ドーモプラスが注目の男子をご紹介する連載企画「レコメン図」。今回ご登場いただくのは、「あんさんぶるスターズ!オン・ステージ」や音楽劇「金色のコルダBlue♪Sky」などに出演し、幅広い役柄をこなす俳優「上田 堪大(うえだ・かんだい)」さん。5月には舞台「蘭 RAN 〜緒方洪庵 浪華の事件帳〜」への出演も決まっている上田さんに、後編では休日の過ごし方や「あんステ」メンバーとの絆、アルバイトでのエピソードについてたっぷりお話をうかがいました!
ウェイクボードからサバゲーまで、行動派のオフタイム
――次はプライベートについてもうかがいたいのですが、お休みの日や空き時間には、どんなことをして過ごしていますか? 観劇や音楽鑑賞、ウェイクボードもお好きだと聞いたのですが。
ウェイクボードって、シーズンが夏なんです。船に引っ張ってもらって水上をスノーボードの板みたいなもので滑るんですけど、プライベートだとこれが夏のいちばんの楽しみですね。僕はよく山中湖に行きます。
冬だと……自分は基本的に夏男なので、水泳は習ったりしていたんですけど、ウインタースポーツは中学校のスキー教室で行ったくらいかな……。でも、一度だけスノーボードはやったことがあって、いきなり上級者コースに連れて行かれ「こんなとこ、本当に降りんの!?」と思ったんですけど、しょっぱなから“木の葉落とし”ができたんですよ。
――すごい、運動神経がいいんですね。
ウェイクボードをやっていたおかげで、バランス感覚がよかったのかなって思います。ほかにはダーツもやったりしますし、最近はゴルフが面白いですね。ゴルフの打ちっ放し。まだ2回しか行ったことがないんですけど、これも初めて打った時から気持ちよくポーンとボールが飛んで行ったので、我ながらセンスあるなって(笑)。それで楽しくなっちゃったので、これからもっとハマっていく予感がしています。そのうちコースにも行きたいですね。
それから「あんステ」メンバーでサバゲーもやったりします。
――サバゲー! みなさんお好きなんですか?
樋口裕太(神崎颯馬役)、山本一慶くん(氷鷹北斗役)、北村諒くん(鳴上嵐役)の3人がまずハマり出して「面白いから、ちょっとみんなでやりましょうよ」という流れになったんです。チームで撃ち合ったりもするし、人数がいるほうが面白いんですよね。仲間内だから余計に楽しいのかもしれないですけど。
「あんステ」メンバーの中で12人くらい……ということは半分近くが、稽古の日に翌日がオフだったりすると「行こう」って集まって、ずーっと朝までやり続けているという。稽古場でいっしょだったのに、全然ちがう場所でまたいっしょに過ごしてるのが本当に面白いですよね(笑)。
――そんなにハマるものなんですね!
ハマります、ハマります。時間を忘れますよ。ただ、撃たれて当たるとめちゃくちゃ痛いんですけどね。稽古とはまたちがった感じに、友情が生まれてます(笑)。
ときどき過保護?「あんステ」カンパニーを見守る視線
――チーム戦をやったりすると、協力し合ったりもしますしね。
そうなんですよ。稽古場であんまり話していなかった子とも、同じチームになったら話せますし、いい機会だなって思います。特にああいう大所帯のカンパニーだと、コミュニケーションが偏っちゃうこともやっぱりあると思うので。僕は「あんステ」のカンパニーだと上から2番目の年長者なこともあって、基本的に万遍なく接するようにしてますけど、みんなのことを把握しておくのは大切だなって思いましたね。
座長の小澤廉(明星スバル役)がいい意味でポンコツなので(笑)、いつも「(鬼龍紅郎口調で)オイ、しっかりしろよ」って。その分、廉から悩み事を聞くことも多いんですけど、メンバーのことをある程度知っているからこそ「この子にはこういう言い方をしてあげるほうがいいよ」って伝えたりできると思うんです。お芝居に関してはそれぞれがやりたいようにやればいいし、「こういうところで悩んでます」って相談をされた時にも、僕は断言はしないんですよ。
――助言、という感じですか?
