのは大変な状態で、本人の意志で酒を断(た)ったり、飲んだ後の行動をセーブするのがむつかしいわけです。したがって、酒を飲んで酩酊状態となって女子高校生を自宅に山口容疑者が呼び出した、という背景がメディアで報じられるわけですが、では、世間一般の通念として「アル中だからセクハラまがいの呼び出しや、わいせつ事件を起こしていいのか」という話になります。

 そもそも、この女子高校生はタレント業務の一環として、番組で山口容疑者と知り合い連絡先を交換しているのですが、当然ながら、番組出演中は山口容疑者は酒を飲んでいない、しらふの状態で女子高校生に連絡先を教えてもらえるよう頼んだとされています。そして、酒を飲んでいたとはいえ、そこで電話で自宅に呼び出すにあたっては、当然番組のMCでありベテランの芸能人である山口容疑者からの呼び出しを、これからタレント業で頑張ろうと考える女子高校生が断るのはなかなか無理でしょう。

 こうなると、山口容疑者の正気がどうであったか、アルコール依存の状況も含めて、本来であれば自分で体調や精神状態を管理する必要があるところ、これがむつかしいとなれば山口容疑者をマネジメントする立場にあるジャニーズ事務所が山口容疑者の体調や精神状態を管理してあげなければなりません。アルコール依存症の完治は大変かもしれませんが、少なくとも酩酊状態で父娘ほども年齢差のある女子高校生を自宅に呼びつけるというのは異常です。酒の席で失敗する社会人の逸話には私たちの身の回りにも事欠きませんが、常識的にはアルコール依存症だからパワハラやセクハラが許されるといった酒が免罪符になるような時代でもありません。

 だからこそ、アルコールがトリガーとなって性的衝動が抑えられなかったという話は「それは仕方がない」と終わらせるべきことではなく、アルコール依存と事件の関係を見つめ直すべき時期ではないかと思います。

 かたや、財務省では事務次官が記者に対するセクハラを行って、財務省全体の問題であるとして解体論まで出る始末である一方、セクハラ暴言よりもはるかに問題で、しかも違法で事件化している強制わいせつで書類送検という内容であり、山口容疑者も事実関係を認めて謝罪をしている状況においてもう少し事務所のマネジメントの在り方も問題提起されるべきではないのかと思います。

 それは、ひとえにアルコール依存で悩んでいる人がどう社会復帰するのかというモデルケースとして、山口容疑者が仕事に復帰する道を示すことも可能でしょうし、アルコール依存に対する社会の認識もより広げられる事件になるんじゃないかと考えますが、一般論として、メディアが「財務省は叩いていいけど、ジャニーズ事務所は触りづらい」ということで鷹揚としているようであれば、それはメディアに対して二枚舌という批判も拭い去れないのではないかな、アルコール依存であろうと、セクハラや強制わいせつのような犯罪はきちんと問題視されるべきで、アルコール依存からの脱却や事実に対する同情は別に捉えることで、冷静に問題を切ることが必要であろうと感じました。

著者プロフィール

やまもといちろうのジャーナル放談

ブロガー/個人投資家

文・やまもといちろう

※慶應義塾大学卒業。会社経営の傍ら、作家、ブロガーとしても活躍。著書に『ネット右翼の矛盾 憂国が招く「亡国」』(宝島社新書)など多数。

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