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来たるAI時代、プロでい続けるための7つの方法論 ― 尾原和啓

2018-04-27

来たるAI時代、プロでい続けるための7つの方法論 ― 尾原和啓

来たるAI時代をどうサバイブするか。そのヒントを探るべくIT批評家であり、プラットフォームビジネスの有識者である尾原和啓さんを取材。伺えたのは、プロとして成長し続けるための7つの方法論だった―。


パネル

いよいよ生き方をアップデートする時が来た

「若い世代の人たちもポジティブに自分の良さを引き出し、これからの時代を生きてほしい。その道標となる最初のステップを伝えたかったんです」


自身4作目となる著書『どこでも誰とでも働ける』の上梓にあたり、こう語ってくれた尾原和啓さん。

マッキンゼー、Google、楽天など13職を経て、IT批評家・プラットフォームビジネスの有識者として世界中を飛びまわる人物だ。

その働き方もユニーク。

インドネシア・バリに生活の拠点を置く。ロボットを使ったリモート会議・登壇も彼の代名詞となっている。

インターネット化する時代、一歩先をいく生き方・働き方の実践者といっていい。

そして、尾原さんはこう予言する。


「AIをはじめとするテクノロジーによって“壁”がなくなっていく時代。プロフェッショナルとしてい続けられる人こそ、AIに代替されない存在になる」

特に若い世代が、プロに成長していくために実践すべきこととは? 総力特集『7HACKS』としてお届けします。

#1 ギブギブギブギブ!

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ギブすること(見返りを求めず、人に与えること)こそ、自分を成長させるための最強の戦略だと考えています」

[関連]情報は独占するな、ギブし続けろ。ITプラットフォーム野郎・尾原和啓の生き方

こう語ってくれた尾原さん。ただ、いざ自分が実践する時、“自分にはギブできるものがない”と考えがち。何を、どのように、ギブしていけばいいのだろう。


「自分が発見した面白い記事やニュースを毎日誰かに送ってみる。これもギブの一つですよね。さらに、その人数を増やし、20人に送ってみる。どう役立ててもらえそうか、ポイントも添える。すると、どうでしょう。20人分の視点を自分の中に持てるようになります」


こうして視座を高め、新たな経験を仕入れるきっかけが生まれるというわけだ。ただ、そこに必要なのが「どうしたら喜んでもらえるか」という視点。


「大切なのは、相手の立場になってギブするということだから届け方にも注意が必要ですよね。“気が向いたら見てください。ここにそっと置いておきますね”という温度感で届けたほうがいいと思います」


コツは押し付けがましくしない、ということ。相手にとって役立つものならば、自然と受け入れられるはずだ。


ぼくは、「ギブ&テイク」ではなく、 さらに一歩進めて、「ギブギブギブギブギブ&ギブ」でちょうどいいと思っています。見返りを求めることなく、自分のもっているスキルを惜しげもなく提供 することで、新しい経験を仕入れることができるからです。


引用『どこでも誰とでも働ける――12の会社で学んだ“これから”の仕事と転職のルール 』(Kindle の位置No.208-210). ダイヤモンド社

#2 本は5分で読みきる

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届ける相手のことを考え抜いたギブ…そのためには当然、自身のインプットも欠かせない。

尾原さんは月に100冊以上、一日に4冊以上の本を読む読書家。一体どのような本の読み方をしているのか? そこには彼ならではの読書術があった。


「1冊3~5分くらいで最後まで読みきります。パラパラとページをめくって全体をさらっておきます。キーワードを先に押さえ、気になる文章はスクショする。そうすることでキーワードを脳にインプットします」


それは、“頭の中の引き出しを増やす”という行為に近いのかもしれない。


「本を読んだ、その瞬間にはつながらなかったことも、ある日突然“あの文章はこういう意味だったのか”と新しい結びつきが得られることもあるんですよね」


本を読む時、熟読・完読しなければ…と思いがち。ただ、それでは頭の中の引き出しは効率的に増やせない。


「読書でやるべきことはインプットによって、頭のなかの分類ジャンルを増やすということ。自分が持っている過去の情報と、得た情報を結びつけやすくすることだと思います」

#3 自らの価値を、転職サービスで測る

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もう一つ、尾原さんのキャリアで注目したいのが、名だたるテクノロジー企業「13職を経て」という部分だ。しかも、過去に働いたいずれの企業とも良好な関係、言ってみれば、いつでも出戻りができる状態だ。

そんな彼が重視してきたのは、自身の市場価値を客観的に知るということ。


「オススメしているのが、転職サービスに登録してみることです。転職するかどうかはさておき」


事実、尾原さんも転職サービスに登録し、どのような会社から、どのようなオファーがくるか、常にチェックしているという。マーケットに自身がどう評価されるか、客観視するためだ。


