バンダイナムコアミューズメントは4月25日、VRエンターテインメント施設「VR ZONE SHINJUKU」の新作VRアクティビティ「ドラゴンクエストVR」について、稼働に先駆けメディア向けに公開した。
本作は、スクウェア・エニックスが展開している「ドラゴンクエスト」シリーズをテーマとしたフィールドVRアクティビティ。体験者は、戦士が2人、僧侶と魔法使いが1人ずつの4人パーティを組み、ドラゴンクエストの世界を冒険するというもの。4月27日から稼働を開始する。
施設内に設けられている、自由に動きまわることができる全身モーションキャプチャシステムを構築した20m×11mの専用アリーナを活用。体験者はバックパックPCを背負い、VRヘッドセットとヘッドホンを装着。ヘッドホンにはマイクも備え付けてあるため、ボイスチャットができる。さらに本作向けに開発した専用の剣、盾、杖を装備する。
プレイにあたっては、あらかじめ職業を決めたうえでプレーヤーネームや身長、性別を所定の用紙に記入。ちなみに性別は、VR空間内に登場するキャラ(アバター)の外観を決めるためのもので、体験者とは異なる性別に設定することも可能だ。
大まかな流れとしては、国王の間において国王から大魔王ゾーマ討伐の命を受ける。オリジナルキャラのホミリーによる案内により冒険の旅に出ると敵が出現。それらを倒していき、最終的にはゾーマとの対決が行われる。体験時間は約15分。
基本は、盾を装備して敵の攻撃を防ぐことができる戦士が前線に立ち敵を斬りつけ、僧侶と魔法使いが後方から支援していく。敵の攻撃を2回受けると戦闘不能になってしまうというルール。僧侶は回復や蘇生だけではなく、竜巻を巻き起こす攻撃呪文も可能。また魔法使いは直接ダメージを与える攻撃魔法だけではなく、戦士の攻撃力を上げる魔法を持っている。MP(マジックポイント)はないため、魔法は打ち放題だ。
筆者も実際に体験したが、率直に感じたのは「ドラゴンクエストの世界にいる」ことと、「声を掛け合うパーティ感」だ。冒険の冒頭ではスライムがぴょんぴょん跳ねながらこちらに向かってくるのだが、VR空間でその姿を見ただけでも感動もの。もっとも次から次に敵が現れるため、それどころではなくなってしまうのだが、緊張感を感じつつも耳なじみのBGMで戦闘するのは心地よい。もちろん敵を倒してレベルアップする演出もあるのだが、それも気分が良くなる。またルーラで移動するシーンもあるのだが、一瞬で上昇して宙に浮く感覚は、実際には動いていないはずなのに“ゾワッ”とする感覚があり、不思議に感じつつ、これもドラクエなんだと思ったところだ。
そしてパーティを感じさせるのは、僧侶の存在。前述のように回復と蘇生は僧侶の役割だが、逆に、それができるのは僧侶しかいない。開発陣によれば、比較的容易にクリアできる難易度にしてあるとのことだったが、体験プレイしているなかでは、パーティのメンバーで戦闘不能もそれなりに発生した。実はパーティのキーマンが僧侶であり、自然と守る形にもなる。そういったなかで、敵がどこからやってきているかなどを伝えるのも重要。そして、回復や蘇生を求めつつ魔法をかけてもらったら、自然と「ありがとう」という言葉が出てくる。ほかにも、それぞれの職業にできることとできないことが明確になっており役割がはっきりしているため、自然と助け合う雰囲気になっていき、パーティとして冒険している感覚がより強まるようになっている。
筆者は魔法使いを体験したのだが、魔法が杖から飛んでいき、敵に当たるのは爽快だ。溜めて魔法の球が大きくなっていく演出も迫力がある。しっかり敵の方向を向いて杖をまっすぐ振り下ろす必要はあるが、ある程度自動で追尾してくれるので、敵に当たらずイライラするということは起こりにくい。また、戦士が戦っていて気づかないような、後ろ側から出現した敵と直接対峙する場面もあった。そうした場合は慌てず魔法を繰り出すか、戦士に声掛けをして守ってもらう必要もある。そのため、魔法を繰り出すばかりに気をとられず、周囲を見回して状況を伝えるのも大切で、戦士とは違った楽しみ方があると感じた次第だ。
ちなみに戦士が持つ剣のデバイスには、敵を斬りつけたときにその斬った感触をプレーヤーに伝えるギミックを搭載しているとのこと。重さも多少あるうえ、常に剣を振っているため、それなりに体力は使うという。リアルでも体格のいい男性2人が戦士となっていたのだが、終わった後にはうっすらと汗をかいて、いかにもひと運動したあとのような状態になっていた。
開発陣によれば、このドラゴンクエストVRは、2016年のお台場で運営していた「VR ZONE Project i Can」時代からすでに構想を持っており、スクウェア・エニックス側と話を進めていたという。そして自分の足で歩くフリーロム型VRコンテンツとして実現したいことに「撃ち合い」と「冒険」の2つがあったと語る。先に実現したのは「近未来制圧戦アリーナ 攻殻機動隊ARISE Stealth Hounds」ではあるが、ドラゴンクエストVRを実現するべくアリーナを施設内に作ったという。
開発にあたっては、例えば「魔法を撃つ」といっても、「メラ」と言葉にして言うことで発生するのか、また発生する場所も杖から出ているのか、手から出ているのかが明確になっていなかったなど、細かい疑問点が多々あったのが苦労点で、それらを双方で詰めていったという。
また早い段階で「勇者」の職業は用意しないことにしたと語る。これはVR ZONEが手掛ける「生身の人間がその世界に入ったらどうなるか」というコンセプトにも通ずるものがあったという。一方で「冒険が終わった後で、みんなが勇者だった」という感覚になれるようにはしたかったと語った。
VR ZONEのプロジェクトを統括している、コヤ所長こと小山順一朗氏は「ドラゴンクエストを実体験するというプラットフォームがようやくできた」と語る。その言葉をそのまま受け止めるのであれば、実装されてない職業になってみたり、ほかにもシリーズおなじみの敵やゾーマ以外のボスなどと対決したいといった、拡張した世界も期待したいところ。同作はそれほど魅力的な体験となっていた。
ドラゴンクエストVRの体験料金は3200円で、施設入場料(800円)が別途必要。対象年齢は7歳以上で、13歳未満の利用には保護者の同意が必要となっている。事前予約となるチケットが販売中となっている。詳細はVR ZONE SHINJUKU公式サイト内ドラゴンクエストVR紹介サイトまで。
ファイル共有だけじゃない!Synologyの
「DS918+」を徹底レビュー
日本独特の課題だと諦めてませんか?
国産AI「Zinrai」だから実現できること
世界に影響を及ぼす大きな転換期の訪れ
それを見据え富士通が積み上げた戦略とは?
オフィス家具通販のイノベーターが実現した
商品バリエーションと適正価格