北朝鮮の金委員長が軍事境界線またいで韓国側へ 朝鮮戦争停戦後初
北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長は27日午前9時過ぎ、南北の軍事境界線をまたいで韓国側に入った。北朝鮮の最高指導者が軍事境界線を越えるのは1953年に朝鮮戦争が停戦されて以来初めて。
象徴的かつ儀礼的な場面が展開するなか、金委員長は韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領と境界線上で握手した。
午前10時過ぎに会談の席に着いた金委員長は、「率直な」対話と「良い結果」を期待していると語った。両首脳は今後、北朝鮮が提示した非核化などについて話し合う。
歴史的な会談では、「平和協定」の可能性についても協議されるとみられる。
議題の多くは事前に合意されたものになるが、多くの専門家らは、北朝鮮の核兵器放棄の提案の真意を依然として疑っている。
<おすすめ記事>
両首脳の握手の瞬間を、韓国国民は固唾(かたず)をのんで見守った。
金委員長が文大統領に軍事境界線をまたいで北朝鮮側に入るよう促し、文大統領も応じた場面には驚きの声が上がった。両首脳は、再び韓国側に戻るまで、終始手をつないでいた。
文大統領が北朝鮮側に足を踏み入れるのは、周到に準備された今回の会談の中で予想外の演出となったもようだ。
南北首脳会談は、近く予定されているドナルド・トランプ米大統領と金委員長との米朝首脳会談への地ならしになるともみられている。
「新たな歴史」の始まり
両首脳は伝統的な衣装を身にまとった兵士の出迎えを受けたあと、会談を行う「平和の家」へ入った。
金委員長は「平和の家」の芳名帳に「新たな歴史が今始まる。歴史と平和な時代の始まり」と書いた。
10年超ぶりの南北首脳会談という重大な瞬間だが、和やかな場面もあった。金委員長は平壌の有名レストラン「玉流館」から冷麺を持ってきたことについて冗談を飛ばし、「我々の持ってきた冷麺を楽しんでくれることを願う」と話した。
一方、米ホワイトハウスは、この会談が平和と繁栄につながるよう願っているとの声明を発表した。
米朝首脳会談は6月初めまでに行われるとみられるが、実現すれば、現職の米大統領が北朝鮮の最高指導者と会見するのは初めてとなる。