「同じ会社、同じ環境にい続けると、閉じた世界でしか自分の評価が更新されません。いつしか会社の目標が、自分の目標に置き換わってしまう。ただ、10年後、その会社は無くなっているかもしれない。その時、自分はどのようなバリューが発揮できるか、常に考えておくべきだと思います」

#4 会社という枠から一歩出る

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ただ、「いきなり市場の目に晒されるのは怖い」という心情もある。そのような時、会社という枠から一歩出てみることを勧めているそうだ。


「近所でボランティアしたり、友達の会社を手伝ってみたり。副業もいいと思います。自分のことを知らない、前提条件を全く共有していない人と話す。そうすることで自分の価値に気づくきっかけになるはずです」


把握しておくべきは、自分は何が好きで、何が得意なのか。何でお金がもらえるのか


「プロフェッショナルの語源って『プロフェス(公言)』すること。自分は何者なのか、何ができて、何ができないのか、自らの責任で語れるということです。そのために広い世界、自分の情報を知らない人たちと話をする。そうすることで自身について説明できる能力も磨かれるはずです」

#5 失敗してもいいと割り切る

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前提を共有していない人たちと話をする―。尾原さんがよく実践しているのは、海外のカンファレンス、懇親会で行なう“ビジネスナンパ”だ。


「海外のカンファレンスで登壇している方に対して、“騙されたと思って30分間、僕に時間をください”とビジネスナンパをしています。その30分でどう満足をしてもらうか。バリューを感じてもらうか。ここ数年、ほぼ失敗することなく、意気投合し、次につながるようなお話が生まれるようになりました」


もちろん初めから上手くいったわけではない。尾原さんが実行してきたのは、とにかく“試行回数を増やす”ということ。


とにかく動いたほうが結果的に早く正解にたどり着くもの。まずは行動する。ビジネスナンパに限らず、全てに言えること」


つまり「PDCA」ではなく、「DCPA」が重要になる時代。さらにいえば、DCの繰り返しに徹するほうが「大抵が勝つ」と語ってくれた。


Plan(計画)→Do(実行)→ Check(評価)→ Act(改善)

Do(実行)→ Check(評価)→Plan(計画)→ Act(改善)

Do(実行)→ Check(評価)→ Do(実行)→ Check(評価)


「これだけ変化が激しい時代になると、あれこれと調べて検討したり、計画を考えたりしている間に、状況が変わってしまう。悩んでいる暇があったら行動したほうがいい。失敗したらすぐやり方を見直し、もう一度トライすればいいですよね」

#6  アイコンを持つ

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尾原さんのトレードマークでもある赤いマフラー。じつはここにも意味がある。どこにいても一目で「尾原和啓」と気づいてもらうためのアイコンなのだ。

例えば、SNSで好きなモノやコトをアップし続ける。一見すると無駄にも思えるが、じつは強力な武器になっていくこともある。


「Aさんという方がいて、例えば、いつもSNSで犬の画像をアップしていたとします。それでもいい。“Aさんといえば犬”と認知が取れるだけで、コミュニケーションのハードルがグッと下がります。何らかの糸口を持つことで、打ち解ける手段になります」


こういった考えの背景にあるのが、人と人のつながり、ネットワークこそが「個の時代」を生き抜く上でキーとなるというもの。


「これだけSNSがあたり前となった時代、常に自分の情報を更新していくことが求められていくと考えています。相手に受け入れてもらうために、大前提として互いをよく知る。まずは自己開示をしていく、わかりやすく伝えていくことも欠かせません」

#7 1日1%ずつ改善すればいい

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最後に紹介したいのが、「プロとしての成長」に直結していく考え方。それが「1日1%の改善」だ。これは楽天の三木谷浩史さんが提唱しているものでもある。


どんなことであれ、毎日小さな改善を重ねていく。これは個人の成長にも応用できます。例えば、少し強引な単純計算ですが、1日に1%の成長できたら365日でものすごい成長になる。逆に、毎日1%ずつ力を抜いていったらどうでしょう。成長が鈍化するどころか衰退してしまいます」


微々たる改善は、大きな結果としてすぐに表れるわけではない。ただ、尾原さんは「続けること」の価値を説く。


「あるレベルを超えた瞬間、指数関数的に急激な伸びを見せていく。だからこそ、まわりに目もくれず、続けていく。最後の最後まで粘り続けられた人こそ、成長していけるはずです」


[プロフィール]尾原和啓 IT評論家  
1970年生まれ。京都大学大学院 工学研究科応用人工知能論講座 修了。阪神・淡路大震災時における避難所ボランティアをきっかけに「仕組み」や「プラットフォーム」に強い興味を抱く。マッキンゼー、Google、楽天、リクルートを渡り歩き、ITプラットフォームビジネスに携わってきた。現在は、インドネシア・バリ島在住。世界中を飛びまわり、ITビジネスにおけるアドバイザー・監査役・IT批評家として活躍。



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