「こうしてみたら?」「これも、それも悪くない」とか。でも、間違ってる時にはきちんと伝えるようにしています。その上で「それなら、こうしてみたら?」って。それこそ、大崎捺希あたりには、しょっちゅう相談されたりしてました。
――「あんステ」出演前の大崎さんをちょうど取材させていただいたんですが、その時に上田さんと3作連続で共演されるとうかがいました。
そうなんですよ。最初の舞台の時には、ほとんど捺希とは絡みがなかったんですけど、稽古の途中で「コイツと3作いっしょか!」って知って。そういうのは初めてだったので、びっくりしましたね。次の「あんステ」では絡みがあったし、関係性も強い役だったので「何かあったらなんでも聞いて」って声をかけたんです。
しかも僕はその時「あんステ」出演3作目だったんですけど、捺希は初めてだったので、そういった部分の助言をしたりしていました。「K」(=舞台「K-MISSING KINGS-」)の時には、僕と捺希の二人ともが初めての現場だったので「お互い頑張って行こうぜ」と励まし合ったりしました。だから捺希のことは、なんだか気にかけちゃいますね。
後輩の子たちって、人間だからいろいろタイプは分かれると思いますけど。僕、捺希や北川尚弥(朱桜司役)に対しては「ひとりで大丈夫?」みたいに、過保護になっちゃうんですよ……。
――過保護って(笑)。
「お前誰だよ、誰目線だよ」って感じですけど(笑)。二人の甘え方がTHE後輩っていう感じなので、お兄ちゃんポジションになってしまうというか。もちろん、捺希も尚弥もひとりの役者として認めてますよ。
逆に小西成弥(南雲鉄虎役)はしっかりしているので、あんまり後輩っていう感じがしないんです。樋口裕太については彼の方が芸歴が長いし、ダンスも素晴らしいから、僕のほうが頼ることもあります。でもそのくせ、かわいい一面を持っていたりするので、こういうところに女性のみなさんはキュンキュンするんだろうなって(笑)。そうやって第三者目線で考えてみたりすると、それも芝居の糧になるなって思います。想像っていうのは大切ですね。
――ここでも役者魂を感じる言葉が。そして、カンパニーのみなさんのことを本当によく見てるんですね。
いやでも、もしかしたら「面倒くせぇ先輩だなぁ」って思われてるかもしれないですけどね(笑)。
セリフ覚えや発声にも役立つ!「居酒屋バイトはいいことづくし」
――それでは、DOMOにちなんでアルバイトについてのお話をうかがいたいんですが、今まで経験したアルバイトで特に印象に残っているものや、今のお芝居に役立っているなと思うものを教えていただけますか?
一番長くやっていたのが現場仕事なんです。高校卒業前から大学時代にかけての3年くらい、ニッカボッカをはいて鉄筋屋さんをやってました。当時の学生の感覚でいくと、稼ぎはいいし、筋肉は付くし、なんていい仕事なんだ、と(笑)。一日中やるし、暑いし、やっぱり疲れはしますけどね。その現場で「アルバイトといっても仕事だ」ということを親方が教えてくれました。
例えば大きなビルを建てるという時に、それぞれの部門の会社が入って、人手が足りない時には応援の人を出し合いながら、持ちつ持たれつで作業を進めるんです。僕がバイトだからその応援に行かないかというと、むしろ行かされたりもします。相手先の人はそれを仕事としてやられていて、家族の生活を支える手段にしているわけだから、僕がそこで「バイトなので」なんて言ってる場合じゃないですよね。そういうことをこのバイトで考えられるようになりました。
あとは、働いている人の層も幅広いので、50代のおじちゃんとも仲よくなるんですよ。そのおじちゃん、18歳の僕よりもご飯食べるのが早かったんですけど、昼ご飯の後にトランプをして遊んだりするかわいい一面もあったりして(笑)。このバイトをするまでは、そういう優しいおじちゃんと遊んだり、話したりする機会もあんまりなかったですね。
――普段は接点のないような世代の人と話せるのっていいですよね。
それから、ものづくりの楽しさも知りました。僕が働いていた鉄筋屋っていうのは、建物の骨組みを作るんですけど、数多くの工程を経ながらだんだん完成していくのを見ていると「あれだけ重たい鉄筋をあっちこっち運びまくっていたのは、こういう意図があったのか!」って、より実感しながら理解ができた気がします。
東京に来てからバイトをした居酒屋のホールでも、厨房で料理ができあがっていくのを見ながら“ご飯ができるストーリー”を感じたりもして、それも現場仕事で学んだ成果かなと(笑)。飲食店で働くと、セリフを覚えるのにつながるなとも思いました。
――それはまた、どういう部分がですか?
