4月27日に開かれた南北首脳会談で、北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党委員長が持ってきた平壌冷麺が話題になっている。一体、どんな食べ物なのか。創業1939年、神戸に拠点を構える「元祖 平壌冷麺屋 本店」に聞いた。
老舗の4代目が語る麺づくり
「平壌の代表的な家庭料理でずっと食べられてきたものなんです。北にあって寒いからそば粉が取れるでしょ。それをデンプンなんかと一緒に練って、製麺用の鉄の筒から押し出して麺ができます。家庭や店によってちょっとずつ作り方が変わりますね」
そう話すのは「元祖 平壌冷麺屋 本店」の4代目、張守基さんである。4代目は目下、3代目の下で麺づくりの修行中だ。その日の気温や湿度を見極めながら、そば粉などを混ぜ合わせて麺をつくっている。
「(麺づくりは)難しいです。でも、うちの味はインスタントでは再現できないものですからね」
「元祖」の歴史は......
「元祖」を名乗るだけあって、その歴史は古い。1939年に店を開いたのは張さんのひいおばあちゃんだ。
「元々、ひいおばあちゃんが平壌の故郷の味を同郷の人に味わってほしいということで作り始めたのです。それが日本に住む人たちの間でも評判になってお店を持つようになりました」
スープは水キムチをベースにして、さっぱりした味わい。これも家庭やお店によって「ちょっとずつ違う」もの。
「平壌では寒い日に部屋を暖かくして、冷たいものを食べるのがご馳走みたいです。日本で言えば、こたつに入ってアイスを食べるみたいな感覚ですよね。外が寒いから余計に美味しい」
この日も多くのお客さんが......
朝日新聞によると、韓国の人にとって平壌冷麺は憧れの食べ物で今回も韓国側のリクエストで平壌冷麺がメニューに加えられたという。
「昔、朝鮮半島が一つだったときから食べられてきたものですしね」と、しみじみ語る張さん。
首脳会談であらためて注目が集まる平壌冷麺。
この日「元祖〜」には、首脳会談のニュースをみて思い出して食べたくなったというお客が、受け継がれた「故郷の味」を求めて多く駆けつけたという。