減少している? 水辺の優美な固有種

セグロセキレイが水の流れのただ中の石に止まった。セキレイは長い尾を上下に振る習性があり、「石たたき」と呼ばれることもある。繁殖期は3月から7月にかけてで、4~6個の卵を産む。(写真:arc image gallery/amanaimages)
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セグロセキレイの地鳴き(1年を通じて雌雄が発する鳴き声 )を聞いてみよう。(音声提供:松田道生)

セグロセキレイのさえずり(繁殖期に雄が縄張り宣言や雌を誘うために発する鳴き声)を聞いてみよう。(音声提供:松田道生)

 冬晴れの朝、セグロセキレイを見たいと、多摩川の中流域を訪れた。日本では主に、キセキレイ、ハクセキレイ、セグロセキレイの3種のセキレイが見られる。ハクとセグロは姿が似ていて、見分けるポイントといえば、顔が白いのがハクで、黒いのがセグロ。また、冬になるとハクの背は灰色になる。

 この朝、川辺を2キロほど歩きながら観察し、確認できたセキレイは20羽。そのうち、セグロは3羽だけで、残りはハクだった。

「セグロセキレイが見られる場所が減っています」と話すのは、日本野鳥の会自然保護室の葉山政治室長だ。同会などが進める第3回全国鳥類繁殖分布調査の途中結果で、約20年前の前回に比べて、セグロセキレイが確認できた場所が減っているのだ。一方、ハクセキレイの分布は拡大傾向にあるという。

 両種が同じ場所で繁殖していることを考えると、種間の競合がセグロ減少の原因とは考えにくいと、葉山室長は考えている。水辺環境の劣化や餌となる水生昆虫の減少などが、水辺への依存度がより高いセグロセキレイに影響を与えているのかもしれない。

セグロセキレイ
Motachilla grandis

全長:21センチ
分布:全国。朝鮮半島などでの繁殖記録あり。
生息環境:河川や池沼。砂礫地が発達した河川を特に好む。
食性:主に水生昆虫の幼虫や成虫。