最近はタブレットでお客さんが注文をしたり、店員が記録をしたりっていうお店もありますけど、僕の働いていたところは伝票への手書きだったんです。それで、伝票を置き場へ取りに行くのが面倒くさい時には、注文内容を全部覚えるようにしていて。飲み物だったら特に覚えやすくて、マックス10品くらいはいけたと思います。それで、脳が活性化したのか、セリフがよく覚えられるようになった気がしますね。
――メニュー暗記にも、そんな利点があるとは。
あとは人を知る上でも、接客業は大切だなと感じました。怖そうな男の人も話してみると意外と優しかったりするし、やっぱり人を見た目で判断しちゃいけないなと。
盛り上がっているテーブルに「ハイ、お待たせしました! 中ジョッキどうぞ!」ってテンションを合わせて提供に行ったら「お兄ちゃん、元気やな! 一杯飲むか?」ってお相伴に預かったりもして。そのバイト先では、そういう時用に小さいグラスがあったんですよ。「じゃあいただきます!」ってそのままグーっと飲んで、グラスをパンって置くと「お前、飲みっぷりもいいじゃねぇか!」ってもう1杯くれるっていう(笑)。それを教えてくれたのは、その時の店長なんです。やらしい話ですけど「これで客単価が上がるんだ」って言われて、なるほどと思いました(笑)。
――お客さんも楽しくなるし、お店も儲かって、いいアイデアですね(笑)。
そういう元気なお店でバイトしてたので、声も張らないといけなくて、自然と発声もできるようになりました。まかないで食費も浮くし、今になって思うと飲食店って、役者にとってはいいことづくしなアルバイトなんじゃないかなって。お酒好きな人だったら、バーテンダーもいいかもしれないですね。
夢への最短経路をほしがらないで「ムダなことは何もない」
――ではアルバイトトーク番外編としてバイト先での憧れの胸キュンシチュエーションがあったら聞かせてください。
いやー、現場仕事も女性はいなかったし、男だらけの環境だったんですよね……。中学、高校と男子校に通っていたので、大学では小学校ぶりに女性がいる状況になって。入学式でも、隣の席に女の子がいるのにかなり違和感があったし「え、どうしゃべったらいいの?」みたいなレベルだったんです。うーん……これって妄想とかでもいいんですか?
――妄想でも大丈夫です!
じゃあ例えば高校生の頃だったら、学年一かわいいと言われる女性の先輩と、アルバイト先がたまたま同じだったりして。バイト帰りにいっしょに帰ったりしたら、キュンとしたりしますかね……?
――いいと思います(笑)。
何言ってるんだろう、恥ずかしい……(笑)。
――ちなみに、どんなタイプの方が好きですか?
無言でいても気まずくない人ですね。楽しい思い出は、誰とでも作れると言ったら語弊がありますけど、いろんな人と共有しやすいと思うんです。でも、普段の生活って常に楽しいことがあるわけじゃない。例えば、ディスニーランドに毎日行けるかっていったら、行けないし。
そんな中で大切なのは、やっぱり当たり前の日常だと思うんです。家にいる時にテレビを見たりしていても、しゃべらず集中して見たい時に話しかけられたりすると「う、うん……(苦笑)」みたいになっちゃう。もちろん、話を聞く時にはちゃんと耳を傾けますけど、無言でいても気まずくなくて、意見の交換ができる人だったら嬉しいですね。
年々、そういう“好みのタイプ”って変わってきたなと感じません? より現実的になってくるというか(笑)。あ、あとはできたら料理のできる人がいいですね。
――ご自分では料理を作ったりされないですか?
作らないです。多分やろうと思えばできるんでしょうけど。でも、いっしょに買い物に行って、料理もいっしょに作ったりするのには憧れますね。ドラマで見たりすると「いいなぁ、このシチュエーション」って思います(笑)。
――では最後に、夢に向かって頑張っているDOMO読者のみなさんに向けて、応援メッセージをお願いします。
まずは、諦めないってことが一番だと思います。僕もいわゆる“ゆとり世代”で、よく上の人に言われるのが「すぐに答えをほしがる」ということなんです。「○○だから、□□する方がいいと思うのですが、△△だと上手くいかなくて。どうしたらいいですか?」って順序立てて考えるんじゃなくて、ただ単に「どうしたらいいですか?」が多いと。実際そうだと思うし、自分自身も後輩の子たちからそうやって聞かれるなと思って。
その夢までの道を考えてみても、最短経路という答えをすぐに求めずに、ひとつひとつ丁寧に考えたり経験したりすることって、決してムダではないなと思うし、その考えている時間こそが大切なんじゃないかなと。「Count Down My Life」という作品に関われたことで、僕はそれを学びました。人によっては器用な人も不器用な人もいるし、遠回りを経験したことで、次は近道を導き出せるようになっているかもしれない。ムダなことは決してないと思うから、生きることを楽しんで、そして諦めずに頑張ってほしいなと思います。
「あんステ」メンバーと、サバゲーで盛り上がるという上田さん。カンパニーメンバーとのエピソードからは、仲間への愛情の深さと、面倒見の良さがうかがえました。お芝居への熱い思いを抱いた彼がこれから先、どんな役を演じて何を届けてくれるのか――気になった方はぜひ劇場に足を運んでみては。
取材・文:古原孝子
Photo:青木早霞(PROGRESS-M)