自民党の下村元文科相が22日の講演会で、「隠しテープで撮っておいて、テレビ局の人が週刊誌に売るってこと自体がある意味で犯罪だと思う」と述べ、その後撤回、謝罪したという記事に対して、私がつけたブックマークコメントに、多数の「はてなスター」をいただきました。ありがとうございました。
こちらと…
こちらです。
ブコメを書く前に検索して確認し、書いた内容にはもちろん自信があったが、いい加減なことを書いていたらまずいと、キーワードを変えて何件か検索した。そうしたら、自分なりに面白いと感じた発見がいくつかあったので、自分用にまとめてみたくなった。
まず、本人に無断で録音・録画したデータが証拠になることは、次のブログにズバリ説明があった。刑事に関しては最高裁の判例があり、民事でもそれに沿った判例が下されているとのことだった。
milight-partners-law.hatenablog.com
www.courts.go.jp の公開している当該判決の pdf これかな?
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/220/051220_hanrei.pdf
「盗聴は犯罪ではないのか?」という当然の疑問が出てくるが、「盗聴 犯罪」で検索すると、これもいくつかのサイトが出てくる。
いずれも、「日本には盗聴そのものを罰する法律はない」「盗聴器を仕掛けるという行為が、“住居侵入罪”、“有線電気通信法違反”、“器物損壊罪” などに該当する」といったことを解説している。
盗聴器を設置すると犯罪になりますか?意外に知らない盗聴の法律
ちょっと意外だったのは、わいせつ目的の盗撮は、軽犯罪法と、各都道府県の条例で規制されているということだった。言われてみれば、盗撮などのニュースで、アナウンサーの「迷惑防止条例違反で逮捕されました」という言葉が、耳に残っているような気がした。
もちろん録音、録画のデータがあったからといって、それがいつでも決定的な証拠になるとは限らない。音質、画質が悪くて、個人特定ができなければ、証拠にはならない。
録画データの証拠能力が法廷で争われた事例として、「大阪ガソリンスタンド冤罪事件」というのを思い出したので、検索してみた。2013年の事件だった。
意外にも、と言ったら失礼か、アニヲタWiki の記事が詳しかった。被告人側の弁護士が、ガソリンスタンドに設置されていた防犯カメラの時計が8分ずれていたことを、高速道路ETCなど他のデータから割り出し、冤罪の証明と無罪を勝ち取った事件である。
他にもいろいろ検索すると、相手が録音・録画に同意していた場合は、データは問答無用で証拠になると出た。それでは相手が録音・録画に同意しない場合や、今回のセクハラ事件のようにハナから相手の同意を得ることが期待できない場合は、どうしたらいいだろうか?
往年の人気マンガ『ナニワ金融道』に出てくるエピソードの一つに、次のようなことがあったのを思い出した。『ナニワ金融道』本編最後の事件にして、主人公の灰原が直面した最大の難事件であった。
ただし事件の本筋の話ではない。 主人公の灰原は、なぜかインターンとして送り込まれた警察庁のキャリア官僚・都沢とペアを組んで事件解決に当たるのだが、灰原は都沢を違法行為に巻き込み、その会話を逐一、隠し録りする。
折々に灰原は、都沢にこんな声をかけ、返事をさせるのだ。
「都沢くん、今何月何日の、何時何分だい?」
あくまでマンガのことなので、これが現実の法廷に持ち出されたとき、どの程度の効力があるかはわからない。できればそんな機会は一生ない方がいい。だが知識として、知っておいて損はなさそうな気がする。
以下、名前と肩書を含む会話は、すべて架空のものであることをお断りする。
マンガそのままに、相手の名を呼んで日付と時間を言わせるというのは、やはり不自然だろうか?
「福田次官(仮名)、今は何月何日の、何時何分ですか?」
「今日ね、今日ね…抱きしめていい?」
あるいは最初に、相手の名を呼んで録音の許可を求め、断られてもそのままシレっと隠し録りするのはどうだろうか?
「福田さん(仮名)、録音していいですか?」
「ダメに決まってるだろ。オフレコで。胸触っていい?」
ダイレクトに、相手の名を呼んで返事をさせるだけでもいいんじゃないだろうか?
「ダメですよ、福田さん(仮名)」
「手しばっていい?」
「福田次官(仮名)、そういうことホントやめてください」
「手しばられていい? 手しばられて…」
ただし『ナニワ金融道』は、もはや若い世代にはだんだん通じなくなっているだろう。
『西遊記』に、金角大王・銀角大王という妖怪が登場する。『西遊記』中でもとりわけよく知られたエピソードだと思う。
金角・銀角のコンビは、五つの強力な魔法の道具を使って、玄奘三蔵一行を苦しめる。彼らの使う道具の一つに、「紅ふくべ」というのがある。赤いヒョウタンということだ。
この紅ふくべを持って、相手の名前を呼び、相手が返事をすると、紅ふくべは相手を吸い込んでしまう。中には強力な溶解液が満たされていて、吸い込まれた者はドロドロに溶かされてしまうというものだ。
孫悟空は、一旦はこの術に嵌って吸い込まれてしまうが、得意の分身と変身の術を駆使して辛くも脱出し、逆に金角・銀角を吸い取ってしまうという物語であった。
隠し録りするときには必ず相手の名を特定できる形で呼ぶことに、「紅ふくべ作戦」などと名前をつけたら、インパクトがあって記憶に残るんじゃないか、などと妄想していたのだが…
こんなことがあって、一気に気分が萎えてしまった。
19日の「報道ステーション」で、財務省の矢野官房長が記者からの「セクハラへの認識が低いという指摘があるが?」という問いに対して「私は相当高いと思いますよ」と返したシーンが流された。
この応答に対しては、私も少なからぬ憤りを感じないではいられなかった。
ところがその後、ツイッターのタイムラインに、このwebマンガが流れてきた。
2016年発表のものだから、今回の一連の騒動とは関係ないのだが…
最終話の【5】まで、一気に読んでしまった。
私もまた、セクハラというものを全然わかっていなかったのかも知れない。
精神的にかなりのダメージを受け、今回のエントリーを仕上げるのに何日もかかってしまった。
公開を見送り下書きに入れたままにしようかとも考えたが、それでもなにがしかの意味はあるかもしれないと考え、あえて公開に踏み切ることにする。
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