<img height="1" src="https://www.facebook.com/tr?id=710558959080952&amp;ev=PageView&amp;noscript=1" style="display:none" width="1" />

コンテンツを中心としたAtlassianのデザインシステム

Carla Hale

CarlaはThe Sceneryでクライアントのオペレーションリーダーをしています。

この記事はUXPinからの翻訳転載です。配信元または著者の許可を得て配信しています。

How Atlassian Brings Content to Life in their Design System (2018-03-12)

デザインシステムを採用するチームは、システム内のコンテンツが担う役割を決める必要があります。私たちはAtlassianのSean Curtis氏(シニアエンジニア)とTony Starr氏(リードテクニカルライター、IXプラットフォームチームのリーダー)から、組織全体にコンテンツの考え方を浸透させるユニークな方法について話しを聞きました。

Atlassianでのコンテンツの役割

世界中のプロダクトチームで共通して言えることは、コンテンツが重視されていないということです。しかし、AtlassianのIX(Information Experience = 情報体験)チームでは、会社全体を巻き込んだ機能・チーム横断的なアプローチを採用しています。

「私たちのデザインシステムであるAtlassian Design Guidelines(ADG)では、コンテンツはすべての中心となります。私たちが重視しているのは、チームにとって物事を簡潔にすることです。言い換えると、毎日の混沌とした作業をなくし、作業がスムーズに進めるための方法を提示することを目指しています。私たちはチーム志向であり、これは私たちの哲学の1つです。」(Tony氏)

Tony氏のIXチームは、組織のためのチームです。彼らからすると、一貫してコンテンツこそがすべてです。そして、このことは配色やアニメーション、インタラクションなどのUIにも表れています。

「ADGの最新版が公開される際、プロダクトチームとブランディングチームが同じ部屋に集まり、この原則に取り組みました。」(Tony氏)

彼らは感情的な部分に特に注目しました。これによって、すべてのインタラクションを、適切なユーザー体験とすることができました。

「人々がどのように“感じるべき”かではなく、人々が実際にどのように“感じている”かが重要です。私たちはチーム一丸となってプロダクトを見ており、チームが成功すればみんなで成功を祝いました。同じ様に、チームが行き詰まったときは素直にそれを認めました。すべてのユーザー体験はコンテンツから始まります。」(Tony氏)

デザインシステムのワークショップを行い、チームメンバー全員でムードボードを作りました。そして、感情や原則、哲学の大枠を作成しました。

Atlassianにおけるブランドのトーンは、彼らのプロダクトを測定する基準となります。彼らのコンテンツの特性は、「大胆かつ楽天的で、実用的なこと」だそうです。他社のデザインシステムはビジュアルを中心にしていますが、Atlassianのデザインシステムはコンテンツを中心にしています。Sean氏の説明によると、Atlassianのデザインシステムは、パターンやコンポーネント、コードではなく、原則から始まります。

コンテンツを中心に

コンテンツは後づけされるものではなく、Atlassianを表現するものの中心です。この考えは、個々のチームメンバーの性格や考え方にも現れています。Sean氏は、フロントエンドチームがいかにコンテンツを中心に考えていることを説明してくれました。コンテンツ中心の考えは、包括的かつ利用しやすいコードやドキュメントへとつながります。

「デザインしているコンテンツを分かっていないことは、体型を測らずにスーツを作るようなものです。」(Sean氏)

こういった特徴は、すべてのコンポーネントにも反映されており、それぞれのピース(コンポーネントやパターン、UIコピー)は、原則に従って組み合わされます。Atlassianのデザイナーは、常にライティング(強弱・口調などの表現)のガイドラインを念頭に作業を進めます。そして「どれくらい目立たせるべきか? ここでは遊び心を入れるべきか?」などと自分自身に問いかけながら作業をします。

これは同時に、遊び心を「入れない」べきタイミングはいつであるかを把握するということでもあります(たとえばユーザーがエラーと対峙しているときなど)。この問題に関してはインタラクションごとにどの程度のトーンで対応すべきかを示した「Voicify」というシステムを作りあげたほどです。

IXチームは、プラットフォームのすべてに名前を付け、ドキュメント化するということに挑戦しています。Sean氏の説明では、コンポーネントやシステムの名前を付けるというのは、クロスプラットフォームで展開するということを意味し、それがそのままずっと使われるということを意味します。

仮に将来、その名前が変更された場合は、プロダクトに綻びを生む原因となり、組織にも影響します。新しい名称への適応やナレッジへの影響を考えると、かかるコストが極めて高く、チーム間の認識のズレなども生じます。そのため、Atlassianのチームは、ネーミングに対して細心の注意を払っています。

