辺野古で激化する反対運動 渋滞7キロ、住民「大迷惑」 搬入阻止へ座り込み「正義だ」
普天間移設米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設先・名護市辺野古の周辺で、反対運動が激しくなっている。反対派が道路に座り込んだり、埋め立て用の石材を積み込んだダンプカーの下に潜り込んだりするため、地元住民の生活道路となっている国道329号で渋滞が発生。路線バスも辺野古周辺を迂回する措置をとっており、生活の足を奪われた地元住民は怒りの声を上げていた。
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移設反対派は23日から6日間の予定で、辺野古の米軍キャンプ・シュワブのゲート前で500人以上の座り込み参加を呼びかけている。主催者発表では23日に700人、24日は680人が集まった。23日は延べ5時間以上、24日も延べ2時間以上にわたって国道329号の1車線がストップした。
辺野古に住む30代の女性は24日、高校生の息子が忘れた制服のネクタイを届けた帰りに渋滞に巻き込まれた。うんざりした表情で「いきなり道路に飛び出す人もいる。大迷惑だ」と話した。
住民の足となる「沖縄バス」(本社・那覇市)の路線バスも「第二辺野古」や「第二ゲイト」など4カ所のバス停を迂回するルートでの運行を余儀なくされ、辺野古住民は23、24両日の午前9時~午後3時台の12、13本のバスが利用できなくなった。
「今まで、ここまでひどいことはなかった。彼らは辺野古住民のためにやっていると言うが、配慮が全くない」。辺野古区の嘉陽宗克区長(65)はこう憤る。嘉陽氏らの元には7件の苦情が寄せられ、名護市役所に対策を要請した。中には「あす心臓検査の予約を入れている。どうしたらいいのか」という問い合わせもあったという。
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反対派が運動を激化させているのは、辺野古の埋め立て工事が早ければ7月にも始まるからだ。政府関係者によると、当面必要な石材は確保されているという。反対派が掲げる「埋め立て阻止」にさほど貢献しない活動で地元住民が影響を被っていることになる。
だが、デモを指揮する沖縄平和運動センターの山城博治議長(65)は「片側1車線は通っている。警察が(交互通行させる)交通整理すればいいのに、やらないんですよ」と語る。これに対し、沖縄県警名護署は「交互通行をさせると危険だと判断した。7キロも渋滞しているので交互通行は難しい」と説明する。
生活に影響を受けているのは辺野古だけではない。辺野古の北に位置する名護市二見区の宜寿次聰区長(61)も23日に市役所に連絡して対策を求めた。宜寿次氏は「反対派の人たちは自分中心で、何をやっても正義だと勘違いしているのではないか。本当に腹立たしい」と語る。
実際、キャンプ・シュワブのゲート前でマイクを握った沖縄平和運動センターの事務局長は24日、高らかに宣言した。
「正義はこの現場にあり、私たちにあります!」
(杉本康士)