嵐のあと

テーマ:
仕事が終わり、家に帰ってくるとひどい頭痛に襲われました。休んでいたかったけど、たまたま外食が続いていた為、今日くらいは!!と思い、食事の用意をしました。

途中あまりの痛さにしゃがみこんでいるところ、夫が帰宅しました。
料理なんかしなくていい、と言われましたが中途半端だったのでなんとか作り終えました。



食事の時、夫に職場であった話をしました。







夫「そんな風に言われて…黙ってたの?言い返してやれば良かったのに!!」

私「言い返せる訳ないじゃん。迷惑かけるのは本当なんだし、これからも一緒に働くんだから…」

夫「そんな職場、無理して行かなくていい!!」


今、私の治療費は夫の収入から、漢方薬代は私の収入からやりくりをしています。


私「そんなこと言ったって…漢方薬代だってばかにならないんだから辞められないよ」


夫「あんなにたくさん漢方薬飲んで……本当に効いてるの?」




私は少しムッとしました。

確かに効いてるかどうかなんて、はっきりわかるものではありません。
でも漢方薬を飲んでから基礎体温は格段に上がったし、顔色も良くなり、イライラすることも無くなりました。
そして何よりいつもお世話になっているKさんを悪く言われたような気がして腹が立ったのです。


私「私は効いてると思って飲んでるよ。Kさんにも治療についてたくさん相談乗ってもらって気持ち的にもサポートしてもらってるし、私の子宮外妊娠にいち早く気づいてくれたのKさんじゃん。」


夫「そうだけど…月にたくさんお金かかってるってこと忘れるなよ」



確かに私の稼いだお金も夫の稼いだお金も夫婦のお金だし、夫の言い分もわかります。

でも少なくとも生活費を漢方薬代にあてたことは無いし、全て私のお給料や貯金でやりくりしてるのに、そんなことを言われる筋合いは無いと思いました。


激しい頭痛も手伝って、私のイライラは頂点に達していました。





それでも妊活のためには、このイライラを収め、早寝をしなければいけません。


私は粛々と寝る支度をしていましたが、夫の様子が明らかにいつもと違います。


怒ってるんだな、と思いました。



放っておこうかと思ったけど、やっぱり放っておけません。







私「怒ってる?」


夫「怒ってるよ」


私「漢方薬のことだよね?」


夫「漢方薬もそうだけど、なんで具合悪いのにご飯の用意なんてするんだよ!!」





私「は?そんなこと?なんでそんなことで怒るの?」


夫は私の質問には答えず、怒りをぶつけてきました。





夫「そうやっていつも人のことばっかり考えて…職場でもそんなこと言われたなら言い返せよ!!」

私「治療を続けるためには辞めるわけにはいかないよ」


夫「…………………」





私「やっぱりあなたは、私に治療やめて欲しいの?」



夫「こんな嫌な雰囲気になるなら治療なんてやめて欲しいよ。」








頭がどんどん痛くなります。




私は投げやりな気持ちになっていました。







私「じゃあ治療やめる?漢方薬やめる?やめて欲しいならはっきり言ってよ」







夫「……………じゃあ今回だめだったら、治療やめるのか!!」








夫の言葉が突き刺さりました。








私「……………さすがにはっきり言われるときついね」






私はずっとつけていた子宝祈願のブレスレットを引きちぎり、夫に投げつけました。
その辺にあったもの、何でも投げました。






夫「やめろ!!」




夫に強く腕を掴まれましたが、私も負けずに掴み返しました。取っ組み合いです。







私「私が!!どんな気持ちで!!」




そこからは言葉が出ませんでした。







どんな気持ちで妊婦さんだらけの婦人科に頻繁に通っているのか、どんな気持ちで痛い注射を毎日してるのか、どんな気持ちで職場の皆さんに話をしたのか、どんな気持ちでたくさんの漢方薬を飲んでいるのか………




次に続けたい言葉が無限に出てきたからです。








夫「ものに当たるな!!お前が言えって言ったんだろ!!こんな風になるならもう何も言えないよ!!」






はっとしました。






夫にここまで激しく怒鳴られたのも初めてだったし、私もここまで激しく怒鳴ったのも今まで生きてきた中で初めてのことでした。








私は夫の手を離し、寝室に置いてあったお守りをゴミ箱に捨てました。


すぐに夫が追いかけてきました。




夫「納得してないのに捨てるな!!」






夫の言うとおりです。





私は気づいたらめちゃくちゃに泣いていました。


話し合いの時は冷静になると決めていたのに…







夫に抱き締められました。







我慢できず、声をあげて泣きました。






私「私が治療することで、あなたにも嫌な思いさせるし職場にも迷惑かけちゃう…私は子ども諦めなくちゃいけないんだってずっと思ってた…でも諦められなくて…諦めなくちゃ、でも…ってずっと繰り返してた…私かあちゃんになりたかったよ…優しいかあちゃんになるのが小さい時から夢だった…あなたなら優しいとうちゃんになれるだろうって思ってたのに… 元気な子どもを産めるならどんなことだってしたいのに…本当はOにおめでとうなんて言いたくなかった…私の方が絶対頑張ってるのに…どうしても、赤ちゃん欲しいよ…ゆきたかちゃんに会いたい…」






夫「じゃあ、今回だめだったら体外受精するか!!」








とたんに涙が止まりました。



嘘でしょ………







夫「ちょっと考える時間をくれ。だからもう泣くな。」








気が緩んだのか、夫にしがみついてまたわんわん泣いていました。


泣いて泣いて、泣きつかれて眠りました。





朝起きるとバラバラになったはずのブレスレットが元通りになっていました。




私が眠った後、夫がひとつひとつビーズを見つけて、またテグスに通してくれたんだ…






やがて、夫も起きてきました。







私「あなたも、とうちゃんになりたい?」








夫「なりたいよ」







長い夜が明けたような気がしました。



コメント(22)