東京臨海部の貧弱交通はロープウェーが救う
地下鉄より短時間で移動でき、建設費も安い
――まず、東京の臨海部の交通状況について教えてください。
日本全体の人口が減少に転じた中、東京の臨海部にはタワーマンションが林立し、今後しばらく人口も来訪者も増え続けます。1998年から2018年の20年間に、中央区の人口は7万人から14万人に、江東区は37万人から50万人に増え、その増加分の多くが臨海部でした。2020年東京五輪の競技場も多数立地し、晴海にできる選手村は、五輪後には大規模住宅地に転じます。
BRTは計画が遅れている
ところが、交通の貧弱さが臨海部の発展の足を引っ張りかねません。最寄りの地下鉄駅まで15分以上も歩かねばならないエリアも多く、晴海通りの渋滞は激しく、370往復も運行する都バスの速達性・定時性は劣ります。やむなく多くの人が自転車を使い、東京駅が23区最大の放置自転車問題で話題になるほどです。
――交通を改善する計画や構想はどうなっていますか。
晴海通りと約500m離れて並行する環状2号線は、虎ノ門から新橋、晴海、有明は地下と高架を基本とし信号がほとんどありません。BRT(バス高速輸送システム)の専用レーンを確保すれば相当に高速走行でき、都心―臨海部を短時間で結べ、さらに車両と運転士の回転効率を高くできる分、低コストで高頻度運行ができます。
ところが、環状2号線は、築地市場の移転が延期となり、跡地に建設する新橋―築地―勝どきの開通が遅れ、BRTの計画も遅れています。