それに加えて、プラットフォームチームには、BitbucketやTrelloなど異なるプロダクトにおいても、ガイドラインとコンポーネントが使えるようにするというタスクがあります。Bitbucketで行われたプロダクトの決定は、Trelloにも同様に適応される必要があります。これによって一貫性が確保され、チームの効率化につながります。

最後にコンポーネントのドキュメント化には、チームをまたがるマーケティングやセールスの観点も含まれるかもしれません。ドキュメントはコンポーネントを使うことをチームに納得させ、彼らを正しい方向へと導くものだからです。

このような永続性の高いネーミング規範が存在することによって、各チームのネーミングやドキュメント化に対する意識は自然と高まります。議論の際には、互いの立場に深く共感・理解しつつ、自分の意見を言うことがチームには強く求められるとTony氏は言います。個々の参加者が確固たる立場をもって参加することで、プラットフォームはさらに高みへと押しすすめられるのです。こうして健全な挑戦を行うことで、Atlassianのネーミングとドキュメントはより良いものとなっています。

Tony氏のチームはこの作業を通じて、ガイダンスやアドバイスを提供することに現在焦点を当てています。また将来的には、コンポーネントのネーミングを通じてチームがどのように思考すべきかというコアな基準についても着目したいと考えています。たとえばSean氏とTony氏の説明では、これは外観に基づくものであってはならないとのことです。見た目はやがて変化するものだからです。彼らは代わりに動作や機能性、エンドユーザーへの働きかけ方などにより焦点を当てます。

機能的なフレームワークとワークフロー

AtlassianのIXチームは、ADGチームや複数のプロダクトチームを含む組織全体をサポートしています。ではどのようにして彼らはすべてをまとめるのでしょうか? IXチームは組織内のコンテンツ責任者に焦点を当てています。そしてコンテンツに関する集中トレーニングセッションを行います。他のコンテンツ作成チームとの関係性も向上しているとTony氏は言います。人々はコンテンツに配慮しますが、組織全体を管理するのは簡単ではありません。しかしすべての人を受け入れて深い配慮を与え、「すべてのもの」をより良くしたいと考えています。

Sean氏とTony氏は、彼らのローテーション制のプログラムについて話してくれました。これは特にコンテンツについてのもので、ADGチームと一緒にライターが参加します。そしてスパーリングセッションでネーミングとドキュメント化について意見を出します。さらにチームをまたいでのワークショップへとつながり、チームに適用されるコンテンツのガイドラインをどのように考慮すべきかを考えます。

興味深いことに、ほかのAtlassianのチームと比較するとプラットフォームIXチームは大変異なるワークフローとスタイルをもっています。彼らはスプリント作業を行わず、タスクを収集・まとめるためにTrelloのカードを活用します。Tony氏のチームはつねに優先順位をつけることが求められており、日々の仕事はいつも異なります。これにより、プラットフォームをまたがるニーズにチームはたえず注意を払っています。あるときはスパーリングセッションを行い、別の日にはデザイナーが参加する流れで作業をしたり、トーンに合わせたコピーを作成するためにプロダクトライターと一緒の仕事をしたりもします。こうしてチームは軽快かつ柔軟に仕事をし、真にクロスプラットフォームを維持しています。

彼らは小さいチームなので、作業の進行方法やそれに応じたプロダクトチームへの教育方法についてバランスを保つ必要があります。将来的には、さらにしっかりとした教育を伴うセルフ型のサービスが、組織全体での完全な採用のために不可欠であるとTony氏は考えています。

Atlassianの顧客はどうコンテンツにインタラクションするのか

さまざまな良いインタラクションチームと同様に、エンドユーザーが彼ら自身のコンテンツに関連するUIにインタラクションする方法について、IXチームは責任を負います。Jiraの議題を記述するときのユーザーの気持ちや、Confluenceのページにユーザーがコンテンツを加える仕方について、チームは彼らの感情をよく考えます。エンドユーザーが自分自身の重要なコンテンツを追加するにつれて、UIが「消滅していく」ように努めているとTony氏は説明します。Atlassianはこれらのツールを、ユーザーが使いたいようなものにすることを目指します。なのでエンドユーザーへの共感とプロダクトを使用するときの彼らの感情が、Tony氏のチームにとって最重要です。

昨年Atlassianがはじめたもう1つの動きは、ユーザーが見ている正確なコンテキストからコンポーネントとコンテンツを眺めることです。Sean氏は「コンテキストの欠落は、パターンの食い違いを起こす」と言います。これらの重要なパターンやコンポーネントの決定を行うとき、チームはフローとページの全体を見ようと努めます。

結論

コンテンツを中心とするAtlassianのアプローチは、ADGシステムの一貫性と柔軟性を確実にするだけでなく、プロダクト群全体にわたって意味ある方法でブランドの個性を真に表現するものです。そして最終的には、プロダクトにユーザーが必要性と期待を抱くものへと活かされます。