「副業解禁」で壊れる日本の「カイシャ」

社員の「本来業務」の明確化が不可欠に

2018年4月27日(金)

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厚生労働省は1月に「副業・兼業の促進に関するガイドライン」をまとめた

新生銀行、ユニ・チャームなどが相次ぎ「解禁」

 日本企業の間で「副業解禁」の動きが広がってきた。新生銀行が大手銀行としては初めて「兼業」と「副業」を4月から解禁。就業規定を改めて、正社員や嘱託社員約2700人が、本業と並行して異業種の仕事に就くことを認めた。また、ユニ・チャームも同様に4月から「副業」を解禁した。すでにソフトバンクが昨年11月に解禁、コニカミノルタも昨年12月に副業を認めた。このほか大企業では日産自動車や花王、リクルートなどが副業OKの会社として知られるが、ここへ来て一気に「副業」を認める会社が目立ってきた。

 「働き方改革」を掲げる安倍晋三内閣は、昨年来、「副業・兼業」の推進に旗を振ってきた。今年1月には厚生労働省が「副業・兼業の促進に関するガイドライン」をまとめたほか、同省が示していた「モデル就業規則」から副業禁止の規定を削除した。従来は「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」という規定が「モデル」として記載されていたがこれを削除。「副業・兼業」という章を設けて以下のような条文を例示した。

第67条 労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる。
2 労働者は、前項の業務に従事するにあたっては、事前に、会社に所定の届出を行うものとする。
3 第1項の業務に従事することにより、次の各号のいずれかに該当する場合には、会社は、これを禁止又は制限することができる。

  1. 労務提供上の支障がある場合
  2. 企業秘密が漏洩する場合
  3. 会社の名誉や信用を損なう行為や、信頼関係を破壊する行為がある場合
  4. 競業により、企業の利益を害する場合

 つまり、会社の利益に反するようなことがない限り、「副業・兼業」は自由だとした。「原則禁止」から「原則自由」へと方針を180度変えたわけだ。中小企業庁の調べでは、大半の企業が副業を「原則禁止」としており、認めている企業は全体の14%に過ぎないというから、方針変更は大変化をもたらす可能性が大きい。

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「「副業解禁」で壊れる日本の「カイシャ」」の著者

磯山 友幸

磯山 友幸(いそやま・ともゆき)

経済ジャーナリスト

ジャーナリスト。1962年東京生まれ。早稲田大学政経学部卒。日本経済新聞で証券部次長、チューリヒ支局長、フランクフルト支局長、「日経ビジネス」副編集長・編集委員などを務め2011年3月末に独立。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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