アドウェイズ社長の岡村陽久が、ユーザーの悩みや疑問に答える人生相談シリーズ、第35回。4月も下旬に差し掛かり、夏の匂いを感じることができる季節が訪れていた。アドウェイズ社長の岡村は、前回のブログから引き続き新入社員についてなにやら言いたいことがあるようだ。新入社員はもちろん、学生もベテラン社会人も必読の内容である。
アドウェイズ岡村:高山さん、お疲れ様です。ちょっと社長室に来ていただけますか。
おくりバント高山:え? 岡村さん、お疲れ様です……。すみません急用でしょうか? ちょっと今手が離せなくて…。
岡村:急用です。どうしても今僕が世間に対して言わなければならないことがあるんです。なので、今すぐにお願いします。
高山:はい、わかりました。すぐに向かいます。
高山:お待たせいたしました…! えっと、どうされたのでしょうか。
岡村:4月のこの時期。もうすぐ新入社員が会社に入社して1ヶ月が経とうとしていますよね。
高山:あ、はい、そうですね。それがどうかしましたか……?
岡村:高山さん。要するにですね、この時期「もう会社を辞めたい」という人間が出てくるということなんですよ。
高山:いやいやいや。それはなんでも早すぎじゃないですか? だって面接を何度もこなして苦労して入った会社を、たった1ヶ月も経たずに…。
岡村:いえいえ。新人研修をしている人も現場を任されている人も、この時期誰だって「自分はこの会社に合っているのか?」と自問自答する時期なんです。それが4月の後半、いわゆる「第一次辞めたい期」なんですよ。なので、この時期に差し掛かったタイミングにどうしても伝えたい内容があったので高山さんをお呼びしました。
高山:そ、そうだったんですね…。でも、岡村さんはそんな「1ヶ月で会社を辞めたい」なんて考える若者をどう思われているんですか? 甘い考えを持っている人はあまり好きではないですよね?
岡村:そんなことはありません。むしろ、辞めたいのであれば1ヶ月で辞めても良いと思っています。
高山:え?
岡村:正直言うと僕も、何年も続いた会社ってアドウェイズ以外にないんですよ。恥ずかしい話、1ヶ月で辞めるどころかクビになった会社もありますから。布団の訪問販売の会社で働いていた頃の話です。
高山:そ、そうだったんですか。まさかクビになっていたとは。でもどうしてクビになったんですか?
岡村:その頃の僕に、布団の訪問販売という仕事が合わなかったんです。要するに、自分に合わない会社は合わないと、割り切るのが大事だと思うんですよ。
高山:いきなり本題に入りましたね。
岡村:ただ、会社って、新人が配属された部署以外にも様々な事業や役割があるんですよ。なので今いるその部署が合わないだけで、会社が合わないというわけではないかもしれません。だから、辞めたいと思う方は、社内で色々試してみた後に再考しても良いのではないでしょうか。もしかしたら自分に合うポジションがあるかもしれないのに、それを見つけてないのは勿体無いですから。
高山:急に今度は「いい話」になりましたね。
岡村:ありがとうございます。
“いい話”をすることに定評があるアドウェイズ岡村。先日行われたアドウェイズ入社式でも“いい話”をして新入社員のハートをがっちり掴もうとしたのだが、思いが空回りし“とんでもなくスベった”らしい。
高山:でも、どうしてみんな辞めたくなっちゃうのでしょうか。さっきも言いましたけど、せっかく何回も面接をやって内定をとったのに。
岡村:これはですね。変な話、結婚相手と一緒だと思うんですよ。
高山:え?
岡村:自分に合う会社を見つけることって、結婚相手を見つけることと同じようなものなんじゃないかなと思うんです。例えば、お付き合いをする前って、趣味を聞いたり好きなものや嫌いなものを確かめ合ったりと、お互いが合うのか合わないのかを探り合うじゃないですか。それは会社の面接と一緒なんですね。
高山:確かに。
岡村:でも実際に付き合ってみたら、「なんか違う」っていうのはあるじゃないですか。それをたった1ヶ月でそう思ったら、その「なんか違う」は一生変わらないんです。これも会社と一緒でして。
高山:感覚的に合わないと。
岡村:そうです、そうです。例えば足が臭いとか、服がダサいとか、連絡を返してくれないとか、そういうはっきりとした場合であればそれを直してもらうだけで良いんです。ただ感覚的に合わないとなると難しいのかなと。
高山:なるほど…。
岡村:だからですね、就職活動って本当に大事なんです。相手を見極めなきゃいけませんから。それは会社から見てもそうなんですけどね。
高山:でも、例えば1ヶ月で会社を辞めたとして、でもお金がないので働かなくちゃいけませんよね。そうするとまた面接をしなければならなくなりますが…。どんなところを見て判断すれば良いんですかね。
岡村:それはですね、相手をどう見るかというよりは、自分を見つめ直したほうが良いと思うんです。
高山:自分を…?
岡村:先ほども言いましたが、会社は結婚相手と同じ。別れた理由・会社を辞めた理由としては、結局自分にとって譲れない大事なものがあったわけじゃないですか。では、その大事なものとは一体なんなのか。自分は一体なんなのかと、改めて見つめ直す必要があるんです。
高山:譲れない大事なものって、すみません、全く思いつかないんですけど…。
岡村:それは……居心地、ですかね。
高山:居心地、ですか。
岡村:結婚相手も会社も、居心地が一番大事だと思うんです、あくまで僕にとってはですけど。
例えばですね、結婚式に着ていく洋服って年に数回しか着ないですよね。
高山:はい。そうですね。
岡村:ってなると、結婚式で着る洋服を選ぶことって、1年間で考えると大したことないんです。せっかく買ったのに1年のうちに数時間しか着ないんですから。でもソファーとか布団、ベッドって、毎日8時間くらい共にするわけですよ。人生、結構長い時間を共に過ごすんですよ。
高山:言われてみれば…。
岡村:要するに、ソファーや布団、ベッド選びのような感覚で恋人も会社も選んだほうが良いってことです。年に何度か着る洋服を選ぶ感覚ではなく、長い時間一緒に過ごすことを見込んで考えて選んだ方が長続きします。なので、自分を見つめ直して、自分にとって居心地の良い会社を探していければ良いと思うんですよ。
高山:めっちゃわかりやすいですね。
岡村:この理屈を布団の訪問販売をしているときに思いついていれば、もっと布団を売れて、クビになっていなかったかもしれませんね。
高山:今の理屈の話だと、「自分を見つめ直して、居心地の良い場所を見つける」ということでしたが、会社にいるうちに自分を見つめ直しても良いのでしょうか。
岡村:それはもちろんです。むしろ会社を辞める前に自分を見つめ直す必要があります。この話って、「合わなかったら1ヶ月で辞めても良い。そして、自分にとって何が大事か、自分を見つめ直そう」ということなんですけど、何が大事かって20歳前後じゃ判らないんですよ。僕にとっては「居心地」ですけど。
だから、そう考えると答えがなくなるんです。正直な話、いろいろ試してみないとわかりませんからね。で、ここからが大切なのですが、実は1ヶ月の判断で合うか合わないか判るかというと、これも難しいんです。
高山:と、言うと…。
岡村:最初に1ヶ月で会社を辞めても構わないと言いましたが、辞めないほうが良いんですよね。一周回って、辞めないほうが良いんです。1ヶ月そこそこでは、会社も恋人も自分に合っているのかが判らないんですよ。なので、3ヶ月は様子を見てほしいなと思いますね。「石の上にも3ヶ月」という言葉があるように。
高山:ありましたっけ。
岡村:さっき僕が作りました。
高山:…いやでも、よく考えてみると3ヶ月って大事ですよね。我慢の時期というか。
岡村:はい。3ヶ月、もしくは半年過ごしたら、ある程度判ると思うんです。見えていなかった部分が好きになったり、意外な一面を見ることができたりして、苦手だった会社を好きになることもあるかもしれません。
なので仕事も恋人も、何年も続けていればいつか好きになる、というもんだと思うんですよね。必ずとは言えないものですけど、でもそう考えていれば少しは楽になるのではないでしょうか。それでもどうしても辞めたい時は辞めれば良いですし、また考えれば良い。固執した考えよりも、もっと楽に考えて欲しいですね。
高山:人生50年近く働かなくちゃいけないですもんね…。
岡村:はい。なので総括すると、入社3週間で辞めたくなっている新卒のみんなに向けて、「3ヶ月頑張ってみてからもう一度考えてみたら」ということを伝えたかったんです。
面倒臭いなあと思っても、このままだと心配だなあと思っても、3ヶ月くらいだったら我慢できると思うんですよね。大人になったら時間が進むのが早く感じると言いますけど、本当にその通りで仕事に集中していると3ヶ月なんてあっという間ですから。
だからもう少しだけ、頑張ってみてください。
高山:これは……辞めたいと思っているみんなに伝わるといいですね。
岡村:だと嬉しいです。
ということで、これからも僕は“いい話”を思いついたらどんどん発信していきますので、楽しみにしていてください。
高山:(急な呼び出しは辛いな……)
「最近は“好きなことを仕事に”という風潮がありますが、僕だって釣りの仕事ができたら、人生幸せです。でも仕事って、相手がいることで初めて成り立つので、僕が釣りをすることで世の中に何かしらのメリットは提供できないんですよ。なので僕は仕事を好きになっていったほうが手っ取り早いのかなとも思いますね」とアドウェイズ岡村は最後に語っていた。
ということで「勝手にしやがれ」を次回もお楽しみに!